今回は、2022年7月(22年7月1日~31日)における中国スタートアップ資金調達額トップ10の中から選出した3社と、同期間で409件に達した投資対象企業の中から選んだ、注目したい中国スタートアップ2社を紹介する。

節卡机器人が手掛ける協働ロボットの製品群(画像は節卡机器人のニュースリリースから)
節卡机器人が手掛ける協働ロボットの製品群(画像は節卡机器人のニュースリリースから)
中国スタートアップ資金調達額トップ10(2022年7月)
中国スタートアップ資金調達額トップ10(2022年7月)
2022年7月(22年7月1~31日)における中国企業による資金調達件数は計409件で、推定総額約499億元(約9880億2000万円)の資金調達が行われた。資金調達額の多い順にランキングした(出所/匠新)

7月の資金調達実績から注目すべき中国スタートアップ3社

(1)工業用協働ロボット製造販売企業「節卡机器人(JAKA Robotics)」

 節卡机器人(JAKA Robotics)は2022年7月の資金調達額ランキングで同額で第2位に立つ。14年7月設立の中国スタートアップ企業で、協働ロボットの研究開発から製造、そして販売を手掛けている。同社は22年7月20日にシリーズDで10億元(約198億円)の資金調達に成功した。今回の投資では、シンガポール政府系投資会社「テマセック(Temasek)」、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」、そしてサウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコ傘下の「プロスペリティ7ベンチャーズファンド」がリード投資家として参加し、7社による大規模な投資となっている。同社は今回の調達を受けて、マーケティングチャネルとサービスネットワークの国際化を加速させ、世界中の顧客にアプローチすると同時に、異なる地域や産業の顧客に対して、よりフレキシブルかつスマートなロボット製品を提供していく。

 節卡机器人は、シリーズ「Jaka Zu」の協働ロボット、シリーズ「All-in-One」のセンサーによる高度な識別能力を持つ協働ロボット、シリーズ「C」の強化版協働ロボット、そして小型商用協働ロボット「MiniCobo」など、さまざまなニーズに対応できる協働ロボット製品をそろえる。特にシリーズ「All-in-One」の協働ロボットは、中国では「共融機器人(Coexisting-Cooperative-Cognitive Robots, Tri-Co Robots)」と呼ばれるもので、作業環境や人、そしてその他のロボットと自然なインタラクションを行うことができる。

 加えて、自律的に複雑な環境に適応し、協働で作業を行うことができるロボットとなっている。節卡机器人は、アジア太平洋地域、欧州、そして北米などに技術センターを設立すると同時に、世界300社以上の各業界の自動化ソリューション企業と連携することで、世界中の顧客に現地化サービスを提供。自動車製造や電子製造、そして半導体製造の生産ラインにおいて主に投入されており、その投入台数は累計1万台以上となっている。21年には、トヨタ自動車の協働ロボットのサプライヤーになった。

節卡机器人の協働ロボットが稼働する様子(画像は節卡机器人のニュースリリースから)
節卡机器人の協働ロボットが稼働する様子(画像は節卡机器人のニュースリリースから)

 注目したいのは、22年に業界最新記録を更新した製品のMTBF(平均故障間隔:購入してから故障が発生するまでの平均時間)だ。顧客が節卡机器人の製品を購入した時点から換算したMTBFは8万時間、つまり正常な稼働状況を想定した場合、10年以上となる。同社は、より信頼性が高く、長期的で安定した運用が可能な協働ロボットソリューションを顧客に提供することに注力している。これは、世界中の顧客との交流の中で最も多く取り上げられた協働ロボット製品の品質と信頼性に着目し、顧客価値とその体験をより高度に重視した結果だ。

中国の国家ロボット検測および評定センターが、節卡机器人の協働ロボットのMTBF(平均故障間隔)が8万時間に達したことを認証する証書(画像は節卡机器人のニュースリリースから)
中国の国家ロボット検測および評定センターが、節卡机器人の協働ロボットのMTBF(平均故障間隔)が8万時間に達したことを認証する証書(画像は節卡机器人のニュースリリースから)

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する