アクセンチュア出身の第一線のコンサルタントが、コンサル業界内部の気になる話題や独自の問題解決アプローチなど、その仕事の“表と裏”を語り尽くす新連載。初回はコンサルタント歴30年のベテランからの「新入社員に贈る言葉」。スタートダッシュを決めたいと願うビジネスパーソンがなすべきことが見えた。
ムーンプライド 代表取締役CEO
【プロローグ】第一線のコンサルタントが本音を語る
DX(デジタルトランスフォーメーション)、メタバース、5G、NFT(非代替性トークン)など、新たな技術やシステムが続々と登場している。その活用や導入が企業にとって喫緊の課題となる現在、解決をサポートしてくれるコンサルタントの需要は増すばかりだ。
しかし、例えばこれまでコンサルタントと組んだことのない企業に勤め、上司から課題解決を命じられた担当者の中には、「どうやって最適なコンサルタントを見つければいいのか」と途方に暮れる人もいるだろう。また一方で、コンサルタントは学生をはじめ若い世代の人気職業として注目を浴びており、「どうすればコンサルタントになれるのか」と将来を模索している人もいるに違いない。
そこでこの連載では、普段あまり表に出てこない“陰の立役者”としてのコンサルタントの仕事にスポットを当てる。「コンサルタントはどんなスキルや思考法で課題を解決するのか」「顧客がコンサルタントに望むパートナーシップとは何か」「仕事に感じる個人的な喜びや悩み」など、コンサルタントの仕事に興味を抱いている若手ビジネスパーソンや学生に役立つ情報をお届けする。企業の担当者がコンサルタントに仕事を依頼する際の参考にもなるはずだ。
登場するのはアクセンチュアで経験を積んで独立し、現在はコンサルティング会社ムーンプライド(東京・港)で活躍する第一線のコンサルタント。コンサルティング企業の実態からコンサルタントの本音、ライフスタイルに至るまで明かしてくれる。
記念すべき第1回のテーマは、コンサルティング会社の新入社員やこれからコンサルタントを目指そうと考えている学生、転職を視野に入れている若手ビジネスパーソンに贈る言葉。先陣を切るのは、ムーンプライドの中村基樹CEO(最高経営責任者)だ。
急増するライバルたちに埋もれるな
現在、コンサルタントは若い世代にとって人気の職業となっています。実際、コンサルタント業務に対するニーズの高まりを受け、コンサルタントの人数も急増しています。
例えば、私が1992年アクセンチュアの前身であるアンダーセン・コンサルティングに入社した頃、日本法人の社員数は約750人で、そこに私たち新入社員が約250人加わり、合わせて約1000人という規模でした。2001年に同社は現在の「アクセンチュア」に改名し、それから10年後の11年には社員数は約4000人となり、さらに10年後の21年にはおよそ1万8000人と、日本法人だけでも猛烈な勢いで増え続けています。
これだけコンサルタントを志す人が多いのですから、新人時代を漫然と過ごしてしまったら、後で取り返しのつかないことになりかねません。そこで業界の先輩として、コンサルティング会社に入社した新人が必ずなすべきことの1つを紹介したいと思います。
それは「誰にも負けないコア・ケイパビリティー(自分の核となる能力や強み)を築くこと」です。
この話を始める前に、まずは簡単に私の経歴を紹介します。私のコンサルタント歴は丸30年になります。製造業のグローバルSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)システムの立ち上げに始まり、業務改革・IT化導入、組織づくり、ITや業務のアウトソーシング、ネット・デジタル技術を活用した新規事業立ち上げなどを経て、18年にアクセンチュアを退社。アクセンチュアを辞める前の16年に立ち上げたムーンプライドでの活動に一本化してからは、DXを中心に企業課題をいろいろな立場で解決してきました。
コンサルティング会社が請け負う多様な企業課題を解決してきた経験が、私の最大の強みです。そんな私が30年の経験を通して「新人時代に必須の課題」と確信したのが、先の「誰にも負けないコア・ケイパビリティーを築くこと」でした。
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