2022年4月4日発売の「日経トレンディ2022年5月号」 ▼Amazonで購入する では、「老いない食事&ゆるトレ」を特集。元気で長生きを実現するために効果的なのが、通常の歩行より速く歩く「ファストウオーキング」だ。運動効果の高さと、体への負担の少なさを“いいとこ取り”できるのがメリット。理想的な歩き方をマスターし、健康増進・体力アップを図りたい。
※日経トレンディ2022年5月号より。詳しくは本誌参照
「50歳くらいから、歩行能力が急激に落ちていく人が目立つ」と語るのは、アシックススポーツ工学研究所で人の体の仕組みや動き、歩行と健康増進の関係などを研究する市川将氏。50歳ごろを境に体のホルモンバランスの変化などで足の形が崩れ、それに併せて歩き方も悪くなる傾向があるという。
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「よく見られるのが、加齢に伴って足の裏の横アーチが潰れて足の幅が広くなるケース」(市川氏)。内側に広がる「扁平足」では外反母趾になりやすく、外側に広がる「カーブ足」ではO脚気味になって、ひざ痛の原因になる。普段の姿勢や重心のかけ方の癖などで広がり方が分かれ、割合としてはカーブ足になる人の方が多いという。
そういった足の不具合が体のバランスの崩れ(ゆがみ)につながり、歩き方も悪くなって腰痛になったり、活動量が落ちて筋力も低下したりすることになる。筋力が落ちて足をしっかり上げて歩けなくなると、つまずいて転倒もしやすくなる。そうした悪循環が、体の衰えを早めてしまいかねないのだ。
元気で長生きするには、いつまでも自分の足で歩くことが重要。「普段から体を動かしている人は、足にも適度な刺激があって足の形や歩き方が崩れにくい」と市川氏。40〜50歳ごろから健康維持につながる運動や歩き方を意識しておくと、高齢になったときに歩行が不安になるリスクを下げられる。
こうした観点で市川氏が勧めるのが、正しい歩き方を身に付けたうえでの「ファストウオーキング」。つまり「早歩き」だ。通常の歩行は時速4キロメートルほどだが、ファストウオーキングは時速5〜7キロメートル。年齢や体力によって適切なスピードは変わるが、いずれにしても「普段より速く歩く」運動を続けることで、健康増進・体力アップを図る。
【仕組み】運動効果が高く、体への負担が少ない“いいとこ取り”
ファストウオーキングのメリットは、運動効果の高さと体への負担の少なさを“いいとこ取り”できる点だ。ウオーキングでは、時速5キロメートルを超えると速度の上昇に伴うエネルギー消費量の増加ペースが上がり、時速7〜8キロメートルで同速度のランニングと同じ程度にまで高まる(下のグラフ)。つまり、早歩きでもランニングに近い運動効果を得られる。
また、「ふくらはぎとすねの筋活動量も実はランニングより多く、血流の促進や、つま先を上げたつまずきにくい歩き方の習得といったことも期待できる」(市川氏)。
一方で、足を着地する際の衝撃(地面反力最大値)は、ファストウオーキングは体重の約1.5倍で、同速度のランニングの7割程度(下グラフ)。つまり体への負担が相対的に少なく、足首やひざ、腰などの故障リスクも小さいといえる。これは主に、歩くときは足が常に地面に着いているのに対し、走るときは両足が地面から浮いたうえで片足着地するという違いによる。
真っすぐ前を見て、背筋を伸ばしてさっそうと歩く
時速7キロメートルは1分間に約120メートル進むスピード。時速6〜7キロメートルなら、40〜60代で体力がある程度ある人であれば、こなせる範囲の速さだろう。
実際に歩く際は、下にある理想的な歩き方を参考に。「特に、十分に息が上がる速度を保つ、真っすぐ前を見る、背筋を伸ばす、腕を後ろに振る、ひざを伸ばしてかかとから着地するといったポイントを意識するといい」(市川氏)。この歩行姿勢と動きをマスターすれば、自然と速く歩けるようになる。
理想的な歩き方をマスター!
取り組む目安は、1回10〜20分のファストウオーキングを週に3〜4回。1〜2日おきに行って、筋肉が回復する時間をつくるといい。また、「3分のファストウオーキングと、2分のゆっくり歩きを繰り返す『インターバルウオーキング』で30〜45分歩くと、筋力や心肺機能の向上に、より効果的」と市川氏はアドバイスする。
こうした日々の運動習慣を、身体的にも精神的にも無理なく続けられるというのも見逃せないメリットだ。
(写真/山本琢磨 モデル/山下晃和)
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