※日経エンタテインメント! 2023年2月号の記事を再構成

2022年10月に放送されたコント日本一決定戦「キングオブコント」で準優勝したコットン。最近はバラエティー番組のゲストのみならず、西村真二の出身地である広島で3週連続の冠番組が放送されるなど、活動領域がじわじわと広がっている。

コットン。左/西村真二(にしむら・しんじ)1984年6月30日生まれ、広島県出身。右/きょん 1987年11月18日生まれ、埼玉県出身
コットン。左/西村真二(にしむら・しんじ)1984年6月30日生まれ、広島県出身。右/きょん 1987年11月18日生まれ、埼玉県出身

 「キングオブコント」では、浮気の証拠を隠滅する業者「浮気証拠バスター」と、お見合いの場でおいしそうにたばこを吸う女性を描いたコントの2本を披露。コミカルなキャラクターを演じたボケ役のきょんと、その振る舞いにリアクションする西村のやり取りで会場を沸かせ、審査員の松本人志からも「心技体がバッチリだった」と評価された。

 放送直後には、「情報7daysニュースキャスター」(TBS系)で三谷幸喜がきょんの演技力を絶賛したことも話題に。その後、三谷とは「ラヴィット!」(TBS系)で共演を果たした。「三谷さんには以前からインスタグラムを見ていただいていたようで、やっててよかったと思いました」(きょん)。

 2人とも子どもの頃からお笑い好き。西村は「兄貴の影響で『ダウンタウンのごっつええ感じ』を見て、お笑い芸人に憧れるようになりました」、きょんは「バラエティーっ子だったので『めちゃイケ』や『笑う犬の冒険』などをずっと見てました」と語る。

 結成は12年。ともに大学卒業後に社会人経験を経てNSC(吉本総合芸能学院)で出会った。西村は広島ホームテレビのアナウンサーを辞めて養成所に入った異色の経歴の持ち主で、「入学当初から同期の間で話題だった」(きょん)という。NSCでは演技の授業で選抜クラスに選ばれた2人が仲良くなり、卒業公演後にそれぞれのコンビを解散後、西村がきょんを誘う形で結成することになった。

 結成当初のコンビ名は、フランス語の「レクラン(宝箱)」に「ラフ(笑い)」を付け足した造語である「ラフレクラン」。「なかなかコンビ名を覚えてもらえなかった」(西村)と振り返る。

横山由依の提案で改名

 元アナウンサーという華々しい経歴もあり、期待の新星としてテレビに呼ばれる機会もあったが、すぐには結果に結びつかなかった。「当時は自分たちの武器を具現化できず、『俺らってどういうコンビなんだろうね?』と、何も分からない状態で戦場に出ていました」(西村)。

 主に漫才をやっていたが、14年の「キングオブコント」で準決勝まで進出。ネタ作り担当の西村は「結成2年で大きい大会の準決勝に行けたことで、『もしかしたらコントのほうがいけるのかも』と勘違いして、コントも量産するようになりました」という。

 その後、2人がお笑い好きの間で話題になったのは20年のこと。ニューヨークのユーチューブチャンネルで公開された、コットンの同期軍団のドキュメンタリー「ザ・エレクトリカルパレーズ」で、それまでスタイリッシュなイメージを抱かれていた西村が“いじられる側”として登場したのだ。きょんは「にっくん(西村)のおかしな部分は、いつかみんなに気付いてもらえると思っていたんですが、ニューヨークさんに引き出してもらえてうれしかった」と語る。

 さらに、21年4月放送の「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレ朝系)が転機に。番組内で、覚えにくいコンビ名がブレイクできない要因として挙がり、出演者の横山由依の提案もあり「コットン」に改名した。「ずっと『変えたいね』と話していたので、いい機会でした。マジで覚えてもらいやすくなりました」(きょん)。

 コンビの将来像については「お笑いタレントではなく、あくまで芸人でありたい。そのためにもネタは作り続けて、劇場に貢献していきたい」と西村。きょんは「霜降り明星さんやニューヨークさんみたいに、すぐ上に憧れの先輩がいるんで、自分たちもそういう存在になれたら」と目標を語った。

 天然キャラとも異なる、独特の感性が面白がられるようになった西村と、変幻自在な演技力が注目されるきょん。それぞれの人物像も徐々に知られつつあり、23年は人気が加速しそうだ。

コットン
2019年に「NHK新人お笑い大賞」で優勝。好きなエンタメは「お笑い全般。ユーチューブでネタ動画をチェックしてます」(西村)、「ユーチューブで釣り番組をよく見てます」(きょん)。ユーチューブチャンネル「コットンシアター」を更新中。吉本興業所属

(写真/橋本勝美)

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