中国国内では毎週100~200社のスタートアップが資金調達をしており、それらのスタートアップから新たな技術やその活用法、従来と異なるビジネスモデルなどが誕生している。中国で多くの投資家から注目されるこれらスタートアップについて、事業領域や資金の調達額、シリーズ、調達先などを総合的に分析し、どの事業領域が中国で今、注目されているのかを見いだせる。連載第1回では、中国スタートアップ投資の全体を俯瞰(ふかん)して分析する。

中国では毎週100~200社のスタートアップが資金調達に成功し、成長を志向している(出所/Shutterstock)
中国では毎週100~200社のスタートアップが資金調達に成功し、成長を志向している(出所/Shutterstock)
■ 中国国内の資金調達件数および投資額の推移
■ 中国国内の資金調達件数および投資額の推移
左縦軸目盛りと棒グラフが件数を、右縦軸目盛りと折れ線グラフが金額の推移を示す(出所/匠新)

 現在の中国の投資傾向を俯瞰(ふかん)して見ると、投資件数においては2014年から急増し、15年に最高値に到達。その件数は1万319件に及んだ。その後、投資件数はピークを過ぎて落ち着き、年々減少する傾向にあったが、21年にはその傾向から脱却し、再度増加に転じた。

現在はスタートアップに対する2度目の投資盛り上がり

 一方で投資額は、13年に約1228億5000元(約2兆2113億円)であったものが、18年には約10倍の約1兆2048億3000元(約21兆6870億円)へと大きく増加した。ただしその後、中国でのユニコーン企業を含むスタートアップの経営不振が相次ぎ、スタートアップ全体への投資が冷え込み、19年は約7054億4000元(約12兆7000億円)とピークの18年に比べて40%以上減少した。しかし、その翌年の20年には、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)にもかかわらず再度増加傾向を見せ、21年も勢いは衰えず、18年のピークを上回る投資額を記録した。こうした投資件数と投資額の推移から、まさに現在、中国のスタートアップに対する2度目の投資の盛り上がりが訪れていると読み取れる。

■ 中国国内の資金調達1件当たりの平均投資額の推移(単位:億元)
■ 中国国内の資金調達1件当たりの平均投資額の推移(単位:億元)
(出所/匠新)

 1件当たりの平均投資額の推移を見てみると、投資金額ベースでピークであった18年までは順調に伸びていたが、スタートアップ投資が冷え込んだ19年には、前年の1億4400万元(約25億9200万円)を下回る1億2600万元(約22億6800万円)と若干の落ち込みを見せた。20年には、それまでのピークであった18年の水準を大きく超える2億400元(約36億7200万円)、21年も1億9600万元(約35億2800万円)と比較的高い1件当たりの投資金額となっている。

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