10歳の時に、ダンスボーカルユニット、Dream5のメンバーとしてキャリアをスタートした大原優乃。現在は、ドラマ『あせとせっけん』(22年)に主演(佐藤寛太とのW主演)するなど、女優を中心に活動しながら、グラビアモデルとしても第一線で活躍している。

大原優乃(おおはら・ゆうの)
1999年10月8日生まれ。鹿児島県出身。2009年、ダンスボーカルユニットのDream5のオーディションに合格、14年には『NHK紅白歌合戦』にも出演した。17年に俳優デビュー、代表作には『ゆるキャン△』(20年)『あせとせっけん』(22年)など。グラビアモデルとしても高い人気を誇り、19年、20年に「カバーガール大賞」(20年はコミック部門)を受賞

――そんな大原が犬飼貴丈とダブル主演を務めるラブコメディ『-50kgのシンデレラ』が、8月12日よりParaviオリジナルドラマとして好評配信中だ。大原が演じるのは、恋したことをきっかけに“変わりたい”と一念発起し、-50kgのダイエットを成功させたひたむきな元ぽっちゃり女子・陽芽(ひめ)。陽芽と犬飼演じる宰(おさむ)、2人が織りなすピュアなラブストーリーを通し、陽芽の成長も描かれる。大原にとって、『あせとせっけん』以来2作目のラブコメディ。「陽芽ちゃんの一番のファンでいたい」と臨んだ本作を通し、大原が伝えたいこととは。

『-50kgのシンデレラ』はParaviのオリジナルドラマで8月12日から全8話が順次独占配信されている
『-50kgのシンデレラ』はParaviのオリジナルドラマで8月12日から全8話が順次独占配信されている

 好きな人にもう一度会いにいくため、なりたい自分になる努力にひたむきな陽芽ちゃんは、本当にかわいいんです。私自身もたくさんコンプレックスがありますし、体形管理で一喜一憂することも多いので、陽芽ちゃんにはとても共感しましたし、感情移入しました。でもこの作品は、太っていることが良くないとか、痩せていることがかわいいということをお伝えしたいわけではない。なりたい自分になるべく頑張る陽芽ちゃんの、ポジティブな強さを大事に演じたいと、一番に感じました。その思いを監督やスタッフの皆さんにもお伝えさせていただき、ぽっちゃりの陽芽ちゃんも痩せたあとの陽芽ちゃんも演じ分けはせず、むしろ変わらないことを大切にしました。ただ、頑張ったことによって得た自信って、自分にとって一番の味方になってくれると思うんです。だから、少しずつ自信がついて変わっていく陽芽ちゃんの成長は、お芝居で伝えたいと思いました。

 ぽっちゃりの陽芽ちゃんを演じるときには、私の顔を3Dスキャンした型を使って作ったシリコンマスクを、顔から首のラインに着けて、首から下はファットスーツを着ています。撮影前には、どうすればリアリティーをもって演じられるか不安もあったんですが、いざスーツを身にまとってみると、すっと役に入ることができました。あの姿での撮影は5日間ありましたが、おなかがひっかかって自分で靴下が履けなかったんです。スタッフさんのお力添えのおかげで、リアルな陽芽ちゃんになれたことは本当にありがたかったです。私自身、原作のある作品を演じさせていただくときには、容姿を近付けることから役に入ります。最初に目に入るのは姿形ですし、そこを受け入れてもらえなかったら、たとえお芝居を頑張ったとしても見てもらえないのではと思うんです。私も漫画やアニメが好きだからこそ、そこはすごく大事にしていますね。

ぽっちゃりの陽芽を演じるときに着たファットスーツは、毎日準備に3時間半かかったという
ぽっちゃりの陽芽を演じるときに着たファットスーツは、毎日準備に3時間半かかったという

――Dream5での活動終了後の17年に俳優デビューを果たしたが、当時、演技の経験はほぼなかった。しかし『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(19年)にて同世代の俳優と現場をともにするうち、本格的に道を定めた。その後『ゆるキャン△』(20年)などで好評を得るなど、徐々に演技への評価や役者としての存在感が高まっている。

 音楽はずっと消えずに残るものだから、Dream5には過去の自分が残っている感じがして、私はそれがすごくうれしいんです。グループがあったからこそ、ティーン誌のモデルなどいろいろなお仕事を経験できましたし、当時はどのお仕事もすべて「グループのために」と思って臨んでいました。お芝居は全く別の職業だと思っていたのですが、お話をいただき、やってみたいと挑戦をしました。『3年A組・・・』のオーディションに合格した頃から演技のレッスンを本格的に受けるようになり、現場で同世代の方々からたくさん刺激をもらって、そのときに「お芝居をやっていきたい」と覚悟を決めました。『3年A組・・・』でご一緒した皆さんとは、別の作品で再会することがとても多いんです。お互いを認め合える戦友ですし、今でもすごく心強い存在です。

 『ゆるキャン△』は、絶対にやりたいと思っていた役を演じることができてうれしかった一方、実写化に対していろいろな意見があるなかでの撮影は、それまでに感じたことのないプレッシャーがありました。作中に登場する場所で撮影するので、原作ファンの方をお見かけすることも多くて、改めて作品の大きさを感じました。実写版もたくさん愛していただき、今も「なでしこちゃん」と呼んでくださる方がいることは役者冥利に尽きますし、これからの自分にとっても代表作といえる作品だと思っています。

過去出演作の『ゆるキャン△』『女子グルメバーガー部』『あせとせっけん』は現在同じくParaviで視聴可能
過去出演作の『ゆるキャン△』『女子グルメバーガー部』『あせとせっけん』は現在同じくParaviで視聴可能

 自分の特徴的な声もあってか、実写化作品を演じさせていただく機会は多いです。私も、漫画やアニメを見て演じてみたい役や作品を見つけると、マネジャーさんに「やりたいです」と伝えているんです。1人でお仕事をするようになってから、思いはきちんと伝えようというふうに変わりました。以前は、意見を言うことはわがままなことだと思っていたんですが、今は話し合うことでよりいいお仕事ができると感じていますし、そのぶん、スタッフの皆さんの知識にも負けないくらい勉強しなければいけないと思っています。

――俳優デビューと同年、グラビアにも進出した。服が主役のファッションモデルと異なり、自身に届くダイレクトな声に当初は戸惑うこともあったが、そこで学んだことが今、芝居にも生きている。経験はすべて役につながると知っているからこそ、常に「求められるものに応えたい」、それが大原の在り方だ。

 グラビアは自分が主役ですし、体形も含め自分のすべてが商品。いただく言葉一つ一つが自分に刺さるので、気持ちが落ちる時期もありました。だけど今は、求めていただけるものに応えたいという考えに変わりましたし、女優とグラビアの活動はリンクしていると私は思うんです。『あせとせっけん』も、見られ方をグラビアで学んできたからこそ演じ切ることができたのかなと思いますし、グラビアで学んできた「女性としての見え方」みたいなものはお芝居にも生きていると思います。今後は、女性の方にも見ていただけるようなグラビアもやっていきたいですね。

 私が今、一番頑張っていきたいと思っているのはお芝居なのですが、活動を役者だけに絞ってしまうのではなく、お声かがけいただけるものにはどんどん挑戦していきたいです。グラビアもそうですが、そこで得た経験がいつかきっと役につながっていくと思っています。最初の頃は、ごく普通で少し内向的な役、皆さんがイメージする私に近い役どころが多かったですが、去年(21年)あたりからいろいろな役をやらせていたけるようになりました。『僕らが殺した、最愛のキミ』(21年)では初めてキスシーンがあったり、人にナイフを向けるシーンがあったり。実際の自分と離れている役柄を演じるのはとてもやりがいがあって楽しいので、これからもっとギャップのある役をやってみたいです。目標は、自分に役を寄せるのではなく、自分のほうから役に寄っていける女優になること。年齢も重ねて、求められるものも変わってきているのかなと感じますが、常に求められるものに応えられる自分でいたいですね。

もう1つの軸であるグラビアは、役者としての活動とリンクしていると言う
もう1つの軸であるグラビアは、役者としての活動とリンクしていると言う

――引っ越しを機に購入した、白い英国マーシャル社製のスピーカーが最近のお気に入り。インテリア感覚で選んだが、スマートフォンで聴く音楽とはまるで異なる良質な音にハマっているという。好む音楽ジャンルは、実に幅広い。

 曲によって重低音を調整するのが楽しくって。最近は、KID FRESINOさんや羊文学さんの曲を聴いています。音楽の趣味が合う方に「最近、何かお薦めありますか」と聞いて、新しい曲と出会うことが多いですね。Coccoさんやカーディガンズさんの曲を現場で流していると、カメラマンさんがお薦めを教えてくださったり。ちゃんみなさんの曲もずっと聴いていたので、今回、『-50kgのシンデレラ』の主題歌『TOKYO 4AM』を歌ってくださることが本当にうれしくて、ずっと聴いています。

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(写真/中村嘉昭、衣装協力/ENCANT、SHIROMA)

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