
「KATE iCON BOX」(以下、iCON BOX)は、カネボウ化粧品(東京・中央)のメイクアップブランド「KATE(ケイト)」が提案する、ニューノーマル時代の新たなデジタル体験。外観は自動販売機のようだが、ユーザーの顔印象分析を行い、4色のアイカラーとメイク方法を提案する。パッケージには購入者の名入れもでき、トータルの体験価値は高い。
iCON BOXは、自動販売機のような形をした長方形のデジタル什器(じゅうき)。その場で顔印象分析ができるAI(人工知能)を搭載しており、ユーザーに似合う4色のアイカラーとメイク方法を提案する。「世界に1台」というコンセプトで、2021年9月に展開開始。期間限定で1台の什器が全国の店舗を巡回する。
デジタル体験×リアル体験
カネボウ化粧品と凸版印刷が共同開発した。什器本体の開発や化粧品のパッケージ製作は凸版印刷が担当。什器そのものの名称は「AIレコメンドベンダー」といい、内部のAIを変更することで色々なものを解析できるという。iCON BOXはAIにKATEの独自ロジックを搭載した。
KATEは、「NO MORE RULES.」(ルールに縛られず、自由に自分を表現しよう)というブランドステートメントで、枠にとらわれない自由なメイクを提案している。19年からは、「ユーザーがなりたい姿に変われる」というデジタルソリューションの提案を強化し、その一環として、21年2月にLINE公式アカウント「KATE MAKEUP LAB.」を開設。iCON BOXのAIの基盤となったセルフ型の顔印象分析ツールを先んじて公開した。
この顔印象分析ツールでは、ユーザーの自撮り画像から顔のパーツ比率を測定し、その人に似合うメイク方法や商品を提案していた。こうしたデジタルの体験型コンテンツには「気軽に遊べる」「近未来的なワクワク感がある」などの魅力があり、人気を集めた。しかしKATEでは、これらの体験が購入にうまく結び付いていない、とも感じていたという。
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