リサイクル&アップサイクルへの挑戦 第7回

サステナビリティー(持続可能性)に関心が集まる中、「金継ぎ」にも注目が集まる。「これからやってみたい」と思うさまざまなユーザーに対し、オンラインとリアルで魅力を伝えている東急ハンズや良品計画の動きを取材した。

2021年12月20日~22年2月28日には、東急ハンズ各店の売り場で展開する「ヒントステージ」で「繕いを楽しむサステナブルな暮らし」を開催した。「金継ぎ初心者セット」(8360円、税込み)や蒔絵(まきえ)のアレンジができる商品を集めた(写真提供/東急ハンズ)
2021年12月20日~22年2月28日には、東急ハンズ各店の売り場で展開する「ヒントステージ」で「繕いを楽しむサステナブルな暮らし」を開催した。「金継ぎ初心者セット」(8360円、税込み)や蒔絵(まきえ)のアレンジができる商品を集めた(写真提供/東急ハンズ)

 「金継ぎ初心者セット」などの金継ぎ関連商品が「東急ハンズ」で好評だ。コロナ禍で自宅で過ごす人が増え、金継ぎ初心者セットの売り上げは2020年、21年ともに19年比で1.5倍。21年に入ってからは約3倍を記録した月もあったという。

 21年12月20日~22年2月28日には「ヒントステージ」と呼ばれる各店の売り場で、「繕いを楽しむサステナブルな暮らし」と呼ぶ販促を実施。従来のメインマーケットは日本の伝統文化に興味のある高年齢層だったが、サステナビリティーに対する感度の高いミレニアル世代に向け、関連商品を集めた棚を設けた。約2カ月間で予想以上の売り上げを達成した。

 東急ハンズ(東京・新宿)は、公式TwitterやInstagram、自社のウェブコンテンツ「ヒントマガジン」などを通じ、金継ぎについて発信してきたという。ヒントマガジンでは金継ぎ初心者セットに入っている道具や素材の使い方を伝え、“金継ぎは難しそう”と感じる初心者に親しみを持ってもらえるようにした。

 「金継ぎに関心を持っても、まず何を買ったらいいか分からない、どうすればいいか分からないというのが初心者の悩み。セットで買うと金継ぎの説明書が付き、工程ごとの解説も付いてくる。セットに入っている材料と家にあるものを使うだけで金継ぎができるようにした」(東急ハンズのホビークラフト担当バイヤー別府舞子氏)

 さらに20年11月以降、金継ぎ初心者セットの購入者向けにオンライン会議システム「Zoom」を通じたオンラインワークショップを計4回開催。定員30人の枠がすぐに埋まる人気のイベントとなった。実際の工程は約1カ月半かかるので、工程のレクチャーを見ながらチャットで質問する形式だ。21年8月ごろからは、金継ぎ初心者セットの購入者に向けた特典として、金継ぎの手順を教える解説動画を見られるように、商品の箱に解説動画のURLのQRコードを加えた。動画の制作に当たっては、発売元の播与漆行(東京・台東)が撮影する際に東急ハンズも参加。顧客視点で動画をチェックしたことも売り上げに貢献したようだ。

金継ぎ初心者セットの購入者に手順を教える動画。映像で説明すると初心者にも伝わりやすい(写真提供/東急ハンズ)
金継ぎ初心者セットの購入者に手順を教える動画。映像で説明すると初心者にも伝わりやすい(写真提供/東急ハンズ)
金継ぎ初心者セット以外に、身近な道具や材料を補うことで蒔絵のようなアレンジもできる(写真提供/東急ハンズ)
金継ぎ初心者セット以外に、身近な道具や材料を補うことで蒔絵のようなアレンジもできる(写真提供/東急ハンズ)

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