※日経エンタテインメント! 2022年11月号の記事を再構成

SKY-HI率いるBMSGには、3人の15歳が所属する。ラッパーのedhiii boi(エディボーイ)と、トレーニーのRUI、TAIKIだ。3人はこの夏、最高の夏休みを過ごした。SKY-HIの全国ツアー「SKY-HI HALL TOUR 2022 超・八面六臂」に同行してオープニングアクトを務め、3人だけで夏フェスにも出演。SKY-HIが15歳の3人に、このまばゆいばかりの“夏の大冒険”の機会を与えた理由は?

edhiii boi/RUI/TAIKI
edhiii boi/RUI/TAIKI。左からRUI、edhiii boi、TAIKI
edhiii boi/RUI/TAIKI。左からRUI、edhiii boi、TAIKI
7月1日に3人によるスプリットEP『15th Dream』をリリース。9月14日はリード曲『Anytime,Anewhere』の新たなミュージックビデオ『Anytime,Anywhere -夏休み2022 ver.-』を公開。映像には、3人がSKY-HIの全国ツア―「SKY-HI HALL TOUR 2022 超・八面六臂」に同行した模様や夏フェスでのオフショットなど、3人の最高の夏休みが詰め込まれている

 3人のこの夏の活動は、シンプルに「成長」と「思い出づくり」のためですね。今後1年での正式なデビューは想定していません。というのも、精神的な成熟を待ったほうが今後の彼らの人生が良いものになるだろうと思うからです。RUIとTAIKIは中学生で義務教育期間ですが、若い方に対しては「やらせる」仕事には慎重になりたいです。実力はもちろん申し分ないですが、何をやりたい、どうなりたい、自分にはどういう可能性がある、というのをもっと彼ら自身に掘り下げてほしい段階だと感じています。なのでまずは、この夏が様々な意味で彼らが成長する機会になればいいなというのが1番でした。

 BE:FIRSTのRYUHEIもそうですし、中学生くらいから芸能の仕事をする人も少なくないですが、この年頃に、歌ったり踊ったりを含めての「仕事」というものを好きになるかどうかは、とても大事なことだと思っているんです。当然スタート段階ではみんな歌やダンスやラップが好きでこの世界に入りますが、その「好き」には個人差があると思うし、最初は趣味の延長である場合も少なくないと思います。さらに言えば、活動への責任もないわけです。

 しかし仕事となれば、そこに責任が伴います。ましてやフロントマンともなれば、関わるたくさんの人の人生をある程度背負う必要すらあります。自分たちの歌やダンスを向上させるためにたくさん練習を重ねなければいけないし、本番のために本当の意味でのプレッシャーが掛かり緊張もするし、本番が終わるたびに手応えがあれば喜べるけれども、うまくいかなくて悔しい思いをするときの絶望感は今までの比ではありません。そうした楽しいことばかりではない経験を「仕事だから仕方ない」と捉えるのか、「これも含めてやりがいがある! 楽しい! 自分はこれをやるべき人間だし、もっとすごいアーティストになりたい!」と思えるのかで、今後がだいぶ変わってくるんです。ずっと幸せに音楽をやり続けてもらうためにも、今は音楽を産み出す原体験として楽しい思い出をたくさん作ってほしいなあという気持ちがありました。

 ツアーを機に日本各地を回ることも、彼らにとって単純に楽しいと思うんですよ。3人が夏休みをめちゃくちゃ楽しんでいる動画や写真でフォルダが埋まっています(笑)。これまでの人生で1番いい夏の思い出ができるっていうことが、今回1番必要なことで、それに尽きますね。

僕がやるのは道を舗装するまで

 彼らの場合、BE:FIRSTのようにステージごとに課題を与えていく段階ではないので、毎回が経験としてのトライアルアンドエラーです。ステージが終わると「今日はここが良かったね」「ここは次、こう直すといいかもね」「あそこはすごく工夫してやってみたんだね」ということを、日常会話に入れ込んでいく。僕とそういう会話を日常的にすれば、彼ら3人だけでする会話もそういう内容になっていくと思います。

 そうやって自然と成長していける環境をサポートする認識のほうが強いかな。能動的に音楽が好きになったり、ライブをすることが好きになったり、曲作りが好きになったり。それが1番成長につながるんじゃないかなと思います。3人は配信リリースもしていますが、それもビジネスではなく、3人がもっと音楽やそれを通して触れる世界を楽しんでほしいからなんです。毎日長時間のレッスンをしたって伸びない人もいれば、週1回のレッスンでぐんぐん伸びる人もいる。その差は、1つのレッスンに対しての取り組み方や意識、熱量の違いだと思うんです。その意識や熱量が持てるようにできる限り誘導していく。でも、せいぜい僕がやるのは道を舗装してあげるくらいで、レールまで敷いてしまうのは良くない。

 この夏で、3人は見違えるほど大きく成長しました。本当に、全部変わったとしか言いようがないかもしれない。ステージという特殊な場に一定の期間上がり続けることで、具体的な技術面はもちろん、心持ちも変わった。特に、「自分はこれをずっとやっていくんだ」という覚悟や意識の芽生えを3人それぞれから感じ取れるようになったのはすごく良かったなと思います。

 数年後、彼ら(RUIとTAIKI)が満を持してデビューする然るべきタイミングが来るでしょう。彼らにもそう伝えていますし、グループを組んでデビューすることに対してすごく前向きに捉えています。もちろん、まだ何かを具体的にお伝えできるわけではありませんが、それに向かっての成長の道筋みたいなものは変わらず自分たちで意識したほうがいいですよね。

(写真/上野裕二 ヘアメイク/椎津 恵)
(写真/上野裕二 ヘアメイク/椎津 恵)
SKY-HI(日高光啓)
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年、AAAのメンバーとしてデビューし、同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任
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