※日経エンタテインメント! 2022年9月号の記事を再構成

8月31日に1stアルバム『BE:1』をリリースしたBE:FIRST。前回、SKY‐HIは「振れ幅が大きいことが、この時代にアルバムを作る以上、至上命題の1つ」と語った。「振れ幅の大きさ」で言えば、楽曲ごとに目立つメンバーが異なることもBE:FIRSTの持つ強みを伝えてくる。

写真/上野裕二 ヘアメイク/椎津 恵
写真/上野裕二 ヘアメイク/椎津 恵

 これまで同様、あくまでも楽曲としてのクオリティー重視でパートを分けていますが、「全員が目立つように作る」ことは強く意識しています。曲を通してある人の担うパートが多いこともありますし、作っていくなかで誰かが目立つ曲がないなと思えば、別途その人が目立つ曲を作るようにしますし。なのでアルバムは、このパートを誰が歌うか想像しながら当て書きで作っている曲が多いです。『Moment』でのLEOや『Milli-Billi』でのSHUNTOは顕著で、例えば『Milli-Billi』はSHUNTOの声を最大限に生かしたくて作った曲。それぞれの個性から触発されて曲を作れることは、プロデューサーとして幸せなことですよね。アルバム制作後も特定のメンバーから着想して、すでに曲を作っています。

 とにかくアルバム1枚を見たときに、「全員が目立つ」ようにする。BE:FIRSTのメンバーに約束していたことでもあります。そういえば先日も撮影終わりにたまたまSOTA、SHUNTO、JUNON、LEOとご飯に行きましたが、「僕は『ひいきしない』んじゃなくて、『全員をひいきする』」と話しました(笑)。

 グループ活動で特定メンバーへのひいきのようなものがあると、グループへの当事者意識や責任感が強ければ強いほど嫌な思いを感じてしまう。かといって、全員均等にパートを分けたり、サビを全員のユニゾンにしたりというふうな平等という名の全体主義を取っても、グループとしてうまくいかないように思います。クリエイティブ・ファーストを実現して輝くには、今の方法しかないと考えていますし、必要な声が必要なところで鳴るクリエーションは徹底できています。

ドームまでに培ってほしい「自意識」

 もしかしたら今後、彼らのフェーズが上がっていくなかで、グループとしての「自意識」がさらに成長してきたら、自ずとそのマインドになるでしょうし、そこからまた別の方法も出てくるのかもしれません。ただ、今はBE:FIRSTはまだ0歳の段階なので、方向性を導くのは僕ら作る側に責任がある。「全員をひいきする」ことが担うべき役割だと思っています。

 グループとして、または1人のアーティストとしての「自意識」とは何なのか。

 きちんとしたフィロソフィー(哲学)があるということでしょうか。芸事やエンタテインメントにフロントマンとして携わることの責任を哲学として持っていることは、すごく大事になってくると思います。

 「学」の有る無しや「品」の善し悪しなどは、個人差があっても仕方ない部分です。もちろんあるに越したことはないけれども、無礼だったり傲慢だったりしなければ常に品行方正な聖人君子でなくたっていい。それよりも、音楽やステージに対して責任感をしっかり持ち、「なぜ自分がこれをやってるのか」「自分がそれをやることが社会にどういう影響を及ぼすのか」などを自分自身できちんと意識できるようになると、全てにおいてあまり心配がなくなってくると思っています。

 全てはそこに帰結するように思います。MCも含めたステージでの立ち居振る舞いだったり、楽曲制作の際の言葉の選び方や誰も聴いたことのないものにしたいという発想力なども、全てエンタテインメントにフロントマンとして携わるがゆえの責任感から生まれるものだと思います。それが身に付いた状態でドームツアーができるかそうでないかで今後が変わってきます。やらせてもらっているライブとやるべくして行うライブには雲泥の差がありますから。しっかりと浮き足立たずに進めていければ、ドームツアーがゴールには決してならず、その先へ大きく進めると考えています。

 言葉にするとシンプルですが、「責任を持ちなさい」と言われても難しいですよね。今の段階で多かれ少なかれ芽生え始めていますが、その状態には個人差がある。そうした人間的な成長に関しては強要できることでもないので本人次第ではありますが、自分を含む事務所や同じ所属のアーティストが与える影響は大きいわけです。だからこそ、触れる部分では、何か良い方向に転がるように努めたいし、こっそりと神経をすり減らしている部分です(笑)。

SKY-HI(日高光啓)
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年、AAAのメンバーとしてデビューし、同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任
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