
クルマのオンライン販売に乗り出す企業が日本でも相次ぐ中、いち早く電子商取引(EC)事業を強化してきたのが、BMWブランドを展開するビー・エム・ダブリュー(東京・港)だ。同社は2020年7月からほぼ全主要車種のオンライン販売を始めた。車種の選択から契約までをオンライン上で一貫してできるほか、ディーラー店と同等の接客を受けられる取り組みも進めている。これから存在感を増していくオンライン販売について、同社の取り組みは試金石となる。
2022年2月16日、東京ポートシティ竹芝(東京・港)でビー・エム・ダブリューの新車発表会が開催された。お披露目されたのが、クーペタイプの電気自動車(EV)「BMW i4」だ。
BMW i4は高い走行性能が特徴の「4シリーズグランクーペ」のEVだ。価格は750万円(税込み)から。日本市場でのEVの投入はBMW i4で4車種目となる。脱炭素社会への意識の高まりを受けてEVの需要取り込みに力を入れている。
日本でもにわかに注目が高まっているEV。BMW i4に関心を持った消費者はディーラー店に足を運ばなくても実際に購入できる。現在、ビー・エム・ダブリューのオンライン販売サイト「BMWオンライン・ストア」で本格発売前のオーダーを受け付けているのだ。
ビー・エム・ダブリューは20年、日本でオンライン販売サイトを開設した。希望の車種を選び、車体のカラーや内装、搭載するエンジンの性能などをカスタマイズすると見積もりを取ることができる。スマートフォンからでも操作可能で、自宅などから気軽にクルマ選びや購入を行える。該当車のある最寄りのディーラー店での試乗予約も可能だ。
購入する車種が決まれば、予約金15万~20万円程度を支払う。その際に車両を受け取るディーラー店を選択する。オンライン販売でもディーラー店との接点をつくる仕組みとなっているのだ。オンラインの場合でもビー・エム・ダブリューは直販しない。売り上げはユーザーが選択したディーラー店の実績になるため、同社とディーラー店は競合にならない。逆に、オンラインを通じて従来ディーラーがリーチできなかった顧客層にもアピールできるメリットがある。
BMWオンライン・ストアではディーラー店で扱っている新車の他に、台数限定で同ストア限定モデルを販売することもある。20年9月15日に発売した限定車「BMW X7 Edition Dark Shadow(エックスセブン・エディション・ダーク・シャドウ)」(約1800万円)は、わずか3分で用意した7台が完売した。
EC経由の販売台数は1割以下でも、今後の成長に期待
ディーラー店と同じように、きめ細かい説明を受けられるオンラインコンテンツの充実も図っている。20年にはより分かりやすく車種の比較検討ができるサービス「デジタル・ショールーム」を始めた。
同サービスでは車種ごとに10分程度の動画が用意されている。動画では製品担当者が車種ごとのデザインや性能などを実車で解説する。例えば、SUV(多目的スポーツ車)タイプのEV「BMW iX」では、ヘッドライトやリアライトの光り方、実際の走行シーンなどを8分程度の動画にまとめている。
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