SKY-HI によるオーディションプロジェクト「THE FIRST」から生まれたBE:FIRSTが絶好調だ。5月18日の2ndシングル『Bye‐Good‐Bye』のCDリリースに先立って、1月31日には『Brave Generation』を、3月7日には『Bye‐Good‐Bye』をデジタルリリース。3月16日・23日には『Bye‐Good‐Bye』がBillboard JAPANの総合ソング・チャート「JAPAN HOT 100」で2週連続1位を獲得。4月11日現在ミュージックビデオ(MV)の再生回数は1500万回を突破している。さらに、2ndから3曲目の新曲となる『Betrayal Game』はドラマ『探偵が早すぎる~春のトリック返し~』(日テレ系)の主題歌となった。

 今回は、前回「BEFIRSTの可能性のストック、意識的に増やしていく」に引き続き、『日経エンタテインメント!』4月号掲載のSKY-HIの連載を転載する。今回は、『Bye‐Good‐Bye』について。このインタビュー時点で、『Bye‐Good‐Bye』はメインビジュアルが発表されただけで、MVや音源もまだだった。

BE:FIRSTの2ndシングル『Bye‐Good‐Bye』が5月18日に発売される。曲作りのなかでSKY-HIはプロデューサーとしての自信をつけつつあるという。(写真:上野裕二、ヘアメイク:椎津 恵)
BE:FIRSTの2ndシングル『Bye‐Good‐Bye』が5月18日に発売される。曲作りのなかでSKY-HIはプロデューサーとしての自信をつけつつあるという。(写真:上野裕二、ヘアメイク:椎津 恵)
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▼前回はこちら SKY-HI BE:FIRSTの可能性のストック、意識的に増やしていく

プロデューサーとしての自信が

――この号が出る頃(3月3日)には『Bye‐Good‐Bye』も毎朝テレビで流れ、その反響も大きく出ているだろう。話を聞いた時点では、サンプル音源もなく手探りのインタビューとなったが、そこまで自信を持って売れるにふさわしい曲とは、いったいどんなものなのか。

 『Shining One』と『Gifted.』は2曲とも非常に“濃い”曲でした。次のシングルは音数はもっと少なく、さらにリリース時期も春なので、印象として軽やかなものにしたいなと。テーマが「さよなら」なのは、この曲を最初に披露した「THE FIRST FINAL」の際に、「バイバイ」をきちんと歌にしたかったからです。前向きな意味で「THE FIRST」をきちんと終わらせることが必要だったし、それを彼らや僕がMCで説明するよりは、曲で表現したほうがいいなと考えました。それで、明るく軽やかな「バイバイ」の1曲を作ったんです。3月だから卒業シーズンでもあるし、『ZIP!』のドラマ主題歌というタイアップともとてもうまくハマりました。

 タイアップの話をいただいたときには、制作も進んでいて、この曲が2ndのリード曲になることは決まっていた。そういう意味では、タイミングも完璧な“渡りに船”ならぬ、“渡りにタイアップ”でした。今回は、歌やパフォーマンス、曲調に『Gifted.』のときのような背伸びもないので、安心して世に出せる1曲ですし。

 とはいえ、もちろん『Bye‐Good‐Bye』も他の2曲(『Brave Generation』『Betrayal Game』)も、サウンド的な挑戦はありますし、簡単な曲ではないです。レコーディングや振り入れなどではメンバーそれぞれにポジティブな意味での壁はありました。冒頭に話したような「当て書き」もその1つですが、皆さんに納得してもらえる内容になっているんじゃないかと思います。楽曲ごとに明確に“立つ”人がいて、「この人にはこのくらいのキーで、こんなメロディーでこんな内容を歌ってもらえると良さが出る」を全面的に生かしていますから。そういう作業をしているうちに、プロデューサーとしての自分の、本当の意味での力量に対しても自信を付けつつある段階です。「絶対この人がここを歌ったほうがいい」がことごとく当たって、「レコーディングしてめっちゃ良かった! 最高!」が続いた結果の1枚になったので。

ダンスを海外のクルーに依頼した理由

 『Bye‐Good‐Bye』のコレオグラフィ(振り付け)は、今回も『Gifted.』の有働(真帆)くんのように、世界トップクラスの方にお願いしました。ノルウェーのクルー「Quick Style(※)」です。

※BTS『血、汗、涙』『Boy With Luv』やNCT127の『Kick It』などで知られるダンスクルー

 なぜ海外で活躍する人にお願いするかというと、シンプルにクオリティーが高いから。もちろん、日本にも優れたコレオグラファー(振付師)はたくさんいますが、楽曲のイメージに一番合う方が海外の方なら、海外の方にお願いします。

 確かに、世界トップのコレオグラファーはギャランティーも高額です。K‐POPの予算感と同じくらいで、日本の通常のグループの4~5倍、あるいは10倍近いこともある。それでもお願いするだけの価値が十分あるんです。そういった1つひとつに対し、クオリティーを追求するだけの予算を掛けられているのは、本当に昨年のクラウドファンディング(※)で皆さんにご協力いただいたおかげです。

※21年9月・10月にSKY-HI率いるBMSGはクラウドファンディングを実施。開始から35分で目標額の1億円を達成し、最終的に4.5億円を集めた

 ただ、コレオグラフィーは映像で納品できますが、MVはリモートで撮影するにはいきません。コロナ禍の今、海外から招聘するような状況でもないですね。もちろん現段階でも日本の素晴らしいクリエイターの方々と良いものは作れていますが、いつか状況が変わればここも別の策を立てていくかもしれません。

SKY-HI(日高光啓)
1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年AAAのメンバーとしてデビュー。同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任