※日経エンタテインメント! 2022年4月号の記事を再構成

今年3月下旬、BSデジタル放送に3局が参入する。開局順にBSよしもと(3月21日開局)、BS松竹東急(3月26日開局)、BSJapanext(3月27日開局)の3局ともBSアンテナやケーブルテレビなどの設備があれば無料で見られる。それぞれの母体企業を生かした、個性的な番組が編成される予定だ。

「Cheeky’s a GoGo!」 曜日ごとに「関西・東海」エリアを分け、ローカルニュースや“地元愛”にあふれる地域の情報を生放送で発信する。月曜~金曜13時~17時/3月22日放送開始
BSよしもと 3月21日開局
「Cheeky’s a GoGo!」 曜日ごとに「関西・東海」エリアを分け、ローカルニュースや“地元愛”にあふれる地域の情報を生放送で発信する。月曜~金曜13時~17時/3月22日放送開始

 BSよしもとは、吉本興業ホールディングスが中核で、コンセプトは「地方創生」。同グループはこれまでも、2011年に開始した、47都道府県に芸人や社員を長期間派遣する「あなたの街に住みますプロジェクト」などで、地域活性化事業を手掛けてきた。

 BSよしもとではこうした取り組みをさらに進め、地域の魅力や旬なニュースを視聴者に届けるプログラムを展開しつつ、番組がその地域の新たなビジネスや雇用創出を目指す「一番組一起業」を目標とするとしている。「47都道府県から情報が発信できるインフラが整っていることが我々の強み」と編成局長の松本幹景氏は話す。

 情報を鮮度高く視聴者に届けるために、平日は午前中から深夜帯まで11時間以上の生放送枠を設けるという異例の編成となる。また同局には、YouTuberのマネジメントを手掛けるUUUMや、ミクシィなどのIT企業も出資しており、ネットとの積極的な連動も視野に入れる。昨年12月からはUUUMと組んで、各都道府県から地域に密着したYouTuber動画制作を行う「住みますクリエイター」の募集を開始している。

全国放送とネットを連動

 BS松竹東急は、松竹の関連会社である松竹ブロードキャスティングと鉄道経営をはじめ都市開発事業を手掛ける東急がタッグを組んだ放送局。「映画や舞台などエンタメを長年作ってきた松竹グループとBunkamuraや映画館運営など街や人の暮らしを作るうえでエンタメに注力してきた東急グループが組むことで、映像を通じた新たなトキメキを全国に届けたい」と執行役員編成局長の中村敦史氏は説明する。

 「伝統から革新まですべてを見せる映画」「誰もが楽しめて親しみやすい歌舞伎や劇場文化」「多彩な作り手とコラボレーションする挑戦的なオリジナルドラマ」の3点が編成のコンセプト。中でも特に力を入れていくのがオリジナルドラマで、4月からは月曜22時30分からの「月曜ドラマ」と土曜23時の「土曜ドラマ」の2つの連ドラ枠を維持していくという。

 開局時の月曜ドラマ枠では、燻製×同棲カップルがテーマのマンガを原作とし、志田未来と泉澤祐希が出演する『いぶり暮らし』を、土曜ドラマ枠ではオリジナル脚本の時代劇コメディ『家電侍』を編成する。「オリジナルドラマは視聴者に強い印象を残し、局全体のイメージにつながる。個性的なドラマを編成することで、ほかの分野においても、BS松竹東急ならではのコンテンツを発信する放送局であることを印象付けていきたい」(中村氏)。

「家電侍」 江戸時代の貧乏浪人の元に、現代の最新家電が届くようになったことで様々な事件が巻き起こる。主演は滝藤賢一。毎週土曜23時/4月2日放送開始。(C)BS松竹東急/PROTX輝
BS松竹東急 3月26日開局
「家電侍」 江戸時代の貧乏浪人の元に、現代の最新家電が届くようになったことで様々な事件が巻き起こる。主演は滝藤賢一。毎週土曜23時/4月2日放送開始。(C)BS松竹東急/PROTX

 BSJapanextは、テレビ通販などを手掛けるジャパネットホールディングスが母体。今年1月に、地上波では昨年放送が終了した『パネルクイズ アタック25』を、復活させると発表し、大きな話題となった。

 月曜と金曜の19~21時には、同局のコンセプトの1つである「地域創生」をテーマとした旅番組を編成。月曜から日曜の21~22時は、国分太一、西川貴教、高橋みなみなどのタレントと一緒に、1から企画・制作する新しいスタイルの番組を放送予定。「ネガティブな情報ばかりに目を向けるのではなく、『視聴者がポジティブになれるようなリアル』をお届けできる番組を制作したいとも考えています」と編成担当者は話す。

 また「双方向性のコミュニケーションを重視」しているとし、ショッピング専用だった公式アプリ「ジャパネットアプリ」にBSJapanextの機能を追加し、「つながるJapanet」としてリニューアル。放送中の番組にコメント投稿ができたり、『パネルクイズ アタック25 NEXT』では出場者募集、出題問題の投稿、優勝者予想など、アプリを使って楽しめるコンテンツも追加していく予定だ。強みである通販番組では、過去に紹介した商品も含めて、最短2タップで簡単に購入できる。「アプリを活用することで、視聴者の方が(番組に)リアルタイムに参加し、双方向に楽しめることが1番の強みと考えています」(同社)。

「パネルクイズ アタック25 NEXT」 制作は朝日放送とジャパネットブロードキャスティングが行い、放送時間は1時間に拡大。司会は谷原章介。毎週日曜13時/3月27日放送開始
BSJapanext 3月27日開局
「パネルクイズ アタック25 NEXT」 制作は朝日放送とジャパネットブロードキャスティングが行い、放送時間は1時間に拡大。司会は谷原章介。毎週日曜13時/3月27日放送開始 写真提供:ABCテレビ

 映像分野では、定額制動画配信サービスなど、近年視聴者の選択肢が急増した。そのなかで3局は、BSデジタル放送が全国一律に発信できる強みを、ネットやアプリなどと連動させることで生かしていきたい考えのようだ。

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