突如発表されて世間を驚かせたジョナス・ブルーの『Don't Wake Me Up feat. BE:FIRST』。今年初頭に始まったジョナスのコラボレーションプロジェクト『Together』の第1弾リミックス作品であり、BE:FIRSTにとっては初の海外アーティストとのコラボ曲となった。
――7月13日に配信が始まったこの曲は、各チャートで1位を獲得。Billboard JAPAN Hot Overseasチャートでは1位、ダウンロードチャートでは3位にランクインした。7月23日時点でBE:FIRSTのSpotifyマンスリーリスナーは配信開始日比で25万人近く増加、ダンスミュージック系を中心に欧州やアジアのプレイリストにも多数入っていることは、新たな層へのアプローチも感じさせる。このビッグなコラボレーション案件は、いかにして生まれたのか?
BMSGは、設立時から分かりやすいステートメントを掲げ、以降も様々なメディアを通して既存のビジネスモデルやクリエーティブの低下に異を唱え続けてきました。「既存の大手事務所やレーベルに疎ましがられるのでは」とよく聞かれるのですが、以前もお話ししたように、実際にはその逆でした。音楽業界に同じ危機感を持っていたり、僕の活動を応援してくださったり、「何か一緒にできたら」と言ってくださる方も少なくありません。
レディー・ガガの元担当で、今は執行役員を務めるユニバーサル ミュージック ジャパンの井口(昌弥)さんも、BMSG設立時のステートメントを出した段階からフィール(共感)してくださったお1人です。そこから仕事とは関係なく井口さんとのお付き合いが始まりました。今ではBMSGのAile The Shotaやedhiii boiがユニバーサル系列のVirgin Music Label & Artist Servicesさんにお世話になっています。今回のコラボレーションは、井口さんと自分との関係性の延長線上でお声がけいただいたお話でした。
――『Don't Wake Me Up』のオリジナルは、ジョナス・ブルーと米国のボーイズグループであるWhy Don't Weとのコラボ楽曲。日本の音楽シーンの嗜好にも合うポップなダンスチューンは、BE:FIRSTの個性ともよく合っている。そこにはSKY-HIが目指すダンス&ボーカルグループへのこだわりもある。
BE:FIRSTができる前から僕は、「ダンス&ボーカルグループにしては歌とダンスにしっかり注力してます」ではなく、「歌とダンスこそが武器のダンス&ボーカルグループができます」とアピールしていたんです。まだグループが形になっていないのにおかしな話なのですが(笑)、そこに絶対需要があると考えていました。たまたま空席だったそこでBE:FIRSTに白羽の矢が立ち、今回のコラボレーションにつながったわけです。
また、原曲の歌唱およびライティングで参加しているWhy Don't Weのラインや響きに対して最大限リスペクトを示すことも徹底しました。日本語詩、音節や押韻、響きなどからアドリブのラインまで、スタッフ、メンバー含めて全員で強く意識していました。
くしくも楽曲の発表のタイミングで彼らの活動休止がアナウンスされたのは本当に辛いことですし、(Why Don't Weの)ファンの方々の中には素直に受け入れられないこともきっとあると思いますが、僕たちにできることは彼らや彼らが生み出したもの、そしてその足跡にリスペクトを示し続けることだけですので、「この楽曲を通して……」とか「意志を継いで……」というようなことを言うつもりはありません。ただ、心おきなく音楽をやるWhy Don't Weを見たいですし、いつかポジティブな気持ちでお会いできる日が来ることを祈り、待ち続けています。

『マネジメントのはなし。』 SKY-HI・著
社長・SKY-HIの挑戦をたどれる“ドキュメンタリー本”
課題意識を持つビジネスパーソンへのヒントも満載な1冊
今、音楽業界で最も勢いのあるマネジメント/レーベル「BMSG」。そのCEOであり、アーティストとしても第一線で活躍するSKY-HIの『日経エンタテインメント!』での連載が待望の書籍化!
オーディション「THE FIRST」がムーブメントを起こし、そこから誕生したBE:FIRSTはデビュー1年で紅白歌合戦に出場。2020年9月にたった数人で始まったスタートアップ企業が、なぜここまで急激に成長できたのか。本書は、その時々でSKY-HIが抱える課題や挑戦にフォーカスしたドキュメンタリー的な1冊。「課題解決」「人材育成」「スキルアップ」「コミュニケーション」など、ビジネスのヒントの宝庫ともなっている。
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