2022年にさらなる飛躍が予想される、Z世代の期待の新星を取り上げるネクストブレイクファイル。1月期の火曜ドラマ『ファイトソング』のほか、ドラマ『卒業式に、神谷詩子がいない』や映画『女子高生に殺されたい』など話題作への出演が相次ぐ莉子。出演作のほとんどが高校生役ながら、それぞれの個性を演じ分ける役作りの秘訣とは。

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莉子(りこ)
2002年12月4日生まれ、神奈川出身。『Popteen』の専属モデルとして活躍し、同世代を中心に高い支持を得る。2019年『劇場版 パラレルスクールDAYS』にて女優デビュー。以降、ドラマ『ブラックシンデレラ』『DISTORTION GIRL』など2度の主演を務め、今年に入ってもドラマ『ファイトソング』、『卒業式に、神谷詩子がいない』や映画『牛首村』『君が落とした青空』『女子高生に殺されたい』など出演作が途切れない、今後の活躍が期待される若手女優。4月5日放送開始の連ドラ『村井の恋』(TBS/毎週火曜24時58分)では、メガネがキュートな女子高生・西藤仁美を演じる

――2022年早々から話題作への出演が相次ぎ、人気・知名度ともに急上昇中の女優・莉子。4月1日公開の映画『女子高生に殺されたい』(日活配給)では、女子高生に殺されるために教師になった男・東山(田中圭)に引かれ、翻弄される主要女生徒の1人・京子役として出演。女の子同士でつかみ合う演技にも挑戦した。明るくチャーミング、サービス精神旺盛な彼女だが、女優としてはストイックで貪欲。本気で芝居と向き合うきっかけとなった作品や、独自の役作り法、かなえたい夢について語った。

 これまでは青春ストーリーやポップな作品に出演する機会が多かったので、『女子高生に殺されたい』のようなサスペンスは、挑戦してみたかったジャンルです。オーディションでは、別の女子生徒のかけ合いを演じたのですが、結果、京子という原作にはない役をいただきました。すごくうれしい半面、どう演じようかってドキドキしました。京子と同じく東山先生を好きになる愛佳(茅島みずき)とつかみ合うシーンはやっぱり印象深いです。女の子同士が、言葉でケンカするんじゃなくつかみ合うっていうのも、この作品だからこそ。みずきちゃんと、事前に「このあたりつかんでもよいですか?」「あ、大丈夫です」みたいなやりとりをしつつ(笑)、本番ではがっつりぶつかり合えていたと思います。

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 私は、作品が決まると役作りのノートを作って、この子はどういう子なのか、何が好きなのか、自分が思う役のイメージをすべて書き出すんです。例えば京子の場合は、女の子っぽくて、裏表があって、とにかく東山先生のことが大好きで、とか。そこに、実際に監督からいただいた正確な情報を書き足していきます。書くことで、役のすべてを自分の中に入り込ませる感覚ですね。ただ城定監督は、あまり「こうしてほしい」っておっしゃらない方なので、役作りに少し不安があったんです。実際、現場でも「はいOK!」じゃなく、「はいはいはい」っておっしゃるんですね。プロデューサーさんから「城定監督の『はいはいはい』は大丈夫ってことだよ」って、教わりました(笑)。現場は、良い意味でずっと緊張感が走ってました。同世代の方が多いとはいえ、ワイワイしゃべるというよりかは、そこに役が1人ひとり、実際に存在している感じ。そうすることで作品の雰囲気が守られている、そういう感覚がありました。

――現在放送中の『卒業式に、神谷詩子がいない』(毎週日曜13時45分/日テレ)で演じるのは、快活な女子高生・萌。莉子自身の明るさにも通ずるキャラクターだ。主要キャスト6人の等身大の仲の良さが伝わる青春ストーリーながら、作中にはコロナ禍を含むシリアスな側面も描かれる。彼女自身、昨年まで高校生。「青春を奪われる」若者の気持ちに寄り添い、責任感をもって役に臨んだ。

 萌の役作りノートには、とにかく明るい子、結構ミーハー、ムードメーカー、など書きました。私も明るい性格ですけど、自分のままというわけではなく、ちゃんと「宮田萌」としての明るさを演じることを意識しました。あと、この作品では6人のバランスも大事ですから、実際に演じながら役を作っていったところもあります。作中では、コロナ禍のことも描かれます。私は幸いにも修学旅行にも行けたのですが、行けない友達が何人もいて。青春を奪われる気持ちってすごく繊細なものだから、ちゃんと責任をもって演じなきゃいけないと思いました。

 そうしたシリアスな面もありますが、現場ではみんなで、しゃべって笑ってましたね。休憩時間にカードゲームをやったり、ストーブの前に集まったり、高校生に戻った気分でした。学園ものをたくさんやらせていただいてるからこそ感じることなんですが、やっぱり作品の雰囲気、監督、キャストによって、現場は全く違います。同じ「制服」っていう共通点があっても、まるで別のものなんです。

――1月期に火曜ドラマ枠で放送された岡田惠和作のヒューマンラブストーリー『ファイトソング』にて、初めてゴールデンプライム帯ドラマに出演。かつて事故で夢を断たれた主人公・花枝(清原果耶)に対し、複雑な思いを抱く高校生の穂香を演じた。無気力に暮らす花枝に「この人、もう終わってる」と言い放つなど、ツンとした態度に当初、視聴者からいら立ちの声も聞こえてきたというが、女優としてはうれしかったと語る。

 もともと火曜ドラマのファンだったので『ファイトソング』のお話をいただいたときは信じられませんでした。1話の登場シーンは監督とも相談しながら、「なんだこの高校生は」って、嫌な奴だと思われるように演じました。実際、SNSでもそのような反応でした(笑)。でも、役者としてはうれしい言葉ですよね。地上波の連ドラで10話もあると、監督が何人もいらっしゃって、それぞれ指導の仕方も違う。臨機応変にどれだけ対応できるかが、俳優には必要なんだなって学びました。私は、監督にいただくアドバイスはすべて受け止めたい。常に、真っすぐな役者でありたいなって思っています。

――小学6年生のとき、ジュニアブランド「ANAP GiRL」のウェブモデルに自ら応募したことが、表舞台に立つきっかけだった。しかし、ジュニアモデルの期限は中学生まで。進路を考え始めたタイミングで、現事務所から声がかかった。最初はモデル志向だったが、ある作品との出合いを機に、芝居を学びたいと思うようになったという。

 ジュニアモデルをやりながら、中学ではバドミントン部に入ってました。このまま普通の高校生になろうかなって思っていたタイミングで、今の事務所に声をかけていただいたんです。事務所に入るってことは、この業界で生きていくってこと。だからちゃんと両親とも話して、頑張ろうって決めました。

 転機は、映画『小説の神様 君としか描けない物語』(20年)に出演させていただいたこと。プロデューサーさんから「まばたきしちゃダメだよ。映像にはつながりがあるんだよ」って、すごく基本的なことを指摘いただいて。目がさめたというか「このままじゃダメだ」って思いました。そうやって言ってくださる方はなかなかいらっしゃらないから、すごくありがたい半面、「私はそんなことも知らずにやってたんだ」って、悔しかったです。その悔しさが、やる気につながりました。負けず嫌いなので、できていないままにするのがどうにも嫌で。だから「もっと学ぼう」って、ワークショップに通い始めたんです。そうしていろんな作品に巡り合うことができて、いろんな現場を経験していくうちに、演技が楽しいと思うようになりました。今もワークショップには通っていますし、演じることがすごく楽しいんです。

 もう1つ、役者人生に影響を与えてくれたのは、初めて連続ドラマの主演をやらせていただいた『ブラックシンデレラ』(21年)。演じた愛波は、事故で頬に傷が残った女の子なんですけど、きれいに傷が治る物語ではないんです。残ったままだけど、前を向いて真っすぐ進もうっていうメッセージ性がある作品。実際に、消えない傷を持った方から「勇気をもらいました」っていう言葉をいただいたときは、本当に演じてよかったなって思いました。体力面での大変さや、主演の重みもすごく感じましたけど、みなさんと一緒に作品を作り上げていく一体感を初めて得られた、私の人生を変えてくれた作品です。

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――「欲張りなので」と、夢は大きく明確だ。努力を惜しまず、明るくポジティブ。どんな夢もかなえてしまいそうな莉子だが、人知れずプレッシャーと戦う日々。乗り越えるための、あるルーティンを教えてくれた。

 私は、オールマイティーな人になるのが目標なんです。俳優は今、一番頑張りたいことだけど、バラエティもやりたいし、いつかはモデルとしてプロデュース業もやりたい。「いただいたお仕事、全部やらせてください!」って、いつもマネジャーさんにお願いしてます。

 いつかはまた、主演もやりたいです。あの一体感を経験したら「もう一度、この場所に戻りたい」って思っちゃいますね。主演で悪役ってなかなかないですけど、裏切るような役をやってみたい。最近は明るい役が多いので、ガラッと違う役をやってみたいです。

 朝ドラや大河ドラマへの出演も目標としています。それも含め、オーディションは幅広く挑戦しています。オーディションって緊張するので、最初は苦手だったんです。でも、他の女優さんと突然一緒にお芝居をする機会ってなかなかないと気づいて。勉強になるし、楽しいと思うようになりました。手応えはいつも、自分では分からないけど、毎回「今出せる100%は出し切った」って思ってます。私、本当はすごく考え込むタイプだし、プレッシャーに負けそうにもなります。だから芝居の前には小声で「大丈夫、自分ならできる」って、つぶやいてから挑むんです。

――多忙な日々を送る莉子だが、癒やしと元気をくれる「ぜいたくな時間」があるという。

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 かまいたちさんと、丸山礼さんのYouTubeを見るのが大好きで、めちゃくちゃ笑って元気をもらっています。納豆ご飯を食べながら、お2組のYouTubeを見る時間ほど、幸せなものはないですね。

 最近、マンガも読むようになりました。マンガ原作のある映像作品を見るとき、先に読むようになったのがきっかけです。あと、共演が続いてすごく仲良くなった(茅島)みずきちゃんが少女マンガ好きなんですよ。「莉子ちん、読んでみて」ってオススメが送られてくるんですけど、最近ハマったのが『どうせ、恋してしまうんだ。』(満井春香作)。カッコいい男の子がいっぱい出てくる青春ストーリーなんですけど、久しぶりに「甘酸っぱいなぁ」ってときめきました。

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(写真/佐賀章広、ヘアメイク/Kaco(ADDICT_CASE))