※日経エンタテインメント! 2023年3月号の記事を再構成
SKY-HI率いるBMSGが放つ2つ目の男性ダンス&ボーカルグループ「MAZZEL(マーゼル)」。グループの誕生までを追うオーディションドキュメンタリー番組「MISSIONx2(ミッション・ミッション、以下Mx2)」がBMSG YouTube公式チャンネルで配信中だ。最初に取り上げられたのが、RAN、REIKO、SEITO、KAIRYUの4人。彼らへの最初のミッションは、擬似グループで課題曲に挑むことだった。最初のミッションがこれであることにはどんな意図があったのか。
今回はBMSGの会社としてのフェーズも違うので、「THE FIRST」の時のように僕が合宿で共同生活するような形は取れない。だから1番大事に考えたのは、彼らが「自走する」環境を整えること。人間の成長の形には大きく2パターンあると思っていて、1つは何かに導かれて成長していくこと、もう1つは自発的に成長していくこと。MAZZELの場合は、後者ができることが必要最低条件でした。
BE:FIRSTはここまで実績を積み上げてきましたが、まだ彼らを置いてMAZZELに全力投球できるタイミングではありませんし、むしろBE:FIRSTの今後を考えるうえで、23年、24年が大事なポイントだと思っています。だからこそ、MAZZELの「自走」が必要だし、グループで活動することに対して、彼ら全員で考える作業が必要だったんです。
結果、4人のトレーニーで仮のボーイズグループを作り、課題曲に向き合ってもらおうと考えました。今後10年、20年、一緒に活動する可能性もあるなかで、恐らく短くない期間一緒にやっていくと、良いこと悪いこと、いろいろ感じると思うんです。SEITOはグループ活動の経験者ですが、他の3人もこれを経験することで、グループとして活動することに対して具体的に実感し自覚できる。
同じことはスタッフィングについても言えます。クリエイティブ・ディレクターのSAKIKOさんや、僕のツアーを一緒に回ってきたBFQ(ダンサーチームBLUE FLAP QUARTET)のMoneyを筆頭に、MAZZELのスタッフとしてのチーム意識も作らなくてはいけない。そのためにも、初めにグループとして動かすのが1番早かったんじゃないかと思います。
もちろん、「Mx2」がオーディション番組として盛り上がれば盛り上がるほどうれしいです。でもそれ以上に、ここで出来るMAZZELがいいグループになることが大事なわけです。番組内でも徐々に出てきますが、RANにしろREIKOにしろSEITOにしろKAIRYUにしろ、各々が向き合う作業が必要になってくるし、仮にMAZZELというデビューグループになれば彼らも後戻りできないわけです。
僕もRANとREIKOが一緒に活動するグループであればという気持ちはめちゃくちゃありました。でも、大事なのはそこではなく、グループとして活動した際に、みんなが幸せであること。さらに今後数十年、一緒に活動するなかでグループとしても個人としても長い時間掛けて成長していかなくてはならない。その未来のために何をすべきかを見るのが「Mx2」である気がします。自分自身、今後彼らがどうなるかはすごく楽しみな部分ですね。
RANとREIKOのために
今後、MAZZELに入らなかったREIKOの選択も描かれることになる。
10代後半のときに思い描いていて、いまだに継続してることって少なくないですか。自分もそうだったけれども、何かちょっとは変わっていく。そのなかで、REIKOは本当にどっちのパターンもあると思っていました。単に歌うことと踊ることをやりたいなら、グループである必要もないわけです。「THE FIRST」の最終話で言ったことが全てですが、REIKOは21年のあの時点で、やっとアーティストとしての自我が出来たタイミングでした。RANもそれに近いと思います。「アーティストとして活動する自分」というものをもっと具体的に想像する必要がありました。擬似グループの結成は、特にRANとREIKOのためにやったのかなと思います。ボーイズグループのメンバーとして活動している自分を具体的に想像するために、擬似的にでもグループを組む必要は、彼らのためにもあったわけですよね。
それを考えると、(芸能の)スクールってたいしたもんだなと思います。何かしらスクールに通っていた子はすでにグループ活動のイメージが出来ているし、先輩たちの活動を見ているから自分たちの将来像を想像しやすい環境にある。でも、BMSGは歴史が浅いし、BE:FIRSTにしてもRANやREIKOにとってはあくまでも友達であって先輩ではないんですよね。それはそれでいいことだと思います。

『マネジメントのはなし。』 SKY-HI・著
社長・SKY-HIの挑戦をたどれる“ドキュメンタリー本”
課題意識を持つビジネスパーソンへのヒントも満載な1冊
今、音楽業界で最も勢いのあるマネジメント/レーベル「BMSG」。そのCEOであり、アーティストとしても第一線で活躍するSKY-HIの『日経エンタテインメント!』での連載が待望の書籍化!
オーディション「THE FIRST」がムーブメントを起こし、そこから誕生したBE:FIRSTはデビュー1年で紅白歌合戦に出場。2020年9月にたった数人で始まったスタートアップ企業が、なぜここまで急激に成長できたのか。本書は、その時々でSKY-HIが抱える課題や挑戦にフォーカスしたドキュメンタリー的な1冊。「課題解決」「人材育成」「スキルアップ」「コミュニケーション」など、ビジネスのヒントの宝庫ともなっている。
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