直近1週間(今回は2022年4月4~10日)における中国企業による資金調達件数は計65件で、推定総額約85億元(約1675億円)の資金調達が行われた。注目業界には、投資件数と投資額の両面で全体の大部分を占めた「先進製造」と「医療健康」「電子商取引」の3業界と、平均と比べて特に目立って投資が集まった「メタバース」と「農業」が挙げられる。注目の中国スタートアップは、AI(人工知能)を創薬プロセスに活用する「剤泰医薬(METiS)」だ。
投資件数および投資額ともに少なかった
直近1週間(今回は2022年4月4~10日)の中国企業による資金調達件数は計65件で、推定総額約85億元(約1675億円)の資金調達が行われた。直近1週間と週平均に換算した直近1年(21年4月11日~22年4月10日)のデータと比較すると、直近1週間の投資件数は54.8件少なく、率にして45.8%も少なかった。一方で投資1件当たりの投資額では5055万元(約9億9584万円)少なく、率にして27.9%少なかった。よって、直近1週間は直近1年間と比べ、投資件数および投資額ともに少ない結果となった。
次に、直近1週間および直近1年間における各業界の投資件数を見てみる。
「先進製造」が投資件数トップに
直近1週間および直近1年間における各業界の投資件数を見ると、直近1週間で全体的に件数が多かった業界は、多い順に「先進製造」「医療健康」「電子商取引」で、それぞれ計18件、11件、10件となった。この3業界の投資件数の合計は39件で、全体の約60%と大きな割合を占め、要注目の業界である。
また、直近1年間の投資と比べると、直近1週間では「先進製造」が最上位になっており、特に投資件数が多かった。次に大きな変化としては「電子商取引」であり、直近1年間では4位であったところ、直近1週間では3位となっている。
「先進製造」の業界で資金を調達した企業をリストアップして、その中身を見てみる。
まず、投資が集まったサブ業界を見てみる。最も件数が多かったのは「集積回路」で、18件中9件と半数を占めた。その次に多かったのは「センサー設備」「新素材」「工業4.0」「新エネルギー」で、それぞれ2件ずつとなった。こうした5つのサブ業界が主な投資の対象とされた。
ステージを見てみると、「戦略投資」での投資が18件中8件で最も多かった。その他では、「シード」3件、「アーリー」5件と合わせて8件となっており、「ミドル」と「レイター」はそれぞれ1件のみとなった。従って、「先進製造」業界では、初期の成長段階にある企業への資本出資と、戦略提携を見据えた資本出資の2色に分かれていることが特徴として読み取れる。
次に、直近1週間の投資件数第2位だった「医療健康」の業界で、資金を調達した企業をリストアップして、その中身を見てみる。
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