今回は、2022年6月(22年6月1日~6月30日)における中国スタートアップ資金調達額トップ10の中から選出した3社と、同期間で420件に達した投資対象企業の中から選んだ、注目したい中国スタートアップ2社を紹介する。
注目中国スタートアップ5社
(1)軽量型協働ロボットの研究開発企業「鎂伽机器人(MEGAROBO)」
鎂伽机器人(MEGAROBO)は2022年6月の資金調達額ランキングで第2位に立つ。16年6月設立の中国スタートアップ企業で、協働ロボットとそのAI(人工知能)技術の研究開発、そして軽量級製造領域での自動化ソリューションの提供に取り組んでいる。同社は22年6月15日にシリーズCで3億ドル(約405億円)の資金調達に成功した。今回の投資では、米投資銀行のゴールドマン・サックス中国と米GGVキャピタル(紀源資本)がリード投資家として参加し、8社以上による大規模な投資となっている。同社は今回の調達を受けて、生命科学スマート自動化領域の研究開発と生産能力の拡大を強化するとともに、積極的にビジネス開拓とその国際化を進めていく。
鎂伽机器人は、生命科学業界に1セットの自動化ソリューションを提供し、簡単な操作台での作業フローの自動化から、大型システムにおける複雑な処理工程の全自動化ソリューション、そしてAI駆動の薬品研究開発サービス能力を提供する次世代のインフラ部分とそのシステムをカバーする。同社の作業フローの自動化では、AIが搭載されたソフトウエアや分析機器、実験室で使用されるハードウエアや試験消耗材を単一の実験室用システムに統合することができ、加えてさまざまなシーンにおけるフローを実験の需要に順応させることができる。同社のソリューションは、抗体の選出や細胞系の開発、そして分子スクリーニングなどの生命科学応用領域において、従来よりもより効率性が高く、より安定した実験結果を出しており、中国国外でも多数の国で使用が始まっている。
注目したいのは、多層にわたる新型コロナウイルスのPCR検査製品ソリューション群を構築し、世界中の医療機関に提供していることだ。鎂伽机器人は、病原体のサンプルの前処理から、全フロー自動化PCR検査、そしてワンストップ式の移動設置可能な臨時PCR検査実験室まで、異なるキャパシティーおよび自動化レベルのソリューションを提供しており、多様なシーンにおける感染症予防の迅速な診断需要に応えている。同時に、同社は、次世代の生命科学インフラである「鎂伽机器人伽鯤鵬実験室(MEGALAB)」の構築に取り組んでおり、そのプラットフォームを拠点として、生命科学領域の多くの企業と連携し、研究開発フローの最適化や効率の向上に力を入れている。
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