2022年4月4日発売の「日経トレンディ2022年5月号」 ▼Amazonで購入する では、「老いない食事&ゆるトレ」を特集。とっさに固有名詞を思い出せないといった“症状”が何度も出てきたら、「脳過労」を疑いたい。特にスマホ依存によって脳に負荷がかかる「スマホ脳」に悩まされるビジネスパーソンが顕著に増加している。こうした脳の老化を回避する方法を専門家に聞いた。

※日経トレンディ2022年5月号より。詳しくは本誌参照

「スマホ脳」に悩まされるビジネスパーソンが顕著に増えている
「スマホ脳」に悩まされるビジネスパーソンが顕著に増えている
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 とっさに固有名詞を思い出せない、簡単な漢字が書けなくなった――。こんな“症状”が日常生活で何度も出てきたら、「脳過労」を疑おう。脳のオーバーワークが続き、処理能力が落ちている可能性が高い。この状態を放置するとうつ病を発症しやすく、脳の老化が早まって認知機能が低下したり、認知症になったりするリスクも。実際、「うつ状態が2年続いた人は、将来、認知症になるリスクが2.1倍に高まる」。脳の疲労に詳しい、おくむらメモリークリニック理事長の奥村歩氏はこう指摘する。

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 特にスマホ依存によって脳に負荷がかかって疲労がたまる脳過労、いわゆる「スマホ脳」に悩まされるビジネスパーソンが、コロナ禍以降、顕著に増えているという。この2年近くは在宅勤務下でのチャットツールの普及といった影響で、スマホやパソコンのディスプレイを見る時間がそれまで以上に増えて、膨大な情報が脳に入ってくるようになったためだ。

脳の老化を回避する方法は「数分間のぼんやり」

 ではそうした状況で、脳の中では何が起きているのか。メカニズムを説明しよう。脳は、インプット、整理整頓、アウトプットと3つのステップを踏んで情報を処理する。最も重要なのが前頭前野で行われる2番目の整理整頓だ。これがスムーズに進まないとその後のアウトプットにうまくつながらない。先述の通り、インプットされる情報が多い一方、それらを整理整頓する時間は圧倒的に少ない。インプットと整理を同時並行に進めることはできないため、脳は処理が追い付かずに疲弊し、考える機能も低下するのだ。

 こうした脳の老化を回避する方法として奥村氏が強く勧めるのは意外なもので、数分間のぼんやりが効果的だという。「近年の研究で、ぼんやりしているときに脳の神経回路(デフォルト・モード・ネットワーク、DMN)が活性化することが分かっている。このDMNが稼働すると頭の中が整理され、情報と経験や記憶がつながる。記憶力が鍛えられ、ひらめきを生み出しやすくなり、脳の老化を抑えられる」(奥村氏)

 ぼんやりするためには、スマホを意識的に使わない“デジタルデトックス”習慣が有効だ。例えば、その空間に必要なものしかないトイレや風呂は、ぼんやりするのに格好の場所なのでスマホを持ち込まない。また、寝室への持ち込みも厳禁。寝る前にスマホについ手が伸びてしまう状況を、最初からつくらないようにすべきだ。

 覚えていたことを思い出せないときに、スマホで気軽に調べる癖も直す。脳を積極的に使わないと、思い出す力は衰える一方だ。最終的にはスマホで調べざるを得ないとしても、まずは1分かけて思い出すようにしよう。また、見聞きした情報はそのままで終わらせず、手を動かしてメモするなどしてアウトプットまでつなげたい。

注)老いない食事やゆるトレの具体的な例は、「日経トレンディ」2022年5月号に掲載しています。日経クロストレンド有料会員の方は、電子版でご覧いただけます。
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(写真/PIXTA)