※日経エンタテインメント! 2023年3月号の記事を再構成
HKT48が16thシングル『君はもっとできる』を2月8日にリリースした。センターは2013年に3期生として12歳で加入して以来、グループの顔として活躍してきた矢吹奈子。昨年10月に「HKT48 11th anniversary LIVE 2022 ~未来へのメッセージ~」で卒業を発表し、4月の卒業ライブを控えたラストシングルになる。そして、矢吹の隣のフロントには、期待のエースとして22年4月に加入したばかりの6期生・最上奈那華が立つ。
矢吹奈子氏(以下、矢吹) 最初に『君はもっとできる』のメロディーを聴いて、すごく明るい曲だなと思いました。そうしたら歌詞と一緒に秋元(康)先生から、「前向きな奈子への応援歌にしました。頑張れ」とメッセージをいただいたんです。あて書きで卒業ソングをいただけたことがうれしかったし、落ちサビの「もっともっと」というフレーズが続くところでうるっときて。ずっと全力で活動してきたつもりだったけど、「まだまだ秘めている可能性がある」ということを伝えてくださったんだと感動しました。
最上奈那華氏(以下、最上) 私は奈子さんからメンバーたちへのメッセージだと受け止めていて、特に奈子さんが1人で歌うパートには、「これからも、ずっと頑張ってね」という気持ちが込められている気がします。
矢吹 確かに、この曲をレコーディングしたり、歌う機会が増えていくうちに「もっともっと」と伝えているのは自分自身なので、私から発信するメッセージソングになるのかなと感じるようになりました。誰が誰を応援していると受け止めるかは聴かれる方それぞれでも、すごく勇気をもらえるし、心に響く曲だという気がします。
最上 自分の歌割りのところでは、「何をためらう?/ここでやらずにいつやるつもりだ?」という言葉が、すごくぐさりときました。今回の奈子さんの隣に立つポジションにしても、何かに新しく挑戦するのは勇気がいりますが、このフレーズで自分に活を入れています。
矢吹 振り付けで印象的なのは手を大きく開いてから包み込むところです。メンバーたちの今までの思いを抱きしめるような気持ちを込めているんです。
個性があるセンターがいい
――初の劇場公演から12年目に入ったHKT48は、結成以来、最大の変革期を迎えている。グループの黎明期を支えてきたメンバーたちの卒業が続く一方で、昨年加入した18人の6期生たちが経験を積んでいる。
そんななか、矢吹が卒業を発表した約1カ月後のライブで「0(センターポジション)の継承」が行われた。矢吹のソロでスタートした『12秒』の途中で最上が加わり2人でパフォーマンス、終盤に矢吹がステージから下がって、最後は最上が1人で締めた。
矢吹 あのときの『12秒』は振りの確認はしましたが、センターはこうあるべきみたいな話を奈那華にしたわけではないです。人それぞれ個性があっていいと思うから。
最上 奈子さんには、センターや前に立つときの緊張や不安をどう乗り越えるかを教えてほしいです。
矢吹 私はすごく幼いときに加入したから、最初はただ楽しんでいただけ。でも、奈那華は期は違うけど同世代だから、感じ方は異なると思う。周りは先輩ばかりだから難しいかもしれないけど、できていることから自分自身を認めて、自信を持ってほしい。奈那華たちに継承してほしいのは、期を超えてメンバー同士が仲良く笑い合っている学校のクラスみたいな雰囲気のHKT48らしさかな。
最上 先輩たちからは「ちゃん付けで呼んで」って、優しく声を掛けてもらいました。
矢吹 それは、すごく指原(莉乃)さんの影響があると思うんです。私もずっと、さしこちゃん呼びさせてもらっていたし、同期ばかりで固まりがちなところを、うまくグループ全体の橋渡し役をしてくれたりして。そうした空気感がずっと続いていく気がしますし、そうであってほしいですね。
(写真/佐賀章広)