2022年3月4日発売の「日経トレンディ2022年4月号」では、「ずるい!エクセル【学び直し】」を特集。エクセルが得意な人は、驚くほど早く表作成や分析などを終わらせてそのしまう人の手元では、様々な省力ワザが駆使されている。中でも“脱マウス”が重要なキーワード。作業時間を激減させる時短ワザを紹介する。

※日経トレンディ2022年4月号より。詳しくは本誌参照

省力ワザを駆使して「仕事が速い人」に
省力ワザを駆使して「仕事が速い人」に

 どんな職場にも「仕事が速い人」はいるはずだ。特にエクセルが得意な人は、驚くほど早く表作成や分析などを終わらせてしまう。なぜか。その手元では様々な省力化ワザが駆使されているのだ。中でも“脱マウス”が重要なキーワードとなる。

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 エクセルでは画面上の「リボン」に様々な機能が並んでいるので、マウスポインターを動かしてタブを開き、ツールボタンをクリックする操作を幾度となく繰り返してしまいがち。しかし、こうした操作の多くは、キーボードのキーの組み合わせ(ショートカットキー)でできてしまうのだ。これを覚えれば、マウスに手を伸ばし、ポインターを数センチメートル動かしていた作業が一瞬で終わる。積もり積もれば大幅な時間節約になるのだ。

 また、テレワークの普及に伴い、カフェなど自宅以外で仕事をすることが増えている。マウスが無いときに素早く操作できれば効率も上がる。

法則を知って効率よく覚える

 実はショートカットキーの覚え方は簡単だ。基本となるのは「Ctrl」キーと別のキーとの組み合わせ。英字キーとの組み合わせでは、機能と関連付けて覚えられるものが多い。

 例えば、すぐ上のセルのデータを選択セルにコピーするには「Ctrl」+「D」キーで、一発でできる。これは下方向を意味する「Down」の略だ。同様に、右方向へのコピーは右(Right)なので、「Ctrl」+「R」を押せばよい。表内で、端のセルに移動するショートカットキーも覚えやすい。「Ctrl」+「↑」で右端列、「Ctrl」+「→」で末尾行と、その方向の矢印キーとセットになる。また、右下隅のセルは終端(End)なので、「Ctrl」+「End」と直観的だ。

 似たキーの組み合わせをセットで覚えると、効率よくショートカット操作を増やせる。「Ctrl」キーを使うショートカットに「Shift」や「Alt」を加えた組み合わせは、元のショートカットの“派生形”だ。例えば、前述の表の右端に移動する「Ctrl」+「↑」という組み合わせ。これに「Shift」を加えると、移動ではなく「表を右端まで選択」の操作になる。これらだけでも、エクセル作業で時間がかかるセルの移動や選択がぐっと速くなる。

 「リボン」のメニューから頻繁に使うのに、ショートカットキーが割り当てられていない機能もある。例えば「セルの塗りつぶし」「セルに格子線を引く」といった操作だ。そこで使うのが「Alt」キー。これを押すと「N(挿入)」や「M(数式)」など、各タブを開くためのキーが表示される。それらの英字キーを押すと、次はタブ内のメニューを実行するためのキーが表示されるという具合だ。

 また、自分がよく使う機能を「クイックアクセスツールバー」に登録しておくと、「Alt」の後に「1」「2」など数字キーを押すだけで実行できる。

Windowsと共通のショートカットも定番
「Ctrl」+「C」でコピー、「V」で貼り付けといった基本ショートカットに加え、印刷、ウィンドウ(ブック)を開く/閉じるなどの定番ショートカットはエクセルでも共通。単純だが、矢印キーで移動、「Enter」で確定、「Esc」でキャンセルはエクセルでは時短効果が大きい
「Ctrl」+「C」でコピー、「V」で貼り付けといった基本ショートカットに加え、印刷、ウィンドウ(ブック)を開く/閉じるなどの定番ショートカットはエクセルでも共通。単純だが、矢印キーで移動、「Enter」で確定、「Esc」でキャンセルはエクセルでは時短効果が大きい

【時短ワザ1】データ入力の効率アップ「繰り返し」

使用頻度が高いSUM関数。式を手入力したり、リボンの「オートSUM」ボタンを探さなくても、ショートカット一発で入力できる
使用頻度が高いSUM関数。式を手入力したり、リボンの「オートSUM」ボタンを探さなくても、ショートカット一発で入力できる
今日は何日か、今は何時か時計を見たりして確認するのは面倒。日付、現在時刻を即座に入力する技がある
今日は何日か、今は何時か時計を見たりして確認するのは面倒。日付、現在時刻を即座に入力する技がある
文字入力後、続けて右隣のセルに入力するなら「Enter」ではなく「Tab」を押す。最後の列まで入力したら、「Enter」で次行に移動
文字入力後、続けて右隣のセルに入力するなら「Enter」ではなく「Tab」を押す。最後の列まで入力したら、「Enter」で次行に移動
その列に既に入力した文字列がリスト表示される。「↓」を押して入力したいものを選び「Enter」で確定する
その列に既に入力した文字列がリスト表示される。「↓」を押して入力したいものを選び「Enter」で確定する
すぐ上のセルと同じ内容を入力したいときは「Ctrl」+「D」。下方向にコピーするので、「Down」の「D」と覚えるとよい
すぐ上のセルと同じ内容を入力したいときは「Ctrl」+「D」。下方向にコピーするので、「Down」の「D」と覚えるとよい
左のセルの内容を選択中のセルにコピーするときは「Ctrl」+「R」。右方向(Right)にコピーするので「R」というわけだ
左のセルの内容を選択中のセルにコピーするときは「Ctrl」+「R」。右方向(Right)にコピーするので「R」というわけだ

【時短ワザ2】セル内設定を素早く「書式設定・数式編集」

表示形式を変更する場合、右クリックメニューから「セルの書式設定」を実行するのが通常。だが「Ctrl」+「1」を押せば一瞬で開ける
表示形式を変更する場合、右クリックメニューから「セルの書式設定」を実行するのが通常。だが「Ctrl」+「1」を押せば一瞬で開ける
「貼り付け」のショートカットに「Alt」を加えると、「形式を選択して貼り付け」になる。書式や値のみコピーしたい場合に役立つ
「貼り付け」のショートカットに「Alt」を加えると、「形式を選択して貼り付け」になる。書式や値のみコピーしたい場合に役立つ
セルの文字列や数式を手直ししたい場合、「F2」を押すと、末尾にカーソルがある状態でセルが編集状態になる
セルの文字列や数式を手直ししたい場合、「F2」を押すと、末尾にカーソルがある状態でセルが編集状態になる
セルの書式設定を開くまでもない。セルの書式設定を開くショートカットに「Shift」を加えるだけ。通常表示に戻すには「Ctrl」+「Shift」+「^」を押す
セルの書式設定を開くまでもない。セルの書式設定を開くショートカットに「Shift」を加えるだけ。通常表示に戻すには「Ctrl」+「Shift」+「^」を押す

【時短ワザ3】巨大な表でも“瞬間移動”「スクロール」

スクロールよりショートカットが早い。「Ctrl」キーと「→」「↓」で端に移動。左端や上端は「←」「↑」。末尾は「End」、A1セルは「Home」なので覚えやすい
スクロールよりショートカットが早い。「Ctrl」キーと「→」「↓」で端に移動。左端や上端は「←」「↑」。末尾は「End」、A1セルは「Home」なので覚えやすい
表の右端や末尾行に移動するショートカットに「Shift」を加えると、その行や列を選択できる。セットで覚えておきたい
表の右端や末尾行に移動するショートカットに「Shift」を加えると、その行や列を選択できる。セットで覚えておきたい

【時短ワザ4】行・列の移動や削除「表編集」

「Ctrl」+「Shift」+矢印キーの場合は表内の行や列を選択するが、この場合はシート内の行や列全体を選択するショートカットだ
「Ctrl」+「Shift」+矢印キーの場合は表内の行や列を選択するが、この場合はシート内の行や列全体を選択するショートカットだ
列や行を同じ表の別の場所に移動したい。「切り取り」→「切り取ったセルの挿入」という二度手間は不要。「Shift」を押しながらドラッグするだけだ
列や行を同じ表の別の場所に移動したい。「切り取り」→「切り取ったセルの挿入」という二度手間は不要。「Shift」を押しながらドラッグするだけだ
削除は「−」、挿入は「+」なので覚えやすい。ただし「+」は「;」と同じキーなので「Shift」を押しながら「;(+)」を入力する
削除は「−」、挿入は「+」なので覚えやすい。ただし「+」は「;」と同じキーなので「Shift」を押しながら「;(+)」を入力する

【時短ワザ5】あらゆる機能を呼び出す「リボン」

(1)「Alt」キーを押すとタブに文字が表示される。「数式」なら「M」を押す
(1)「Alt」キーを押すとタブに文字が表示される。「数式」なら「M」を押す
(2)「Alt」→「M」に続けて「U」を押すと「オートSUM」メニューが開く
(2)「Alt」→「M」に続けて「U」を押すと「オートSUM」メニューが開く
(3)「A」でAVERAGE関数式を入力できる。SUM関数にはショートカットキーがあるがAVERAGE関数には無いのでこの技が役立つ
(3)「A」でAVERAGE関数式を入力できる。SUM関数にはショートカットキーがあるがAVERAGE関数には無いのでこの技が役立つ
色などは矢印キーで選択できる
色などは矢印キーで選択できる
「Alt」→「H」で「ホーム」タブを開く。続いて「H」で「塗りつぶしの色」を開ける。矢印キーで好みの色を選択して「Enter」で実行
注)本特集は、原則としてWindows 10上でMicrosoft 365(2022年1月時点)に含まれるExcelで操作などを説明しています。

(イラスト/千野エー)

【ずるい!エクセル「学び直し」】
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