SKY-HIはBE:FIRSTの1stアルバム『BE:1』のリリース前、「1枚を通してBMSGおよびBMSGがつくるボーイズグループとしてのBE:FIRSTの意思表示が確実にできた」と胸を張った。その後、『BE:1』が、Billboard JAPAN「Hot Albums」で1位を獲得。9月23日からは初の全国ホールツアーが控えるBE:FIRSTは、2年目にどんなステップを歩むのか。
2年目にやるべきこと、というよりは、2年後のドームツアーの実現に向かってやるべきことがあると考えています。2年後のために、2年目の段階で見えてないといけないことがある。今回ホールツアーをやるBE:FIRSTですが、すでにアリーナツアーでも埋まるであろう申込数をいただいています。
ただ、ドームツアーをしっかりやり遂げるためには、2年目の彼らは“国民的”な存在である必要があると思います。ドーム公演は誰もが知っているアーティストだけが立つステージではもはやなく、一部に知られている、というような方でも実現できる時代で、それに良い悪いはもちろんないんですが、BE:FIRSTに関して思い描いているのは、その状態でのドームツアーではないんです。
一言で言えば、「ポピュラリティー」と「カルチュラリティー」の両立がテーマなのかなと思います。ポピュラリティーを得る活動に対して能動的であるからこそ、その正反対にあるアンダーグラウンドであったりコアであったりするものとの接触や融和なども能動的にしていきたいなとは思ってます。
ポピュラリティーとカルチュラリティーの両立が成功すれば、来年末くらいの彼らは音楽的に説得力がありながら誰もが知る存在になれていて、その状態でアリーナツアーを大成功させて…となれば、理想的な形でドームツアーが現実のものになると思うんです。表層的な人気やバズに乗っかって実現するドームツアーではなくて、やるべくしてやるドームツアーにしないといけない。そうでなければドームツアーをやったその後が見えなくなってしまう。そのために今回ホールツアーから始めることで、彼らのアーティストとして人間としての成長の場をつくるわけですから。
ボーイバンドは人間そのものにファンが付く職業だから
過去の本連載でも、2年後のドームツアーに向けて、今回のホールツアーで「やらなくてはいけないこと」「経験してほしいこと」を話してもらってきた。ただ、多くのアーティストがドーム公演を掲げることに慣れて当たり前のように受け取ってしまい、なぜドームツアーを目標に掲げるのかは聞いたことがなかった。「海外へのステップか?」と尋ねると「それも1つあるけれど、1番は彼らがボーイバンドだから」と返ってきた。
作品、楽曲そのものの価値のみを追求するアーティストにとっては、数字は全く何の意味もなさないことでしょう。ある意味ではそれこそが本質的です。でも、全てのボーイバンドに言えることだと思いますが、ボーイバンドの特徴の1つが、その人間そのものにファンが付く職業であること。だからスタートも目指す場所もその経緯も、数字を追わないタイプの、作品のみを提示していき結果は結果、というアーティストとは違うんです。
ボーイバンドやアイドルグループである以上、数字面での成績っていうものは、おそらく一生涯ついて回ると思っています。その数字というのは、時代によって視聴率だったり、CDの売上枚数であったり、YouTubeの視聴回数であったりと変わってくる。それこそDSPでのリスナーの数がBE:FIRSTは本当に多いわけですが、そうした数字に関しては僕らは貪欲に増やしていこうとしなくてはいけない。なぜかと言うと、お金をかければかけるほど、影響力を得れば得るほど、できることが大きく変わってくるから。
例えてしまえば、大切なパートナーや家族、もっと言えば自分自身のために振る舞うために料理がうまくなりたいのか、最高峰の料理を作って立派な店を構えるのか。この2つには大きな違いがありますよね。もちろんどちらがより素晴らしい、と言うこともありません。後者の場合は高額な材料費も必要だし、素晴らしい食材を手に入れるルートも必要だし、希少な食材を提供してもらえる信頼も必要になりますし、そのためにも理念や美学は貫くべきです。それこそがビジネスだと思います。ボーイバンドは本質的に後者(立派な店を構えること)のほうに近いと感じています。
そのためにはビジネスとして大きくなっていくことが最重要課題だと思うし、その上で国内でビジネスとして1番の大きな成功は、ドームツアーなんじゃないでしょうか。
2年後には、日本のいろんなアーティストがやってきたなかでも過去最高と言われるドームツアーを絶対にやりたいですよね。

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