EV時代の新しいクルマの売り方 第5回

ボルボ・カー・ジャパン(東京・港)は2022年1月、国内初投入のEV「C40 Recharge」をオンライン限定で発売した。発売に先駆けて100台限定で月額11万円(税込み)のサブスクリプションキャンペーンを実施し、応募件数は575件に上った。手応えをつかんだ同社は、2025年に国内EV販売比35%としていた当初の目標を40%に引き上げた。

ボルボ・カー・ジャパンが日本に初投入したEV「C40 Recharge」
ボルボ・カー・ジャパンが日本に初投入したEV「C40 Recharge」

 新車販売台数はグローバルで約70万台と中規模ながら、安全性のブランドイメージで優位に立つスウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カー。そのボルボが2025年までに新車販売の50%を電気自動車(EV)に、30年には販売する全車種をEVにすると宣言し、高級車市場で起こるであろうEVシフトでリーダーの座を目指している。

 これは欧米に比べてEV販売が遅れている日本も例外ではない。ボルボ・カー・ジャパン(東京・港)は21年11月に「国内では25年にEV販売比率を35%(約9000台)に」と発表していた中間目標を、このほど40%に上方修正した。25年の国内販売目標は年間2万5000台。うち1万台がEVになるという目標だ。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)および全国軽自動車協会連合会(全軽自協)がまとめた燃料別新車販売台数によると、21年の電動車販売台数は前年比8.0%増の148万8421台で、乗用車に占める電動車比率は前年比4.3ポイント増の40.5%と、年間で4割に達した。だが電動車の大半はハイブリッド車(HV)が占め、EVが新車販売全体に占める割合は1%に満たない規模だ。

 それでもボルボが強気の目標を立てる理由は2つある。1つは、EV化は高級車市場で最も早く進み、欧州の動向から高い比率になるという見込みを立てていること。もう1つは、21年11月に同社が発表した国内初投入の新型EV「C40 Recharge(以下、C40)」の手応えがよかったことが挙げられる。

 C40は、前後に2基の電気モーターを搭載する4WDモデルで、リチウムイオンバッテリーの総電力量は78キロワット時。充電1回当たりの航続距離は485キロメートル。クーペとSUVを融合したデザインで、内装には本革(レザー)を使用せず、リサイクル素材を積極的に採用するなど、サスティナビリティー(持続可能性)とエシカル(倫理性)を意識した車でもある。車両本体価格は税込み719万円。

 C40の発売に先立ち同社は21年11月下旬、100台限定でサブスクリプションキャンペーンを展開。頭金不要で、各種税金、自賠責保険、リサイクル料金、登録諸費用、任意保険料、サービスプログラム、付帯補償料などを含めて最長36カ月、C40を利用できるサブスクプランを月額11万円(税込み)で提供したところ、応募者が6倍近い575件に上った。

 575件の応募者のうち、ボルボ車のオーナーは30%未満。ボルボ車以外のドライバーが60%を超え、現在車を所有していない人も10%ほどいたという。自動車保険は全年齢が対象で、保険料が高くなる若い層に割安感が出る。現在50代前半であるボルボ車オーナーの平均年齢を下げる効果が期待できる。契約者の家族も利用できるため、例えば運転免許を持つ学生と同居しているような世帯にはお得感がある。また、車のサブスクの中には、解約すると違約金がかかるリース契約と大差ないサービスもあるが、C40のキャンペーンは3カ月前に申し出れば解約金なしで契約を解除できる安心感もある。

 C40の国内一般販売は、22年1月20日からオンライン限定で開始。ボルボではEV車をオンライン限定販売にすることをグローバルで宣言している。一般販売の開始当初はサブスク契約モデルはなく、現金一括または60カ月のリース契約を提示している。サブスク100台の当選者への納車は22年4月になるため、今後、サブスク利用者からの反応や利用実態を踏まえて、新たな常設サブスクモデルが購入・契約プランに加わることになりそうだ。

「C40 Recharge」のオンライン販売サイト
「C40 Recharge」のオンライン販売サイト

 EVをオンライン限定販売にした理由は、EVが従来型内燃エンジン搭載車よりも若い層にアピールする存在であり、また彼らが車の購入に当たり入念にネット上で下調べをするため、ディーラー訪問回数が減少していることが背景にある。オンラインで情報収集をして購入意欲が高まったタイミングでディーラーに電話をするしかルートがなければ、意欲をそがれかねない。

 中でも米グーグルと共同開発したインフォテイメントシステムを搭載しているC40は、Googleマップによるナビゲーション機能の他、ボルボ・カーズ・アプリを通じてエアコンのオン・オフ、ドアロック確認およびロック・アンロックを遠隔操作できるなど、車のスマートフォン化が進んだ車種でもある。そうした機能に魅力を感じる世代に、カスタマージャーニー上でスムーズに購入のフェーズに入れるように開設したのがオンライン販売サイトというわけだ。同社はオンライン販売の導入に合わせて、ボルボ・カスタマーリレーションセンター(CRC)を新設。朝9時から夜9時まで、年中無休で顧客の質問に回答し、オンラインでの購入を支援する。

ボルボ・カー・ジャパン「ボルボの電気自動車 C40 Recharge オンライン販売について」より
ボルボ・カー・ジャパン「ボルボの電気自動車 C40 Recharge オンライン販売について」より
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