Z世代の注目株にインタビューする「ネクストブレイクファイル」。今回話を聞くのは、2021年8月から放送が開始された韓国発のオーディション番組『Girls Planet 999:少女祭典』(以下、ガルプラ)を経て、世界中から注目を集める存在となったアーティストである川口ゆりな。14年の『第14回全日本国民的美少女コンテスト』で演技部門賞を受賞し、16年8月に次世代ユニットのX21の一員として活動を開始した。18年にグループ解散後、21年に同番組に挑戦。確かなスキルと豊かな表現力、パフォーマンスに対する真摯な姿勢を示し、多くのファンの心を動かした。22年2月から『MORE』の専属モデルを務め、3月21日に『Look At Me』にてソロデビューを果たすと、日本国内はもちろん、アジアや南米からも取材が殺到した。なかでも現地で人気が沸騰している台湾からは22社のマスコミから申し込みがあったという。YouTubeにアップされた同曲のミュージックビデオ(以下、MV)は200万回再生に迫る勢いで、海外ファンからのコメントも数多く、その人気ぶりがうかがえる。

――6月20日に配信がスタートした待望の2ndシングル『Cherish』(7月20日にCDリリース)は、キラキラと愛らしい元来の“川口ゆりならしさ”に、デビュー作で得たスキルと自信がプラスされた。まだまだ見せたい顔があるという川口。輝く瞳で夢を語った。

川口ゆりな(かわぐち・ゆりな)
1999年6月19日生まれ。宮崎県出身。14年『第14回全日本国民的美少女コンテスト』演技部門賞を受賞。16年8月から次世代ユニット・X21のメンバーとしても活動を開始。21年に参加した韓国のオーディション番組『Girls Planet 999:少女祭典』にて一躍、脚光を浴び、帰国後の22年3月21日、『Look At Me』(ユニバーサル ミュージック)にてソロデビューを果たす。6月19日には、初めてのファンミーティング「Kawaguchi Yurina 1st Fan meeting Yurina’sBirthday」を実施した。同年2月から『MORE』の専属モデルとしても活動中

 ガルプラを終えて帰国してから、もう一度、自分が何をしたいのか考える時間を設けて、改めて「音楽をしたい」と思いました。ソロアーティストとしてデビューするという選択は、私を応援してくださっている方にとっては衝撃的だったと思います。だからこそデビューシングルは、覚悟を表現する楽曲、私がこれまで見せてこなかった、内に秘めた感情を見せられる楽曲にしたくて、あえてイメージを覆す作品を選んだんです。作詞にも関わらせていただき、デビュー曲『Look At Me』には、自分が届けたいものを詰め込めるだけ詰め込みました。配信当日は「やっとファンの方に届けることができる」と、ホッとした感覚がありましたね。MV(ミュージックビデオ)の再生回数からも反響を感じましたし、「音楽をやっているゆりなを見ることができてうれしい」という言葉が、とても励みになりました。

 YouTubeやSNS(交流サイト)には、海外の方もたくさん反応をくださって、すごく光栄でしたし、驚きもありました。外国語のコメントも、もちろん読みます。皆さん、難しい単語を使わずに書いてくださるんですよ。私が分かるように、日本語に翻訳してくださる方もいます。そういう優しさがコメントから伝わってきて、とてもいとおしいんです。「ありがとう」という気持ちで読んでいます。

――挑戦と覚悟を見せた『Look At Me』から一転、新曲『Cherish』は、まさに“ゆりならしい”楽曲。キラキラした思いを胸に、大切に歌ったという同曲のレコーディングでは、ある光景をイメージしたという。そして5月14日、幕張メッセで開催された『Rakuten GirlsAward 2022 SPRING/SUMMER』にて、久しぶりに観客の前に立った。

1stとは全くことなる2ndシングル

 『Look At Me』では、新たな歌い方の引き出しをつくってもらいました。自分では知らなかった歌声、エッジボイスや息の含ませ方など、自分の声を意識的に操れるようレッスンを受けたことが、『Cherish』のレコーディングにも生きました。『Look At Me』がなかったら『Cherish』は歌えなかったと思います。レッスンで吸収したことを、自分のオリジナル曲ですぐにアウトプットできる環境がすごくありがたいですし、ステップアップを実感しています。

 私はもともと、『Cherish』のようなキラキラした楽曲のほうが表現としては得意なのですが、デビュー曲では新しい自分や覚悟を見せたかったので、あえて正反対の曲に挑戦したんですね。だから「2ndでは、ゆりならしい楽曲をやりたいね」と、『Cherish』をいただいたんです。最初に聴いた瞬間、もう「好きだー!」って思いました(笑)。今回は、歌詞も曲もすでに出来上がった状態で、そこから私のなかに落とし込んでいったんですけど、楽曲の世界観に入り込むのに時間はかからなかったですね。自分のものにできたかなと、手応えを感じています。

 そういえば、仮タイトルは『Cherry』だったんです。かわいいなと思って由来を聞いたら、『Cherish』からもじった、と。調べてみると『Cherish』には「大切にする」という意味もあって、こっちのほうがタイトルとしてしっくりくるなと、提案しました。大切な人を思い浮かべている、温かくて柔らかい気持ちを声で表現できるよう、「もっとキラキラ!ときめき感じて!」みたいなディレクションをしていただきながらテイクを重ねました。そういうとき、私はステージで歌っている場面を想像するんです。「ライブでの景色はこういう感じかな?」と目をつぶって、光景を思い浮かべながら歌いました。

 先日の『Rakuten GirlsAward 2022 SPRING/SUMMER』で、ソロアーティストとして初めてステージに立つことができたんです。ステージに立つのは(16~18年まで所属した次世代ユニットの)X21のとき以来なので、本当に楽しかったです。ファンの方に直接会えること自体が初めてでしたから、すごくうれしかったですし、あんなに大きな場所でデビューステージを披露できることがとても光栄だったので、楽しみで楽しみで仕方なかった。「やってやるぞ」という気持ちでパフォーマンスしました。

――川口の話からは、あらゆる経験をすべて吸収し、常に新しい自分を発見したいという強さと意欲を感じる。合格ラインを超えられなかったガルプラの経験も、いまや彼女の糧。22年2月から『MORE』の専属モデルとしても活動中で、「心がけているのは挑戦」と、クリエイトにも興味があるという。

 モデルをさせていただくときは、お洋服を良く見せることがお仕事。だけどアーティストとしては「自分」を表現することにこだわりたいです。何にでもチャレンジして、私自身も新しい自分を発見したい。心がけているのは「挑戦」です。作詞も続けたいし、いつか作曲もやってみたい。ファッションやメイク、コーディネートも好きなので、いつか自分のライブのセットリストや演出も考えたいです。

 私の夢は、お芝居や広告といった自分が出演する作品の主題歌を歌うことなんです。いつかそんなふうに、自分でプロデュースしたり、作詞作曲したり、思いが詰まった作品を届けたいと思っています。アーティスト、俳優、モデル、すべてを通して「川口ゆりな」という人間を受け止めて、応援していただけたらうれしい。飽きずに楽しんでもらえるよう、何にでもヒョイっと化けられるような存在でありたいですね。

 近い目標としては、ソロライブをしたいです。そのためには、たくさん曲を作らないといけませんね(笑)。とにかく、ファンの方と触れ合える機会をつくりたいんです。8月に初めて関西に行けることになったんですが(8月4日開催予定『EXIA Presents KANSAI COLLECTION 2022 AUTUMN&WINTER』)、これまでのイベントはずっと東京だったので、国内の方でも遠いと感じる方が多かったと思います。まずは関西に行けるので、楽しみたい。海外でのライブも、いつか絶対したいです。語学の勉強もしています。

 ガルプラの結果は、私のなかで悔いになっていません。経験したことはすべて今につながっていますし、ガルプラに出ていなかったら、私は今、こんなに幸せな気持ちを知らないだろうなと思います。本当に宝物のような時間だったし、当時を思い出すと、いつでも初心に戻ることができる。あの場所で感じた気持ちを、ずっと忘れずに生きていこうと思っています。

 ただ、ガルプラの影響力があまりに大きかったぶん「時の人」にならないよう、進んでいかないといけない。自分自身をどんどん超えていける表現者になることを目標にしています。

――あえて、歌う楽曲のジャンルは明確にしていないという川口。自身が、敬愛するアーティストから力をもらったように、川口ゆりなという音楽を、多くの人に届けたい思いがある。

玉置浩二と松浦亜弥をお手本に

 私は、玉置浩二さん、松浦亜弥さんが大好きなんです。「玉置浩二さんの生歌を聴ける時代に生きていてよかった」「松浦亜弥さんのライブに行けた人生でよかった」と、日々、生きていることに心から感謝するくらい。お2方をはじめ、尊敬するアーティストの方々の音楽を聴いて私は生きてきたので、私も誰かにそういう音楽を届けることが、人生の最終目標です。

 玉置さんからはもう、「音楽とは」ということを学んでいる気持ちです。同じ人間なんだろうかと思うくらいの表現の幅、感情の幅など、そこにブレーキがない感じ。年齢を重ねるごとに進化し続けていらっしゃるところも尊敬します。玉置さんが出演された番組はほとんど見ていますし、玉置さんの音楽を聴けることがどれほど幸せかを噛みしめています。

 松浦さんは、保育園児の頃に地元の宮崎にライブへ来てくださって、そこに行ったんです。パワフルなパフォーマンスに、子どもながらに圧倒されて、それから毎年、七夕の短冊には「松浦亜弥になりたい」って書いてました。キラキラ輝いていて、憧れない人はいないだろうと思います。今でも松浦さんのライブ映像を見返して、パワーをいただいているんです。

 私自身は、邦楽や洋楽といったジャンルにとらわれたくないと思っています。ガルプラを経験しているぶん、K-POPだと受け止める方もいらっしゃると思いますが、あえてジャンルは明確にしていません。例えば安室奈美恵さんや浜崎あゆみさん、BoAさんのような、聴けば分かるその方のサウンドってあるじゃないですか。邦楽なのか洋楽なのかということではない、その方自身の音楽。そんなふうに、私ならではのジャンルを確立していきたいですね。

――忙しくも充実の日々。アニメとゲームを楽しむことがリフレッシュになっている。

 姉の影響で、アニメとゲームにハマっています。最近はアニメ『ソードアート・オンライン』を一気に見ました。それまでは『七つの大罪』や『呪術廻戦』『Dr.STONE』といった爽快な作品を見ることが多かったんですが、初めてRPG(ロールプレイングゲーム)が題材の作品を見て、すごく新鮮だったんです。こういう感じも好きだなと思って、スマホにRPGのアプリをいくつか入れました。完全に影響を受けています(笑)。ゲームは『原神』をやり始めたばかり。絵がすごくきれいなんですよね。

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(写真/中村嘉昭)

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