D2C時代のパッケージデザイン大変革 第2回

FARM8(新潟県長岡市)が立ち上げた「SAKEPOST」は、日本酒のサブスクリプション(定額課金)サービスだ。毎月、新潟を中心とした地域の酒蔵から3銘柄を選び、ユーザーのポストに届ける。パウチスタイルのパッケージに、あえて銘柄などの情報を記載しない理由とは……。

ポストに届く日本酒のサブスク「SAKEPOST」。毎月、新潟の地酒3銘柄が自宅のポストに届く。各銘柄の酒は100ミリリットルずつオリジナルパウチに入り、飲み比べを楽しめる。ロゴやパッケージは自社でデザインした。運営はグループ会社であるFERMENT8(新潟県長岡市)が担当している
ポストに届く日本酒のサブスク「SAKEPOST」。毎月、新潟の地酒3銘柄が自宅のポストに届く。各銘柄の酒は100ミリリットルずつオリジナルパウチに入り、飲み比べを楽しめる。ロゴやパッケージは自社でデザインした。運営はグループ会社であるFERMENT8(新潟県長岡市)が担当している

 良い米と水に恵まれた新潟県は日本有数の酒どころだ。全国の酒好きに広く知られている酒蔵や銘柄もあれば、地元の人の普段飲みに選ばれる地域密着型の銘柄もある。「新潟県には88もの酒蔵があるが、ブランディングができてプロモーションを打てるのは大手だけ。東京の人が名前を知っている酒蔵は5つぐらいしかないというのが現状だ」とFARM8代表取締役の樺沢敦氏は言う。

 「小さい酒蔵はなかなか前に出られない。消費者と出会うチャンスも少ない。日本酒はバラエティーに富んでいるところが魅力の一つなのだから、色々な味に出合える体験を提供したい」(樺沢氏)。SAKEPOSTは2022年3月時点で40の酒蔵と提携。1つの蔵から最低2銘柄を提供してもらう予定で、「SAKEPOST」の利用者にとってどんな酒が入っているかは届くまでのお楽しみだ。

 酒の入ったパウチスタイルのパッケージは、瓶を模したデザインだ。表面にはSAKEPOSTのロゴが入っているだけで、酒蔵や銘柄などの情報は全く記されていない。これは「銘柄などの先入観を持たずに酒を味わってほしい」(樺沢氏)という考えからだ。

パウチはボトルを模したデザインで、表面にはSAKEPOSTのロゴがあるだけ。どの酒蔵の何という銘柄なのかはあえてパッケージには書いていない
パウチはボトルを模したデザインで、表面にはSAKEPOSTのロゴがあるだけ。どの酒蔵の何という銘柄なのかはあえてパッケージには書いていない

 「今の社会の中で、こうしたブラインド・テイスティングにはなかなか出合えないのではないか。ネットには口コミなどの情報が大量にあり、多くの人は何かを選ぶ際にそれを見て動く。一方、SAKEPOSTが提携している酒蔵は地元にしか出荷していないところだらけだ。ネットで話題になることも少ない。SAKEPOSTのような偶然の出合いの場を提供しなければ、小さい酒蔵はどんどん淘汰されてしまう」(樺沢氏)

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