2022年4月30日、ロックフェス「VIVA LA ROCK 2022」に初出演したBE:FIRST。オーディエンスはほぼロックファンで、ダンス&ボーカルグループは完全に外様。そんなアウェーの場に、SKY-HIは7人を送り込んだ。

▼前回はこちら SKY-HI BE:FIRSTを「海外へ届ける道」はアジアか欧米か

 BE:FIRSTが「新人」としてステージに上がれるのは、本当にもう今年だけ。だからこそ、彼らに新人としてやれる最大級の経験をさせてあげたいと考えました。でも、「新人だから失敗しても許される」とはちょっと違います。こと日本では、初々しいパフォーマンスや未熟さをめでる空気感もありますが、僕はそれに対して否定的ではあるんです。「VIVA LA ROCK」でも彼らはパフォーマンスで失敗はしていません。それでもアウェーの大舞台に立つ緊張感や初々しさは横並びで7人立ってMCをしたときに出てきてしまう。強いて言えば、そこでの初々しさこそが新人ならではあり、そこが許されるのが今だからこそと考えました。

 この経験は、彼らの今後に大きい影響を与えると思います。今後、様々な舞台を経験すればするほど、その価値もどんどん高くなっていくんじゃないかな。

 音楽フェスはコロナ禍下で停滞しましたが、今後、V字回復するのは間違いないし、さらに言えば揺り戻しによって、コロナ前よりもどかんと支持される可能性が極めて高い。僕自身、フェスに多く出るアーティストでもありますが、フェスの持つ「エモさ」との相性がよく、出演するたびお客さんに伝わっている手応えを感じています。それは彼らにとっても同じことで、今後フェス文化が国内で爆発的に強くなるなか、「BE:FIRSTが新人であのステージに立った」という意味はどんどんストーリーとしてのエモさを増していくでしょう。

人を動かすMCができるか

――GYAO!で配信中の『BE:FIRST Road to VIVA LA ROCK 2022』の中でSKY-HIが彼らに与えた課題の1つが、「MCでオーディエンスの心をつかむ」ことだった。登場から3曲をパフォーマンスした後に、マイクを握ったのはSOTA。「デビュー前はいち音楽ファンとして音楽を学びにフェスへ足を運んだり、アーティストさんの新曲をすごい心待ちにしていたり、みなさんと同じ気持ちで過ごしてました。だからこそ今分かることは、こうやって音楽を楽しむ瞬間、共有する瞬間に、ステージの上も下も大も小も関係ないと思います。そう思いませんか」「こんなたくさんの仲間の前で今いれることをうれしく思います。そしてこの広い音楽という世界で、この7人にしか届けられない音楽を残りの30分届けていきたいと思います。受け取れるか、VIVA LA ROCK!!」。音楽を愛する者にとっては、たとえ彼らのことを知らなくても胸の奥まで熱く響く完璧なMCだった。

 SKY-HI自身のライブでもMCは極めて重要なファクターで、常に心を大きく揺さぶる力強い言葉を繰り広げる。言葉/MCに強くこだわる理由は何なのか。

 ライブの良さって、もちろん「歌がうまかったね」「ダンスが良かったね」はありますが、それだけをお客さんに持って帰ってもらってはダメだと思うんです。これからも応援したいと思っていただくためには、人の心を動かすMCは本当に大事だと思っています。

 彼らが今後、人の心を動かすMCが常にできるようになるには、今はとにかく「インタビューの面白いアーティストになる」がまず1歩目かなと思っています。今年、アーティストとしての自分と向き合わざるを得ないロックカルチャー誌のインタビューをいくつも受けていますが、それもいい経験になるんじゃないかな。取材後にも聞かれたことや答えた言葉を反すうし、自分で自分にインタビューしたりしながら、さらに思考を深め、また次のMCで発露する。その繰り返しが今の彼らには大事な気がしていますし、脳の構築につながると思っています。

 自分は経験上、全てのことは現場で学べると思っているんです。現場を通してやっていきたいし、そのバッファーと余裕はメンバー同士の関係値がいいことに基づいています。課題を都度与えてそれをクリアしてもらうフローを1年くらい続ければ、中身もしっかりしたアーティストになれると思います。今年はライブツアーも予定していますが、本質的な魅力を持つアーティストに成長したうえでツアーを回れれば、ビジネス的な成功以上に彼らにとって長く強く軸となるようなものが育つと思っています。(次回に続く)

SKY-HI(日高光啓)
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年AAAのメンバーとしてデビュー。同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任

(写真/上野裕二、ヘアメイク/椎津 恵)

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