
コクヨが、10年後にメインの購買層となるZ世代を見据えて、カスタマイズサービスに乗り出した。公式オンラインショップ「ショーケース」で、消費者向けのカスタマイズサービスの提供を開始。第1弾は1959年発売のロングセラー商品「測量野帳」だ。Webサイトのシミュレーターを使って、表紙に写真やイラスト、文字などを書き込み、1冊からオーダーできるとあって人気を博している。
コクヨが公式オンラインショップでカスタマイズサービスを始めたのは2021年7月。100冊以上から注文を受ける法人向けの「コクヨの文具名入れサービス」は以前から手掛けていたが、1冊からカスタマイズ可能で、さらに5営業日以内に届くという一般消費者向けのサービスは、これまでになかった試みだ。
コクヨがカスタマイズサービスに乗り出す理由は大きく2つある。1つは、文具需要の6~7割を占める法人需要の減少だ。法人需要はバブル期以降、右肩下がり。働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大などでリモートワークが一般化したここ数年は、さらに落ち込みを見せている。コロナ禍が収束したとしても、法人需要が以前の水準に戻るとは考えにくいことから、近年、消費者向けの商品開発に力を入れている。
もう1つは、10年後に購買層の中心となるZ世代の存在だ。デジタルネーティブなZ世代は、消費の仕方も価値観もこれまでの購買層と大きく異なるといわれている。コクヨは、Z世代は他人とは異なる、自分らしいものを持ちたいという嗜好が強いと見て、その需要を視野に入れた結果、一般消費者向けのカスタマイズサービスが誕生したのだ。
カスタマイズサービスを公式オンラインショップで提供するのは、顧客との接点を強める狙いもある。ユーザーと直接つながり、ニーズをつかむことで、商品開発を有利に進めたい。コクヨは20年11月、自社のオフィス家具などを販売するECサイト「KOKUYO Workstyle Shop」を開設するなど、家具領域でも一般消費者向けの直販に踏み切っている。
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