直近1週間(今回は2022年4月11日~17日)における中国企業による資金調達件数は計94件で、推定総額約106億元(約2120億円)の資金調達が行われた。注目業界としては、「企業向けサービス」「医療健康」「先進製造」「自動車交通」の4業界が挙げられる。注目の中国スタートアップは、資金調達が最大額となったソーラーパネル開発企業「高景太陽能(Gokin Solar)」だ。

太陽光発電パネル開発企業「高景太陽能(Gokin Solar)」が進めているソーラーパネル実装の完成イメージ(画像は高景太陽能のWebサイトより)
太陽光発電パネル開発企業「高景太陽能(Gokin Solar)」が進めているソーラーパネル実装の完成イメージ(画像は高景太陽能のWebサイトより)
直近1週間および直近1年間の投資件数および投資金額
直近1週間および直近1年間の投資件数および投資金額 「直近1週間」および「直近1年間(2021年4月18日~22年4月17日)」の週平均における投資件数および投資額の比較。左縦軸目盛り(棒グラフ)では投資件数を、右縦軸目盛り(ひし形マーク)が投資1件当たりの平均投資額を示す(出所/匠新)
「直近1週間」および「直近1年間(2021年4月18日~22年4月17日)」の週平均における投資件数および投資額の比較。左縦軸目盛り(棒グラフ)は投資件数を、右縦軸目盛り(ひし形マーク)は投資1件当たりの平均投資額を示す(出所/匠新)

 直近1週間(今回は2022年4月11~17日)の中国企業による資金調達件数は計94件で、推定総額約106億元(約2120億円)の資金調達が行われた。直近1週間と週平均に換算した直近1年(21年4月18日~22年4月17日)のデータと比較すると、直近1週間の投資件数は25.3件少なく、率にして21.2%少なかった。一方で投資1件当たりの投資額では6733万元(約13億4660万円)少なく、率にして37.3%も少なかった。従って、直近1週間は直近1年間と比べ、投資件数および投資額ともに少ない結果となった。

 次に、直近1週間および直近1年間における各業界の投資件数を見てみる。

直近1週間および直近1年間における各業界における投資件数
直近1週間および直近1年間における各業界における投資件数 棒グラフ(青)は、直近1週間の投資件数を、棒グラフ(黄)は直近1年間の週平均の投資件数を示す(出所/匠新)
棒グラフ(青)は、直近1週間の投資件数を、棒グラフ(黄)は直近1年間の週平均の投資件数を示す(出所/匠新)

「企業向けサービス」が投資件数トップに

 直近1週間および直近1年間における各業界の投資件数を見ると、直近1週間ではこれまでよく見られた2~3業界に投資件数が集中するという形は見られなかった。今回は「企業向けサービス」から「ライフスタイル」にかけて件数が徐々に少なくなる形となった。

 また、直近1年間と比べて異なる点としては、直近1年間では3位であった「企業向けサービス」が、直近1週間の投資件数では最多となっている。そして、これまで件数が目立って多かった「医療健康」と「先進製造」の分野では、今回は直近1年間と比べて件数は少なかった。もう1つ異なる点として、直近1年間と比べて「自動車交通」への投資件数が多かったことが挙げられる。

 次に、件数に加え、各業界への投資額も見てみる。

直近1週間および直近1年間における各業界における投資額
直近1週間および直近1年間における各業界における投資額 横棒グラフ(青)は直近1週間の投資額を、横棒グラフ(黄)は直近1年間の週平均の投資額を示す。カッコ内の%は投資額全体に占める割合を示す(出所/匠新)
横棒グラフ(青)は直近1週間の投資額を、横棒グラフ(黄)は直近1年間の週平均の投資額を示す。カッコ内の%は投資額全体に占める割合を示す(出所/匠新)

「先進製造」が投資総額トップに

 投資額は上位3業界に集中し、額が多い順に「先進製造」「自動車交通」「医療健康」で、それぞれ28億6000万元(約572億円)、19億7000万元(約394億円)、17億6000万元(約352億円)となった。「先進製造」と「医療健康」は、直近1年間と同様に上位3業界に入っており、また「先進製造」は直近1年間と同様に第1位となっている。そして「自動車交通」は、直近1年間では第3位だが、直近1週間では第2位となっている。同業界は前述の投資件数においても、直近1年間の週平均と比べて直近1週間は増えていた。

 その他では、投資総額が直近1年間と比べ、直近1週間では3億5000万元(約70億円)多かった「生産製造」が目につく。ただし、同業界は伝統産業寄りの事業が集まっていることもあり、今回は取り上げないこととする。

 以上から、「企業向けサービス」「医療健康」「先進製造」「自動車交通」が注目したい業界となる。これらの業界について、資金を調達した主な企業をリストアップして、その中身を見てみる。

直近1週間で投資を受けた「企業向けサービス」業界の主な企業の一覧
直近1週間で投資を受けた「企業向けサービス」業界の主な企業の一覧 (出所/匠新)
(出所/匠新)

 まず、「企業向けサービス」の業界を取り上げ、サブ業界を見てみる。最も件数が多かったサブ業界は、「デジタル化ソリューション」の4件となった。その次に多かったのは「ビジネスセキュリティー」「販売マーケティング」でそれぞれ3件ずつとなった。次に「データサービス」「ITサービス」「オフィスOA」「先端技術」はそれぞれ2件となった。直近1週間では、これら7つのサブ業界が投資の対象とされた。

 リストアップされた企業を見て、特に注目したい企業は、量子コンピューティング技術を手掛ける「玻色量子(QBoson)」だ。同社は、20年1月に創立したスタートアップで、企業向けに量子コンピューティング能力を提供するサービスを構築している。同社は金融から新薬開発、交通の領域で成果を積んでおり、「0から1の取り組み」となる量子コンピューティングの実用化を進めている。中国発となる最先端領域を手掛けるスタートアップ企業は徐々に増えており、今後もウオッチしていきたい。

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