カルチャーと技術の総合展SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に何度も登壇し、そのたびに会場を湧かせてきた名物スピーカーが、未来学者でコンサル会社CEO(最高経営責任者)のエイミー・ウェブ氏。2022年3月13日の講演でAI(人工知能)、メタバース、合成生物学と3分野について独自の未来展望を語った。

エイミー・ウェブ氏。未来学者で、コンサルの米フューチャー・トゥデイ・インスティテュート(FTI)創設者でありCEO(最高経営責任者)。「フォーチュン100」企業や政府機関のコンサルタントを務める
エイミー・ウェブ氏。未来学者で、コンサルの米フューチャー・トゥデイ・インスティテュート(FTI)創設者でありCEO(最高経営責任者)。「フォーチュン100」企業や政府機関のコンサルタントを務める

 「あー楽しみ。彼女の話が聞きたくてSXSWに来たのよ」。座席で待つ女性が興奮気味に話していた。話題の技術トレンドの行く先を、ずばっと指し示すエイミー・ウェブ氏の講演は、SXSWの名物企画として定着している。新型コロナウイルス感染症拡大などはるか昔の話であったかのように、メイン会場の中で最も大きい会議場は満員となった。

 ステージに現れると腕を大きく広げ、リアル開催の場に戻ってきた喜びを表し、エネルギッシュに声を張り上げたウェブ氏。独自の知見に基づき、新技術のメリットだけでなく、マイナス面も臆することなく発言するスタイルで知られている。講演冒頭には「恐怖を感じ、胃が痛くなる話もあるかもしれない。でも心配しないでほしい、最後には希望がある」と軽くけん制した。

 ウェブ氏がCEO(最高経営責任者)を務めるコンサル会社、米フューチャー・トゥデイ・インスティテュート(FTI)が講演と同時期に公開した22年版の技術トレンドリポートは「574のトレンドを収録し、668ページになった」と紹介。このリポートの要素も含めつつ、「AI」「メタバース」「合成生物学」の3ジャンルについて話を進めた。

AIが生成した猫の画像。3年ほど前は体や顔の一部が変形していたが、今では本物と見分けがつかないほどになった
AIが生成した猫の画像。3年ほど前は体や顔の一部が変形していたが、今では本物と見分けがつかないほどになった

 AIの進化を示す例として紹介したのが、猫の絵。敵対的生成ネットワークというAI技術がある。全く何もないところから猫の写真を創造するAIと、写真が本物の猫かAIが描いたにせ物かを判別するAIを競わせる。互いを何度も対決させているうちに、AIが本物そっくりの絵が描けるようになるというものだ。SXSWが3年前にリアル開催していたころは、ネコの顔や体がゆがんだオバケのようだったが、現在では本物とまったく見分けがつかないネコをAIが描けるようになったという。

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