
もはやデジタルとリアル世界は切り離せない状況になった。あらゆるモノがデジタル化していく中、「Phygital(フィジタル)」というキーワードに再び注目が集まりつつある。メタバース特集の第7回は、デジタル領域がさらに拡大した未来に起こるかもしれない生活や購買行動の変化に迫った。
私たちが普段、駅やコンビニで使っている決済アプリ、オフィスの受け付けやスマホのロック画面に活用されている顔認証システムなど、様々なデジタル端末やサービスを駆使し、現代の生活は成り立っている。こうした私たちの住む実世界とデジタルが密接に関わり合い、そして融合し、新たな生活体験を生み出している状態を「Phygital(フィジタル)」と呼ぶ。
その響きからも分かるように、「Physical(フィジカル)」と「Digital(デジタル)」を掛け合わせたものだ。従来、この言葉は、リアル店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈に基づいた視点で語られることが多かった。例えば、オンラインサイトの利用動向や購買行動などを分析し、アプリなどを通じて最適なデジタルクーポンを配布。店舗へ誘導したり、対面でのコミュニケーションに活用したりといったことも、フィジカルとデジタルの融合の一例だ。
数年前から語られることが増えてきたPhygitalの概念は、ブロックチェーン(分散型台帳)技術によって、さらに広がりを見せている。今回は、昨今話題のメタバースの視点も絡めつつ、Phygitalがなぜ注目されるのか見ていきたい。
モノ(フィジカル)にデータが“宿る”ことも「Phygital」の一種
Phygitalには様々な捉え方があるが、フィジカルとデジタルの融合の一つとして、まずは「データ拡張性を持ったモノ(フィジカル)」という視点で見ていきたい。
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