カルチャーやテクノロジーの祭典SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)が米テキサス州オースティンで米国時間2022年3月11日に開幕した。3年振りのリアル開催となった今回、特に話題となっているのは、新型コロナウイルス感染症拡大をはじめとする不安定な世界への対応、そしてWeb3(3.0)とメタバースだ。まずは初日のマーケティング関連の講演内容を紹介する。

米テキサス州オースティンの会議センターのほか、周囲のホテルでも多数の講演を開いている
米テキサス州オースティンの会議センターのほか、周囲のホテルでも多数の講演を開いている

 オースティンの町全体が音楽と映像そしてテクノロジーの話題で包まれるイベントSXSWが帰ってきた。20年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となり、21年は完全オンライン化での開催だった。今回は3年ぶりのリアル開催となる。町にはさまざまなイベントや展示を知らせる張り紙が並び、各地に設けられたイベントスペースから大音量の音楽が流れてくる。もともとは音楽や映画のカルチャーを発信するという形のイベントだっただけに、他のビジネス系イベントにはない派手さを感じる。

 新しいメディアをつくる土壌となる最新テクノロジーについての講演やイベントも多い。スタートアップのピッチイベントなどもある。その「ごちゃ混ぜ感」が、SXSWのユニークなところだ。メイン会場のオースティン会議センターのほか、周囲のホテルでも講演会場が設けられ、様々な識者が登壇している。今回特に盛り上がっているのは、既にバズワードとなっているWeb3(3.0)やメタバースの話題だ。まずは初日のマーケティング関連の講演で語られた内容をお届けしよう。

不確実性が当たり前の世界に

 初日の冒頭となる朝10時に登壇したのは、マーケティング戦略コンサルタントで作家でもあるマーク・シェーファー氏。まずは自ら新型コロナウイルスに感染し、低酸素症にまで至ったエピソードを紹介した。大学の授業、コンサルタント業、講演など、全ての仕事がキャンセルになってしまった。これまで積み重ねた経験がまったく通用しない不確実性の壁にぶち当たり、大きな不安を抱えた。そんな時、同氏は「人に教える」という原点に戻った。従来のマーケティング理論からは離れ、不確実性にどう立ち向かうのかをテーマとした電子書籍を発行することで立ち直ることができた。

マーケティング戦略コンサルタントでマーケティング関連書籍の作家でもあるマーク・シェーファー氏
マーケティング戦略コンサルタントでマーケティング関連書籍の作家でもあるマーク・シェーファー氏

 シェーファー氏は「ここまで急激に仕事がなくなってしまう例は極端かもしれないが、今後はそれが珍しいことでなくなる。これはある種の未来の姿だ」と、不確実性が当たり前の世界に順応していく必要性を説く。ただでさえ、技術革新のスピードと情報密度の高さへの対応が必要なのに、さらに「逆境に強い」状態を維持できることが求められる。そのためには、いかに「relevance(関連性)」を保つかを考えていく必要があるとシェーファー氏はいう。

 関連性とは、端的に言えば「自分の強みを生かし、うまく時代に合わせていくこと」。例として、フィラデルフィア南部の貧しい町に住んでいた学生が、苦労して大学教授になったときに「先生は論文に名前を書いてお金持ちになれるのに、僕らはいくら勉強しても貧乏になっていく。不公平だ」と言われた話を紹介した。

 確かに、同じものに投資をする場合は、初期投資額が小さい人よりも、大きい人のほうが複利の効果で大きなリターンが得られ、時間がたつにつれて差が開いていく。その一方で、仕事やキャリアにおいては、例えスタート地点が違っても、継続的な「累積的優位性」を生み出すことができるとシェーファー氏は話す。「重要なのは、お金持ちであることや資産や人脈をたくさん持っていることではなく、ただ意識すること」(シェーファー氏)

ドラッカー直伝の分析術「犬はほえているか」

 意識の方向性を見定めるための3つのヒントとして、「(1)探していなかったものに偶然出くわしたときに閃き(セレンディピティ)が起きる」「(2)危機の訪れは、現状を打破するチャンス」さらに「(3)犬がほえているか」を挙げた。

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