※日経エンタテインメント! 2022年7月号の記事を再構成
ディズニープラスで配信中の『オビ=ワン・ケノービ』は、映画『スター・ウォーズ』の人気キャラクターを主人公にしたオリジナルドラマシリーズだ。物語の舞台は『スター・ウォーズエピソード3/シスの復讐』から10年後の世界。最良の友であり、愛弟子だったアナキン・スカイウォーカーが邪悪なシス卿ダース・ベイダーに堕ち、ジェダイが敗北を喫した後、オビ=ワンは惑星タトゥイーンに身を隠しつつ、幼きルークの成長を密かに見守っていたが…。
主演は『スター・ウォーズ』シリーズのエピソード1~3でオビ=ワンを演じたユアン・マクレガー。同シリーズのエピソード2、3でダース・ベイダー(アナキン・スカイウォーカー)に扮したヘイデン・クリステンセンも続投する。
監督は、高い評価を得ているオリジナルドラマシリーズ『マンダロリアン』にも参加しているデボラ・チョウ。エピソード全話を監督した彼女は、本作の舞台が『シスの復讐』の10年後になった理由を、こう明かす。
「『シスの復讐』の最後で深く傷ついたオビ=ワンが、(最初に公開された)『新たなる希望』までどうやって行き着いたのか。2つの話の間には20年間の歳月があるのだけど、この20年に彼を変化させる何かが明らかにあったのよ。そのストーリーは語る価値があると思った。それに、ユアン・マクレガーの年齢(71年生まれ)が、今回のオビ=ワンの年齢とほぼ同じになったことも関係しているの」
オビ=ワンを17年ぶりに演じるマクレガーは製作総指揮も務める。
「再びオビ=ワンの衣装を着て、彼になるのはわくわくしたよ。しかも、今回はキャラクターをもっと深く掘り下げていく。『シスの復讐』のラストでアナキンがダークサイドに堕ちたのは自分のせいだと罪悪感を抱いたオビ=ワンは、今やフォースも使っていない。そんなふうに人生を見失った状況から始まっていくなんて興味深い物語だと思ったんだ」と話す。
SWは技術の進化と共に
今作でマクレガーは撮影技術にも魅了されたという。『スター・ウォーズ』シリーズでは、『マンダロリアン』から、「ステージクラフト」という最新技術を採用。巨大なLEDスクリーンに背景画像を映し俳優はその前で演じる、バーチャルプロダクションと言われる撮影技術で、本作でも使用している。
「僕が出た前3部作は何もないグリーンスクリーンの前で、想像力を働かせて演じなければならなかった。1日中やるのは疲れるし、リアリティーにも限界がある。それが、もう完全に変わったんだ。背景を自分の目で見ながら演技もできる。役者にとっては本当にうれしい進化だ」と絶賛する。
革新的なテクノロジーを生み出しながら、今日まで広がり続けた『スター・ウォーズ』の世界。新たに紡がれるオビ=ワン・ケノービの物語に、今回の進化がどんな影響を及ぼすかも興味深い。