
アサヒビール茨城工場に併設されていた工場見学コースが“博物館”に生まれ変わった。2021年4月にオープンした「スーパードライミュージアム」は、体験型コンテンツを取り込み、従来の工場見学をアップデートしたもの。新スーパードライの発売に合わせてミュージアムも22年3月25日に刷新する。
2021年4月20日にオープンした「スーパードライミュージアム」は、茨城県守谷市にあるアサヒビール茨城工場に併設されていた工場見学コースを新たに作り直した、スーパードライブランド初となる常設施設だ。従来の工場見学から“ミュージアム”へ。「ブランドの世界観を五感で体感できる体験型施設」をうたう新施設は、スーパードライをどのようにブランディングしているのか。
アサヒビール茨城工場で行っていた従来の工場見学は、「仕込み」「発酵・熟成」「パッケージング」と製造工程に合わせて進み、最後は出来たてのビールを試飲するという流れ。スーパードライミュージアムになっても、基本的な流れはほぼ変わらない。ただ、施設全体は黒を基調に、赤、シルバーとスーパードライのブランドカラーで構成。真っ黒に塗られた施設入り口から世界観の統一を図っている。
特に印象的だったのがツアー冒頭にある「イントロダクション」と呼ばれる長い通路だ。薄暗闇のトンネルには赤色のラインが先まで走り、ツアーの工程で紹介する内容を順に記したボードやディスプレーがスポットライトに浮かび上がる。まるでテーマーパークにあるアトラクションに向かう通路のようで、いやが応でも期待が高まる仕掛けだ。以前は両側が窓になっており、工場の庭や池といった自然環境を眺めながら移動する通路だったが、ミュージアム化に合わせて窓を黒い壁で覆っている。
黒を基調とした世界観に統一するため工場見学ルートにあった多くの窓から外の景色が見られなくなったが、その代わりに用意されたのが壁や床に掲示された様々なコンテンツだ。例えば、通路の黒い壁に「590万本」と書かれた大きな赤い文字。何の数字かと考えながら先に進むと、茨城工場の1日のビール生産量を350ミリリットル缶に換算した場合の数字だということが分かる仕掛け。「コースの各所にこうしたトリビア的な数字を配置し、窓や展示がないスペースでも何の数字かを想像して話し合いながらツアーを楽しんでもらえるようにしている」と案内を務めるスーパードライミュージアムのツアー案内担当(ドライクルー)の加藤浩太氏は話す。
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