BE:FIRSTは2022年12月31日、『第73回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす。設立3年目のBMSGに所属する、デビュー1周年のグループが国民的番組に出場することは、前代未聞の快挙であり、“時代が動いている”ことの象徴と言っても過言でないだろう。自身もAAAのメンバーとして過去7回出場しているSKY-HIだが、紅白に出ることの意義をどう捉えているのか。

(写真/上野裕二 スタイリスト/安本侑史 ヘアメイク/椎津 恵)
(写真/上野裕二 スタイリスト/安本侑史 ヘアメイク/椎津 恵)

 BE:FIRSTにとって紅白歌合戦の出場は、ヒットしている「感覚」に「実態」を伴わせられるまたとない機会だと考えています。AAAの場合は、ヒットしている「感覚」がない状態から出場していて、「自分らがここにいていいのだろうか」という感情もゼロではなかったんです。これといった成績もありませんでしたし。それにもかかわらず「紅白出場」という“権威”による「実態」を得たことで世間の風向きが変わっていく「感覚」は感じました。

 人間って、「これは人気があります」と言われたところへおのずと集まっていく性質があると思うんです。俗に言うバンドワゴン効果ですかね。AAAの時は紅白歌合戦さんに出場させていただたことで、そうしたプラスの効果を感じました。

 一方でBE:FIRSTの場合は、その逆かもしれません。今、ありがたいことに「BE:FIRST、きてるよね」といろいろな方に言っていただくし、単曲のヒットもあるのですが、それはまだ「感覚」なんです。ただ、今は、「実態」や「実績」を考えるうえで数字以外のものが必要な時代だと思っているのですが、「感覚」と「実態」をつなげるものとして、紅白歌合戦さんという圧倒的な権威は、BE:FIRSTにとって良い状況をさらに加速させられるのではないかと捉えています。

いいものを見せれば結果は付いてくる

――紅白の選出に先立つ10月15日には、NHKの音楽番組『Venue101』のスピンオフ特番『Venue101 Presents BE:FIRST LIVE SPECIAL』が組まれたが、放送前にはSKY-HIが珍しくファンに盛り上げをあおっていた印象があった。

 確かにあおっていましたし、珍しいことだと思います(笑)。たびたび話すことですが、BMSGの起業当初から音楽業界への危機感を強く発信してきたことで、業界の方や権威側から敵対視される可能性があるという覚悟はしていたんです。でも蓋を開ければそうではなく、ありがたいことに想像以上に応援してくださる人が多く、好意的な声が多かったんです。その中で確実に『Venue101』さんのチームはBMSG全体を応援してくださっていると感じていました。これだけたくさんのアーティストが活躍するなかで紅白に誰を選ぶかは、結局「誰を出したいか」だと思うんです。だとしたら、もしかすると『Venue101 Presents BE:FIRST LIVE SPECIAL』は何か自分たちにチャンスを与えてくださったのかもしれないと解釈し、その期待に応えることはすごく大事なことだと感じました。いいものを見せることができれば、おのずと結果は付いてくるのかもしれないな、と。2022年頭から狙っていたことなので、もちろん他の話も統合しての、自分の肌感覚ではありますが。

 どこの企業の資本も入っていない、一個人として会社を設立して2年、BE:FIRSTがデビューして1年で、“権威”とお仕事できるのもこれまでの芸能にはなかったことです。本当に歴史的なことだと思います。今後のBMSGが掲げるビジョンの推進力でもあり、時代を変えることにもさらにつながっていくのではないかと確信しています。

SKY-HI(日高光啓)
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年、AAAのメンバーとしてデビューし、同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任
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