
今、業種業態を問わずあらゆる企業に求められているのが、商品や原料を捨てずにアップサイクルする工夫だ。今回はロッテ、日本航空(JAL)グループ、三越伊勢丹、小松マテーレなど業種が異なる企業が、どのようにアップサイクルに取り組んでいるかを紹介する。
ロッテは「DO Cacao Project」を2015年から推進している。カカオという素材に向き合い、探求し、ものづくりの可能性を広げていく挑戦的なプロジェクトだという。背景には「“素材のポテンシャルを最大限に引き出した最高のチョコレート”をお客さまにお届けするために、カカオ豆の生産から携わりたい」という思いがあった。そして22年1月、同プロジェクトをきっかけに3つの商品を売り出した。
1つ目が「DO Cacao chocolate」だ。原材料の生産から着手するため、世界中のカカオ産地に目を向け、理想の素材に適した土地探しからスタート。パプアニューギニアにたどり着き、チョコレートの素材として高品質なカカオ豆を見つけた。長期間現地に滞在し、苗の生育確認や発酵試験など多くの試行錯誤を繰り返した。結果、カカオが持つフルーティーで力強い香りを生かしたチョコレートに仕上がった。
2つ目はビールのような味わいを持つ独自アルコール飲料「CACAO & HOP」。チョコレートの製造過程で発生するカカオ豆の外皮(カカオハスク)を活用し、外部企業の新潟麦酒(新潟市)の手を借りて開発した。DO Cacao chocolateの外皮ではないが、カカオの新たな可能性を引き出そうと考えた商品で、ホップだけでなくカカオの香りと苦みも楽しめるという。飲み始めはチョコレートを口に含んだときのような、カカオの香りが広がり、その後はしっかりとした味わいを感じるそうだ。食前酒として楽しんでほしいという。
3つ目がネクタイの「CACAO TIE」だ。「CACAO & HOP」と同様、新たな可能性への挑戦になる。カカオハスクから染料を抽出して染めた絹糸を使用しており、デザインや生産はスマイルズ(東京・目黒)のネクタイ専門ブランド「giraffe」が担当した。レジメンタルと千鳥柄のリバーシブルタイ、結び目の少し下にある2本のラインがポイントになるタイ、カカオの絵が入ったボタニカル柄のタイという3種類のデザインを用意した。どれもすぐに売り切れた。
今後も外部のパートナー企業と共創していき、同プロジェクトを通じてカカオやチョコレートの新しい可能性を広げていきたいという。
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