2022年4月4日発売の「日経トレンディ2022年5月号」では、「老いない食事&ゆるトレ」を特集。老化を促す要因の一つとされるのが「糖化」。細胞や臓器の炎症の原因物質とされる「AGEs」の蓄積を防ぐことが、老化スピードを抑えるカギになる。日頃の心がけを工夫するだけで、AGEsの蓄積予防につながる食生活を送れる。

※日経トレンディ2022年5月号より。詳しくは本誌参照

AGEsの蓄積量の違いが健康状態や見た目に大きな差を生む
AGEsの蓄積量の違いが健康状態や見た目に大きな差を生む
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 食事と老化には密接な関係がある。老化予防には、選ぶ食材や調理法の工夫は欠かせない。

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 老化を促す要因の一つとされるのが糖化。過剰な量の糖とタンパク質が熱でくっつく状態を指し、「AGEs(終末糖化産物、エージーイーズ)」が生成される。これはいわば、“焦げ付き”で、細胞や臓器の炎症の原因物質とされる。AGEsの蓄積で細胞や臓器障害が続くと、様々な不調が表れやすくなる。肌のコラーゲンの劣化でしみやしわができるなど老化現象の引き金になる。

 AGEsは様々な食事にも含まれる点が見逃せない。昭和大学医学部教授の山岸昌一氏は、「食事に含まれるAGEsのうち吸収されるのは約10パーセントだが、体内全体のAGEsの3分の1を占める」と言う。

 体内で生成されたAGEsは、簡単に排出されないのも厄介だ。「一度AGEsになったタンパク質は元には戻ることがなく、体内に一生涯とどまり続けるものもある」(山岸氏)。さらに、若い頃のAGEsの蓄積が多いと、特に40歳以上の老化スピードに大きな差が出る。日ごろの食生活でAGEsをためないようにするには、「健康のために」と心掛けてきたこれまでの“常識”を変える必要がある。

 まず、大前提としてカロリー制限一辺倒の考え方は捨てる。同時にAGEsも制限しないと、老いない体を手に入れられないためだ。ネズミを使った海外の実験では、カロリー制限と同時にAGEs制限をしなければ寿命が延びなかったとの研究結果がある。「健康寿命を延ばすためには、AGEsの摂取量に留意する必要がある」(山岸氏)

 カロリーとAGEsの値は必ずしも比例しない。例えば、親子丼と天丼を比べると、カロリーは607キロカロリー対605キロカロリーと大差ない。一方食品中のAGEs(以降、exAGEsと呼ぶ)の値を見ると、親子丼の1319に対して天丼は3725と3倍近く。カロリーだけ気にしていた人は、食事にどれだけAGEsが含まれるかという新たな視点を取り入れるべきだ。

 AGEs制限を心掛ける際の鉄則は調理方法を気にすること。どんな食材も加熱調理するとAGEsの値が上がるので、「生」がベスト。加熱調理する場合は、上がり幅が少ない「煮る」「蒸す」「ゆでる」を優先する。

米を一切食べないなど、過度の食事制限は必要ない

 これは、exAGEsは高温で加熱するほど数値が上がっていくため。食材中の水分が糖とタンパク質の結合を物理的に邪魔する、脂肪や糖が抜け落ちてAGEsが生成されづらくなる効果もある。親子丼と天丼の差もこの影響が大きい。

 過度な糖質制限よりも、食後の急激な血糖値上昇の繰り返しに注意する。玄米やそばなど食後血糖値の上昇を示す指標であるGI値の低い食事を心掛け、早食いや大食いは避ける。

 米を一切食べないなどの過度な食事制限は必要ない。主食、主菜、副菜の中でAGEsを意識した「攻め」と「守り」の戦略を取るだけでいいのだ。

 exAGEsが少ない食材を積極的に取るのが基本。加えて知っておきたいのが、AGEsの生成を抑える効果が期待される成分が豊富な「アンチAGEs食材」の存在だ。代表格がイオンなど大手スーパーや、地域のスーパーチェーンなどで買えるブロッコリースーパースプラウト。「スルフォラファン」が特に豊富に含まれており、これに体内でAGEsの生成を抑える働きがある。毎日25グラムを2カ月間摂取することで、血中のAGEsレベルが20パーセントも低下するという研究結果も報告されている。この効果を十分得るには生で食べる必要がある。

 食物繊維もAGEs生成の抑制には有効で、海藻類やきのこ類、オクラなどネバネバ系の食品を意識して食べたい。また、マイタケやサクラエビに多く含まれる「キチン」と「キトサン」には、AGEsと結合し体外へ排出されることで、食品に由来するAGEsの吸収を抑える働きが期待されている。

 exAGEsの値が高めの肉を調理する際は、酢やレモン、ワインビネガーなどでマリネしておく。山岸氏は、「糖とタンパク質の結合は酸性の条件下で抑えられる」と言う。普通に調理するよりexAGEsの上昇幅が少なく済む。

注)山岸氏の監修の下、本誌独自で作ったアンチAGEsメニューとそのレシピを、「日経トレンディ」2022年5月号に掲載しています。日経クロストレンド有料会員の方は、電子版でご覧いただけます。
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