2022年にさらなる飛躍が予想される、Z世代の期待の新星を取り上げるネクストブレイクファイル。第1回に登場するのは、21年のドラマ『美しい彼』のダブル主演時に「孤高の美しい人」として存在感を示した八木勇征。約3万人が参加したオーディションを勝ち抜き、FANTASTICS from EXILE TRIBEのボーカリストの座をつかんだ逸材でもある。俳優としての感情表現は、歌にも通ずるところがあるという。

八木勇征(やぎ・ゆうせい)
1997年5月6日生まれ。東京都出身。清涼感と甘さを兼ね備えた歌声が魅力のボーカリスト。ドラマ『美しい彼』では、クラスのカースト上位に君臨するカリスマ的存在・清居奏を演じた。FANTASTICS from EXILE TRIBEとして、3月9日に新曲『サンタモニカ・ロリポップ』をリリース

――21年11月から放送されたドラマ『美しい彼』。主人公の2人が織りなす歪で切ない恋物語は、放送開始直後から大きな話題を呼び、その人気は世界へと波及。タイ、ベトナム、韓国ほか各国でも配信された。原作のあまりの美しさから「実写化不可能」と言われていた同作で、注目の若手俳優・萩原利久とともに主演を務め、「孤高の美しい人」として存在感を示したのが、FANTASTICS from EXILE TRIBEのボーカリストで、同作がドラマデビューとなった八木勇征だ。

 『美しい彼』の話を聞いたときは、めちゃくちゃうれしかったです。ずっとドラマに挑戦したくて、もう「今すぐにでも!」という気持ちでいました。とはいえ外部でのお芝居は初めてで最初はすごく緊張していましたが、酒井(麻衣)監督はとにかく演者ファーストで親身になってくれる方なので現場の雰囲気もとても良く、初めての連続ドラマが酒井監督の作品で本当に良かったです。最初はスタッフさんやキャストの皆さんが僕に合わせてくれる感覚があったんですが、それに甘えずに皆さんの想像を超える自分を出していかなきゃいけない、へこたれた自分でいたくないと常に思っていました。何より、スタッフの皆さんは、僕たちよりも早く現場に入って、さらに撮影が終わってからも作業をされていて、僕の何倍も疲れていたと思うんです。皆さんを元気づけるというのはおこがましいですが、モチベーションが上がる現場作りをしたかったですし、常に明るい雰囲気を作りたいなということは、主演として心掛けていました。

 同世代の役者の方たちとの出会いも自分の中では大きかったです。役者としての下積みが僕にはまったく足りないので、学ぶところが本当にたくさんありました。例えば(萩原)利久は、カメラに対してではなく、カメラの向こう側に伝わる演技をするんです。そういったものを肌で感じて、改めて役者さんってすごいなって。でもそれは、必ず僕にも落とし込めるはずだと思って、感覚と感情を大切に演じました。

 実際、芝居は変わったと思います。実は、クランクインから6日後に最終話の化学室のシーンを撮ったのですが、その6日間でも劇的に成長出来たと思いますし、演じた"清居奏"が1つ大人になったのが自分でも分かりました。

初めてのドラマ出演で主役に抜擢

――個人活動として、八木が「ずっとやりたかった」のは俳優業。FANTASTICSとしても舞台や番組を通して芝居を経験してきたが、いよいよかなった初めてのドラマ出演で、いきなり主演に抜てき。監督や、同世代の経験豊富な俳優に刺激を受けながら、1カ月の撮影期間を走り抜けたようだ。

 舞台だと『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』、映像では『マネキン・ナイト・フィーバー』が、それぞれ初めての芝居でした。とても楽しかったです! 非日常を味わえる、とても刺激のあることだなって。それは今でも、いろんな現場に行かせていただくたびに思います。

――大学2年生時のケガを機に、サッカーの道から「もう1つの夢だった」歌の世界へ踏み出したのは2017年。同年に開催された、LDH主催の『VOCAL BATTLE AUDITION 5』を勝ち抜き、FANTASTICS from EXILE TRIBEのボーカルとして2018年にメジャーデビューを果たした。

 中学校の卒業レクリエーションのとき、RADWIMPSさんの『いいんですか?』をみんなの前で歌ったんです。それが、「歌手っていいな」って思ったきっかけでした。『VOCAL BATTLE AUDITION 5』は人生初のオーディションで本当に右も左も分からなかったのですが、後悔のないようひたすらに全力で取り組みました。経験豊富なEXPG生がたくさんいるなかで、「僕は誰よりも頑張っているんだ」という自信を持ちたかったので規則正しい生活を徹底したり、トレーニングに力を入れたりして自分を追い込みました。ランニングをしたり、山登りをしたり……。LDHは体育会系のイメージがあったので、体力勝負の場面でぶっちぎりの1位を取れば、注目してもらえるかもと考えました。スポ根を発揮することで、僕の闘争心は感じてもらえたんじゃないかと思っています(笑)。

コロナ禍を準備期間と前向きにとらえる

――スタイリッシュかつポップなビジュアルとサウンドを特徴とするFANTASTICSのボーカリストとして活動を開始し、19年にはホールツアーも経験。順調にステップアップし始めた矢先に遭遇したのが、新型コロナウイルス蔓延という事態。アリーナツアーの休止が決定するなど、一時歩みを止めざるを得なかった。しかし、その期間をやりたいことへの準備に充てたことが個人活動での活躍にもつながったという。

 2020年にコロナ禍の影響でアリーナツアーが延期になったとき、ライブができないんだとショックでしたが、時間が経つにつれグループ全員がポジティブに考えるようになりました。立ち止まるよりも、武器を増やして次に挑むほうがいい。むしろ、その期間にしかできないことがあるなと思い、僕はピアノに挑戦しました。グループとしても、その時期に頑張ったからこそ楽曲の幅が増えてきているので、次のツアーはさらにフル装備の状態で迎えられると思っています。

 今思えば、個人活動がしっかりできるようになるための準備期間だったとも感じていて。FANTASTICSの曲を知ってもらうためには、まず僕らを知ってもらわなければいけない。いろんなアプローチの仕方があると思いますが、俳優にしても声優にしても、しっかりと一人前に力をつけて個人活動をすることでグループの認知が高まると思っています。FANTASTICSの曲を聴いてくれる人が増えてくれたら嬉しいですし、それはもちろん僕たちが一番求めていることです。

――俳優としての感情表現は、歌にも通ずるところがあるという八木。俳優として経験を重ねながら、ボーカリストとして成長し、グループとしてもさらに活躍したい思いがある。『美しい彼』をきっかけに、世界へと大きな一歩を踏み出した八木が抱く、今後の夢とは。

 役者活動を突き詰めて、自分の表現の幅を増やしていきたいです。芝居を経験したあとにこれまで歌ってきた楽曲の歌詞をもう一度読み直すと、今までとは違う印象を受けることがあります。演じることで感情表現の幅も増えたので、新しい歌い方ができるようにもなりました。芝居をすることによって、ボーカリストとしての引き出しが増えているのを強く感じます。アニメも大好きなのでいつかは声優にもチャレンジしてみたいです。声優さんを見ていると、声だけで感情を表現することの凄さを感じます。

 最近観て印象に残っている成田凌さん主演の映画『愛がなんだ』で感じましたが、邦画や日本のアニメは日本語の美しさ、日本語だから伝わる絶妙なニュアンスや比喩表現がたくさんあり、抽象的な言葉遣いの描き方もとても丁寧。それがすごく好きで、そういった作品に一表現者としてたくさん関わっていきたいなと強く思います。

(写真/上野裕ニ、スタイリスト/岡村春輝、へアメイク/富樫明日香(CONTINUE))

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