※日経エンタテインメント! 2022年8月号の記事を再構成
昨年は『イカゲーム』が世界的な大ヒットを記録したNetflix。今年、その勢いを超えると期待されているのが、現在配信中の『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』。スペインの人気ドラマシリーズ『ペーパー・ハウス』のリメークだ。
オリジナルである『ペーパー・ハウス』は、2017年スペインの放送局で製作されたクライムサスペンス。王立造幣局を占拠した8人の強盗団が、“教授”と呼ばれるリーダーが企てた前代未聞の強奪計画を実行していく。
パート1、パート2に分けて放送したが、世界的人気を博したのはNetflixが配信権を獲得し、再編集したものを世界配信してからだ。スリリングかつ痛快すぎるストーリーの魅力に加え、ベルリン、トーキョーなど世界の都市名で呼ばれる強盗団が赤いジャンプスーツにスペインの画家ダリの仮面を被った奇抜なビジュアルもキャッチーだった。
人気が出ると共に、このコスプレをした人々が世界各地のデモ会場などに出現、フランス、インドではこの格好で犯罪を行う模倣犯も出るなど社会現象に。19年に配信されたパート3以降はNetflixが製作。現時点で、同社の非英語圏ドラマとしては『イカゲーム』に次いで多く視聴されているヒットシリーズなのだ。
ダリの仮面は韓国文化のシンボルに変更
そんなオリジナル版をベースにした韓国版は、南北統一が進む架空の朝鮮半島が舞台。統一後に使われる新しい通貨を狙って、8人の強盗団が造幣局を占拠、人質を取って史上最大の強盗を仕掛けていく。オリジナル版と同じく、リーダーは教授と呼ばれる天才的な戦略家で、彼が立てた計画を実行するのは南北両国から集めた8人の犯罪のプロ。彼らはベルリン、トーキョー、モスクワなど都市名で呼ばれ、赤いジャンプスーツに身を包んでいる。ただし、仮面は韓国の伝統的な河回仮面(ハフェタル)に変わり、奇妙な味をプラスする。
またオリジナル版では強盗団VS警察の攻防がストーリーの軸になっていたが、本作では韓国VS北朝鮮の国家間の緊張や不信といった新たな要素が加わる。その一方で、強盗団においては両国出身者それぞれのバックグラウンドや人間関係、さらには彼らを阻止しようとする両国の捜査機関の思惑も絡み合う。韓国独自のアレンジで、オリジナル版とは違ったエモーショナルな展開が大いに予想されているのだ。
キャスト陣も豪華。強盗団を率いる教授役は、映画『オールド・ボーイ』で知られるユ・ジテが演じ、現場を仕切るベルリン役には『イカゲーム』で主人公の幼なじみを演じたパク・ヘス、彼らを阻止しようとする韓国の女性捜査官として米ヒットドラマ『Lost』のキム・ユンジンが出演している。
果たして、オリジナル版の人気をしのぎ、『イカゲーム』以上のヒットとなるか!?