カルチャーとテクノロジーの祭典SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)では、スタートアップを中心に多数の企業が集まり、最新の製品やサービスを披露する。米国時間の2022年3月13日にオープンした展示会場で、ひときわ大きなブースを構えていたのはZOZOの子会社でファッション関連の技術を開発するZOZO NEXTだ。

SXSWに初出展したZOZO NEXTのブース。会場の中でも最も大きなスペースを確保した
SXSWに初出展したZOZO NEXTのブース。会場の中でも最も大きなスペースを確保した

 ZOZOといえば、スマホを使って全身を採寸するZOZOSUIT(ゾゾスーツ)、足や手のサイズを測るZOZOMAT(ゾゾマット)といったファッション関連の独自技術を開発してきた。ZOZO NEXTは、そうした技術研究や新規事業開発を手掛ける子会社である。

 ブースでは4つのカテゴリーに分けて技術を展示した。その中の1つが、ユーザーそっくりのアバターを生成できるサイネージ「バーチャル・ヒューマン・クリエイター」。上部のカメラで写真を撮り、身長や体重を入力すると画面内にアバターが現れて、好きな服をフィティングできる。背景やポーズを選んで写真を撮影し、QRコードを読み込むとスマホに転送できる。

 ブランドがポップアップショップを出すときに顧客と接点を高めるために設置するといった使い方が想定できそうだ。

ユーザーそっくりのアバターを生成できるサイネージ「バーチャル・ヒューマン・クリエイター」。着せ替えをさせることで服選びの参考にできる。モデルのようなポーズも複数用意されている
ユーザーそっくりのアバターを生成できるサイネージ「バーチャル・ヒューマン・クリエイター」。着せ替えをさせることで服選びの参考にできる。モデルのようなポーズも複数用意されている

 ブース内で展示しているスマート織物「Ambient Weaving」は、1688年創業の西陣織の細尾(京都市)や東京大学と連携して開発した作品。有機ELを使い暗闇の中で発光する織物、極細のチューブを並べて内部に染色液を流せるようにした織物、温度が変わると色が変化する織物を展示した。

スマート織物の1つ。有機ELを含む西陣織で、3色に光る。日本国内で1色のみを光らせる展示をしたことはあるが、3色の光で実演するのは今回が初めて
スマート織物「Ambient Weaving」の1つ。有機ELを含む西陣織で、3色に光る。日本国内で1色のみを光らせる展示をしたことはあるが、3色の光で実演するのは今回が初めて

 このほかZOZOMATやZOZOSUITを展示し、2040年代のファッションを描いたコンセプトムービーを見せている。ZOZOグループとして、SXSWのような規模の大きな展示会への出展は初めてとなる。まだ新型コロナウイルス感染症拡大の影響も残るこのタイミングで、海外向けに発信しようとした背景は何か。ZOZO NEXT代表の金山裕樹氏に聞いた。

ZOZO NEXT代表の金山裕樹氏
ZOZONEXT代表の金山裕樹氏

――SXSWに初出展し、会場の中で最大のブースを構えました。その狙いは。

 ZOZOの成長戦略の3本柱の1つに「計測技術ライセンスの販売」がある。これを海外にも広げていきたい。展示会にはCESなどもあるが、若者を中心にカルチャーを発信するという文化があるSXSWが、目指す方向性に最も近いと考えた。

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