
良品計画が展開する「無印良品」では、「ReMUJI」として衣料品の再生を積極的に進めている。「染めなおした服」「洗いなおした服」「つながる服」などを次々と開発した。その中核となる店舗が「MUJI新宿」である。
2021年9月にリニューアルオープンした「MUJI新宿」の店舗に入ると、売り場のあちこちに「染めなおした服」「洗いなおした服」「つながる服」と書かれた札がある。1階フロアのハンガーや什器(じゅうき)には、廃棄する衣料品を再生した商品が並んでいる。だが一般の商品と異なり、常に入荷しているわけではない。入荷数や時期は、回収した衣料品に依存するからだ。店舗スタッフは入荷するとブログで知らせるが、いずれも人気が高く、すぐに売り切れてしまう商品も多い。
「染めなおした服」は、黒や藍に染め直した。「洗いなおした服」は、状態の良い衣服を洗いにかけ、そのまま販売する商品だ。「つながる服」は2枚の異なる柄のシャツを切って組み合わせ、1枚のシャツとしてつなげた服だ。いずれも無印良品で一度販売した衣料品を店頭で回収し、状態に合わせて再生するという「ReMUJI」の取り組みだ。
「日本には古くから布を染め直したり、組み合わせたり、刺し子にしたりして最後まで使う文化がある。そうした手法を採用した」(良品計画衣服雑貨部素材開発担当の増子晋氏)
店舗限定で人気を集める
最初は「染めなおした服」からスタート。15年に福岡市で開店した「無印良品天神大名」で販売を開始し、全国15店舗で取り扱うまでになった。
ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の旗艦店に位置付けられているMUJI新宿では、「染めなおした服」以外にも商品を強化。旗艦店ならではの限定商品として「洗いなおした服」「つながる服」の販売も始めた。商品の製造過程で生まれる規格外品を販売する「もったいない市」も実施し、不用品の回収・リサイクルカウンターなどを設置して、環境や社会の課題に取り組んでいる。
「回収した衣料品から染め直す以外にも何かできないかと考え、MUJI新宿の開店時に合わせて『つながる服』を作った。服と服をつなぎ合わせて新しい価値を加えれば、次の人につなげることができる」(増子氏)
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