2023年春、新作公開が相次ぐ20歳の髙石あかり。3月17日公開のSnow Man・目黒蓮主演の話題作『わたしの幸せな結婚』(東宝配給)にはヒロインの異母妹・香耶役で出演する。

髙石あかり
2002年12月19日生まれ。宮崎県出身

2014年 avex主催のコンテストを経て、芸能界へ
2016年 ダンスボーカルグループのメンバーとして活動を開始
2018年 同グループを卒業
2020年 舞台『鬼滅の刃』竈門禰豆子役
2021年 映画『ベイビーわるきゅーれ』ちさと役(伊澤彩織とのダブル主演)
2022年 ドラマ『生き残った6人によると』樫本ビースト役
2023年 映画『わたしの幸せな結婚』斎森香耶役、映画『Single8』夏美役、映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』ちさと役

23年はこのほかにも4月6日に放送開始のドラマ『堕落JKと廃人教師』(MBSほか)と、4月13日スタート予定の『日本統一 関東編』(日本テレビ系)にも出演する

 翌18日に公開された8ミリ映画作りに夢中な若者たちを描いた青春群像劇『Single8』(マジックアワー配給)ではヒロイン・夏美を演じている。そして24日には、映画初主演作である『ベイビーわるきゅーれ』(21年)の待望の続編『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(渋谷プロダクション配給)の公開が控えている。

 『わたしの幸せな結婚』では、スタッフさんやエキストラさんの数を含め、今まで経験したことのない規模感の撮影に触れました。いろんな方から「見るね」という声をいただいていて、撮影が終わってからも、作品の大きさに気付かされる毎日です。ヒロインの美世(今田美桜)を虐げる役を演じましたが、「悪い印象を抱かれるんじゃないか」という怖さは全くなかったです。私がどうこうというよりは、この作品がどう皆さんに届くんだろうというわくわくが大きいですね。

 主演の目黒さんは、現場でのたたずまいが主人公の清霞そのものでした。そうあろうとしていたのかは分からないですけど、本当にそのものだったなと、キャストの皆さんもおっしゃっていました。

 『Single8』では、少し小悪魔な役を演じているので、新たな一面を見ていただけるんじゃないかと思っています。“ザ・青春もの”なんですが、映画を見るというよりは、「体験しに行く」という楽しみ方ができる作品だと思います。お客さんが、主人公グループの5人目の仲間になれるような感じ。そのときに出てくるものを撮ってくださる監督だったので、例えばある空き缶のシーンでは、撮影中に起こったアクシデントがそのまま映っているんです。たくさんちりばめられた、素の表情にも注目してほしいです。

『わたしの幸せな結婚』は3月17日から全国公開中、配給は東宝。『Single8』は3月18日からユーロスペースほかで全国順次公開。配給はマジックアワー
『わたしの幸せな結婚』は3月17日から全国公開中、配給は東宝。『Single8』は3月18日からユーロスペースほかで全国順次公開。配給はマジックアワー

初主演作の続編が実現

 21年に公開された初主演作(伊澤彩織とのダブル主演)『ベイビーわるきゅーれ』は、社会に適合できない元女子高生の殺し屋コンビ、ちさと(髙石)とまひろ(伊澤)を主人公に描いた異色の青春バイオレンスアクション。上映館のひとつである池袋シネマ・ロサでは、『君の名は。』『カメラを止めるな!』に次ぐ記録となる、6カ月以上に及ぶロングラン上映を記録。SNSに「ベビ絵」と呼ばれるファンアートがアップされるなど、幅広いファンを獲得した。続編希望の声を受け、このたび「2ベイビー」の制作が実現した形だ。

 自分たちが想像もしていなかった反響をいただいて本当に光栄ですし、『ベイビーわるきゅーれ』で全てが変わったと感じています。

 続編を撮影することを「思いもしていなかった」というよりは、「本当に実現するとは思っていなかった」という感じです。「できるならやりたい!」と、私も伊澤さんも(阪元裕吾)監督も思っていて、1を撮っているときにもずっと続編の話をしていたんです。特に監督は「2があったら、3、4、5はこんなイメージ」と、どんどん展開していて(笑)、その構想を聞いている時間や、「こうしたら面白いんじゃないか」と、3人で“もしも話”をしている時間がすごく楽しかったので、2をやると聞いたときには「きた!」と思いました。当時、監督が話していた2の構想とは少し違うけど、要素は入っています。

『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』は新宿ピカデリーほかにて公開中。前作に続き、監督・脚本は阪元裕吾、アクション監督は園村健介
『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』は新宿ピカデリーほかにて公開中。前作に続き、監督・脚本は阪元裕吾、アクション監督は園村健介

 前回はガンアクションが多かったんですが、今回は生身で戦うシーンが多いんです。撮影に入る前、アクション監督の園村健介さんと伊澤さんと練習したのですが、ただ振りを覚えるだけじゃなく、体の動きを連動させるように基礎から学んで挑めたので、前作よりも魅了することができたらいいなと思っています。伊澤さんのアクションはさらにレベルアップしていて、私は1の試写会のとき、「こんなアクション映画、初めて見た!」と泣きそうになったんですが、2ではすごすぎて笑っちゃいました(笑)。そして、「イライラするから殺す、スカッとする、という作品にはしない」という監督の思いがあるからこそ、どのキャラクターにも感情移入できるんです。それによって、最後のアクションシーンがより深いものになったと思います。

 続編製作の実現をうれしく思う一方、続編だからこそのプレッシャーを感じたという髙石。しかし今、その思いは吹っ切れ、「よりどころ」だと語る本作が今後も続いていくことを期待している。

 1のときには、夢だった主演で、とにかく楽しくて、プレッシャーはあまりなかったんです。むしろ今回の方が感じました。うれしい期待をいただいているからこそ、それを超えるものを返したかった。いい意味で、今でも緊張しています。

 というのも、皆さんの思う「ちさととまひろ像」があると思うんです。ただ、1でのちさとは、当て書きということもあって、作った役ではないんです。その時感じたままにお芝居をしていたんですけど、当時は17歳で、今回は19歳(撮影時)。私の中の「ちさと像」が変わってきているのを感じていました。だから、皆さんが思うちさとでいられるかどうかがすごく不安で、怖くもあったんです。だけど、どこかのタイミングで、「19歳の髙石あかりが演じる19歳のちさとは、きっとあのときのちさとではない」と、だからいいんだ、私の思うままやってみようと思えました。それからは、何かが吹っ切れたように楽しく演じられました。

4月から放送の橋本涼(HiHi Jets/ジャニーズJr.)主演のドラマ『堕落JKと廃人教師』にて、ヒロイン・落合扇言を演じる
4月から放送の橋本涼(HiHi Jets/ジャニーズJr.)主演のドラマ『堕落JKと廃人教師』にて、ヒロイン・落合扇言を演じる

 現実世界と同じように、劇中も前回から1年の時間が経過したことで、2人の関係はより濃くなっています。前作では人とのコミュニケーションが難しかったまひろが、今回は頑張ろうとしている姿もすごくいとおしい。逆に、ちさとは落ちぶれてしまうんですが(笑)、前回、「まひろを見守るちさと」だったものが、今回は「落ちぶれたちさとを許してあげるまひろ」になっていたり、2人の関係が逆転していたりしていなかったり、そういう部分も面白いです。

 『ベイビーわるきゅーれ』は私にとって家族。今後も続編が続いていったら、もっと監督の脚本に触れられるし、伊澤さんとも、面白いことをやれるんじゃないかと思うんです。私にとって、よりどころといえる作品です。

4月からは連ドラのヒロイン役にも挑戦

 保育園生の時から、夢は女優だったと言う。中学生の頃から舞台を中心に芝居の経験を積み、映像の世界に飛び込んだ近年。4月からはドラマ『堕落JKと廃人教師』にて、自身初のラブコメヒロインに挑戦する。「チャレンジしている毎日がわくわく」なのだと、「楽しい」を何度も繰り返した。

 ドラマ『花より男子』(05年ほか)を見て、「つくしちゃんになりたい」ではなく、「井上真央さんみたいな女優になりたい」と言っていた幼少時代でした。その後今の事務所に入って、AAAさんのライブを見たときに「このすてきすぎる世界は何だ」と衝撃を受けて、一度は世界を目指し始めましたが所属していたダンスボーカルグループを卒業するとなって改めて「私は何をしたいんだろう」と考えたとき、「女優さんになりたい」と思ったんです。

2020年の舞台『鬼滅の刃』での竈門禰豆子役としても注目された
2020年の舞台『鬼滅の刃』での竈門禰豆子役としても注目された

 反響が大きかったのは、舞台『鬼滅の刃』(20年)での竈門禰豆子役。大人気作の、というよりも、大好きな作品の舞台に出られる喜びが大きくて、兄と泣いて喜びました。やりきれたし、思い出がたくさんあります。

 4月スタートの『堕落JKと廃人教師』は、私にとって初のラブコメディ。原作漫画がすごく面白いんです。私自身、あまり恋愛ものに触れてこなかったんですけど、そういう方も落ちちゃう作品だと思いました。主演の橋本涼さんは私より2つ年上なんですけど、主人公の灰葉仁そのものっていうくらい、大人な雰囲気を持っている方。かけ合いの多い作品なので、せりふも多いのですが、挑戦がたくさんあることにすごく今、わくわくしています。原作に寄せるだけじゃなく、見てくださる方を巻き込むテンポ感が必要な作品だし、ラブとコメディの分量がうまくマッチすればいいな、原作ファンの皆さんが思う2人を作っていけたらいいなと、頑張っているところです。

 今後は、実年齢と離れた役もやってみたいですね。そして、ずっと目指しているのは朝ドラのヒロイン。オーディションも受けていますし、夢ではなく、目標だと言いたい。難しい壁が出てきたときに、「どう乗り越えたらいいんだろう」と考える日々なんですけど、取り組んでいるその時間が幸せなんです。

 最近はまっているエンタメは映画。おすすめの作品をマネジャーが教えてくれるのだと言い、そうした自身の環境を「恵まれている」と幸せそうに話した。

 最近は『そばかす』(22年)や『RRR』(22年)を見ました。映画好きのマネジャーさんに教えてもらって見たんですが、度肝を抜かれるくらい面白かったです。映画館も好きになって、1日に2回、行くこともあります。映画好きのマネジャーさんがそばにいて、私のお芝居を見てくれる、こんなに貴重なことはないですよね。

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(撮影/中村嘉昭 ヘアメイク/西田美香【atelier ism(R)】 スタイリスト/入山浩章)

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