※日経エンタテインメント! 2023年4月号の記事を再構成
STU48が9thシングル『息をする心』を3月15日にリリースした。息もできないほどの悩みを抱えている人に向けて、寄り添うような温かい歌詞が特徴だ。14の音楽番組に出演するなどロングヒットとなった前作『花は誰のもの?』以来、約11カ月ぶりの新曲となる。センターの石田千穂、フロントの高雄さやか、中村舞に楽曲の注目ポイントを聞く。
石田 誰もが何かで悩んでいて苦しいときがあると思いますが、『息をする心』は周りの人の存在や、何かの出来事がきっかけで、また息ができるようになって前に進める、ということを伝えるメッセージソングです。Bメロの「他の人と比べないで/吸って吐いて/自分のペースで」というフレーズが1番好きなんです。周りのメンバーと自分を比較して落ち込んでしまうこともあるんですけど、そうではなくて、昔の自分と比べればいいんだと思いました。
高雄 私も自分に当てはまる歌詞だと受け止めて、「もっと楽しそうに生きなきゃ」と悩んでいる1番の歌詞は過去、マイペースでいいんだと気づいた2番は今の自分のようだなって。理想的なアイドルにならないといけないと思っていたときは、苦しさを感じることもあったけど、今は「僕は僕のままで/変わらなくていいんだ」という歌詞のように気持ちを切り替えて活動しています。
中村 「君を好きになって」というフレーズから、最初は恋愛ソングなのかなと思ったんです。でも、歌詞をよく読み込むと、自分が好きなものや思いに素直に生きることで、しんどいときも前に進める何かに出合えるはず、ということを伝える曲だなと解釈しました。
石田 メロディーは明るくハイテンポ。かっこよさもあります。
中村 スピード感がありつつ、転調が多いです。1サビの途中から転調するのは、何か不思議な感じがしました。
高雄 メロディーのパターンが多くて、1番と2番がかなり違うのも新鮮です。
石田 ダンスも新しいです。最初にサビの振り見本動画を見たときは、すんなり覚えられそうと思っていたら、イントロのダンスがメンバーごとに4種類もあって、驚きました。
高雄 私たち3人はみんな違うダンスから始まって、徐々に交じり合って、最後にまとまります。大事にしているのは、手の角度や向きをいかにきれいに見せられるか。曲のタイトル通り、息を止めて、吸って吐いてという流れがあるので、特にそこに気持ちを込めていきたいです。
中村 衣装が白と黒にハッキリ分かれているので、みんなで列をそろえたり、フォーメーションを組むところは、少しずれただけでも目立つので難しかったですね。
後押しになる曲を届けたい
――石田、高雄、中村はファン投票で選ばれた7人組のユニット「STU48 瀬戸内PR部隊 Season2」のメンバーでもある。7人で全国5カ所をツアーで巡った、このユニットによる楽曲『笑顔のチャンス』をカップリングとして収録する。
高雄 『笑顔のチャンス』は全体的に優しいメロディーと歌詞です。長く同じことを続けていると、その色を知った気になってしまうけど、例えば、「青」の中にもいろいろな色や景色があるということを歌っています。
中村 「悲しみとは、きっかけ」「笑顔になれるチャンスさ」というフレーズが深くて好きです。これまで悲しかったことを振り返ってみると、実はそれが、自分が成長できたり、生まれ変われたきっかけになっていたような気がします。悲しい出来事を乗り越えたからこそ、今の自分がいて、笑っていられるんだなと共感できます。
石田 前のシングル『花は誰のもの?』は平和を願う楽曲でした。『息をする心』と『笑顔のチャンス』は、伝えることは違うけど、悩んでいる人たちへ後押しになるメッセージを伝えるという部分は変わらないと思います。そこを大切に、STU48らしさとして届けられるように歌っていきたいです。
(写真/佐賀章広)