
総合展SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)で、米メタ(旧フェイスブック)CEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカーバーグ氏が講演した。なぜ社名を変更してメタバースへとかじを切ったのか、今後は何を目指すのか。これらの疑問に自らの言葉で応じた講演の詳細をお届けする。
米国オースティンで2022年3月11日から開催されたカルチャーとテクノロジーの祭典SXSW 2022で、話題の中心はNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)、Web3(3.0)、そしてメタバースだった。そんな中、会期中に急きょアナウンスされたのが15日のザッカーバーグ氏講演である。
旧フェイスブックは14年に、VR(仮想現実)ヘッドセットの米オキュラスVRを買収。独自のメタバース「Horizon(ホライゾン)」を展開し、21年10月に社名をメタに変更したと発表した。SNSの巨人でありながら、一気にメタバースへの方向転換を決断したザッカーバーグ氏は、昨今のメタバースブームの引き起こした中心人物であるといえる。対談形式でメタバースについて語った同氏の言葉を可能な限り詳しく紹介していこう。
司会者 ようこそ、ザッカーバーグさんです。ご機嫌いかがですか。
マーク・ザッカーバーグ氏(以下、ザッカーバーグ) (会場のスクリーンに登場して)私一人だけが会場にいないというのは、少し変な感じもします。ただ、私たちが作っているテクノロジーは、人々がどこにいても、お互いの存在を感じられるようにするためのものです。
――ということをお話しする前に1つだけ。ウクライナにおけるひどい侵略が始まってから、私が公の場で話すのはこれが初めてです。うまく言葉にはできませんが、私はこの戦争で影響を受けた人、その家族や友人を心配している人々について考え続けています。こうした状況でも、サービスを利用でき、人々が接続を維持できるための努力を会社全体で続けています。
私たちが良い仕事をしてコミュニティーに貢献できれば、もっとチャンスがある世界をつくることができると、私は楽観的に考えていますし、私がここにいる目的だと願っています。お招きいただき、ありがとうございます。
司会者 誰かが、このような残虐行為を食い止めようと、守ってくれている。今後も、この講演を見ている世界の人々がそのための努力を積み重ねていくという希望があります。感謝をしつつ、本題に入りましょう。まずは基本的なことから。メタバースの本質とは何でしょうか? あなたのつくるメタバースは他のものとはどう違うのでしょうか?
ザッカーバーグ メタバースは「インターネットの次の章」だと思います。今ではモバイル・インターネットが中心です。その後継になると思います。
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