「TAG COFFEE STAN(D)」(タグコーヒースタンド)は、ボトル入りコーヒーの中身とラベルをWebサイトからカスタムオーダーできるサービス。現在、2つの映画館に導入しており、好みのカスタムを反映したQRコードを店舗で見せて注文すると、世界に一つだけのコーヒーを購入できる。カスタマイズによって「推し活」という予想外のニーズをつかんだ、ユニークなサービスだ。

サービス開始時は約2000種類だったラベルのバナーのデザインは、現在3000種類以上。バレンタインデーなどイベントに合わせたバナーや、映画作品とコラボした期間限定バナーも用意した(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
サービス開始時は約2000種類だったラベルのバナーのデザインは、現在3000種類以上。バレンタインデーなどイベントに合わせたバナーや、映画作品とコラボした期間限定バナーも用意した(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
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 2021年10月のサービス提供開始以降、コンスタントに1日100杯以上の注文があり、計画を大きく超える売れ行きを見せるタグコーヒースタンド。利用者の約9割が女性で、購入者アンケートによると、80%以上が「また使いたい」と高い満足感を示している。現在、神奈川・川崎と東京・二子玉川にある映画館「109シネマズ」で購入可能だ。

2021年10月、神奈川・川崎の映画館「109シネマズ川崎」に初オープンした「TAG COFFEE STAN(D)」。21年11月には「109シネマズ二子玉川」にも開店した(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
2021年10月、神奈川・川崎の映画館「109シネマズ川崎」に初オープンした「TAG COFFEE STAN(D)」。21年11月には「109シネマズ二子玉川」にも開店した(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
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 タグコーヒースタンドの前身は、19年6月に東京・日本橋に開店した「TOUCH-AND-GO COFFEE(タッチアンドゴーコーヒー)」(21年8月閉店)だ。平日の朝、オフィス街のカフェやコンビニに、コーヒーを求める行列があることに着目。朝の忙しい時間でも、自動販売機で買うのではなく、こだわりの一杯を飲みたいというニーズを見据えてオープンした。そのため、近隣のオフィスワーカーをターゲットに、こだわりのカスタマイズコーヒーをスピーディーに受け取れることに重きを置いたサービスとした。

19年6月、東京・日本橋にオープンした「TOUCH-AND-GO COFFEE」。LINEで事前に注文や決済をし、店舗ではロッカーから取り出すだけという手軽さ。近隣のオフィスワーカーをターゲットにした。21年8月閉店(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
19年6月、東京・日本橋にオープンした「TOUCH-AND-GO COFFEE」。LINEで事前に注文や決済をし、店舗ではロッカーから取り出すだけという手軽さ。近隣のオフィスワーカーをターゲットにした。21年8月閉店(画像提供/サントリー食品インターナショナル)
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実際には「推し活ユーザー」が9割

 ところが、オープンしてみると、利用者の約9割を、特定の人物やキャラクターを熱狂的に応援する「推し活」ユーザーが占めた。商品の取り違えを防ごうとボトルのラベルに施した、名前とカラーのカスタマイズ機能が推し活ユーザーに受け、SNSで拡散されてバズったのだ。

 そこで提供価値を、受け取りスピードからラベルのカスタマイズに大きくピボットさせ、タグコーヒースタンドとしてリニューアル。推し活ユーザーとの親和性が高い映画館に出店し、ラベルのカスタマイズ機能をよりリッチにするなど、提供価値をさらに先鋭化させた。

 ラベルのカスタムには、大きく2つの工夫がある。1つ目は、オリジナルフォントを用意し、文字間隔に丁寧に調整を加えたこと。打ち込んだ文字を並べただけでは、文字の幅の違いによってバランスが悪く見えてしまうのだ。