今年も恒例の“祭り”が始まった。山崎製パンの「ヤマザキ 春のパンまつり」のことだ。食パンや菓子パンなどの対象商品に点数シールが付いていて、規定の点数分と白い皿を交換できる。では、効率よく集められるパンはどれか。その疑問を解き明かすランキングを公開する。
「朝食はお米派かパン派か」という議論があるように、パンは日本人にとってなじみ深く人気のある食べ物だ。毎朝食べている人も多いだろう。そして、そうしたパン人気を裏付けるかのように、40年以上にわたり続いている一大イベントがある。「ヤマザキ 春のパンまつり」だ。
春のパンまつりは、山崎製パンが毎年2月から春にかけて開催しているキャンペーンだ。その仕組みは、簡潔に言えば「パンに付いてくるシールを集めるとお皿が必ずもらえる」というもの。しかし、毎年お皿の大きさや形状が変わったりすることから、意外と奥が深く、中には「パンまつり攻略」と称してキャンペーンを熱心に研究するファンもいる。何を隠そう、私がその1人だ。
私は2016年から、「ヤマザキ春のパンまつり研究家」として、春のパンまつり対象商品の価格効率(点数1点当たり何円か)をネットスーパー複数店舗の実売価格ベースで調査し、その研究結果を自身のブログ上で公開する活動を行っている。つまり、「もっとも安くお皿を手に入れる攻略法」を調べ続けている。きっかけは、ある日スーパーマーケットで、1点のシールが貼られた98円のパンと0.5点のシールが貼られた110円のパンが並んでいるのを見たことだ。どうして安いパンの方が、点数が高いのか。このような状況をうまく利用すれば、安い出費でお皿を手に入れることも可能なのではないか。もともとテレビゲームの攻略法を研究する記事を多く書いていたため、ゲーム攻略の感覚でパンまつり攻略ができないかと考えた。
23年の春のパンまつり(開催期間:23年2月1日~同年4月30日。北海道地区のみ23年3月1日~同年5月31日)は、価格効率とカロリー効率の2つの視点で分析してみた。その結果を覚えておけば、点数シールを効率よく集められるし、毎日のパンをよりおいしく食べられるようになるはずだ。ぜひ参考にしてほしい。
春のパンまつり対象商品には、0.5点、1点、1.5点など、数字の異なる点数シールが付いている。基本的には、価格が高いパンほど点数も高いわけだが、すべてがきれいに比例しているわけでもない。よく見ると、「価格が安い割に点数が高い」、つまり価格効率のよいパンがいくつかあるので、これをチェックしていこう。
今回の調査(23年1月29~30日時点における各社ネットスーパー9店舗の実売価格を調査)で価格効率ベスト3となったのは、1位「ルヴァンバターロール(6個入)」(1点当たり90.5円)、2位の「レーズンロール(6個入)」(同91.0円)、3位「ダブルソフト」(同96.1円)だった。ルヴァンバターロール(1位)とレーズンロール(2位)は特に価格効率がよく、3位以下とは1点当たり約5円から130円強の開きがある。ダブルソフト(3位)は価格効率ではそれらに及ばないが、定番かつ人気の食パンであるため、非常に多くのお店で販売されており、買い求めやすいという長所がある。この3つは、覚えておいて損はないだろう。
23年は攻略の幅が広がった
なお、ベスト3のように「1点当たり100円を切る」商品は、実は非常に珍しい。「1点当たり100円を切るパンはかなりお得」と覚えておくと、実際に買うときの基準にしやすいだろう。また、価格効率がよいパンは、食パン・食卓ロールに多く、菓子パン・総菜パンに少ない。食パン・食卓ロールは1点当たり95~120円程度の商品が多く、菓子パン・総菜パンは1点当たり115~140円程度の商品が多い。「全体傾向としては食パン・食卓ロールがお得」と覚えておくとよい。
ただし、当然ながら、価格というのはお店ごとの差が大きいことに注意しよう。同じ商品でもスーパーとコンビニでは価格が大きく異なるし、お店によってはタイムセールなどで割引販売されることもあるだろう。すると、本調査では価格効率がよくないとされたパンでも、一気にお得商品へと化けることは十分にあり得る。
なお、22年と比べると、23年は注目すべきポイントがある。23年は食パンとロールパンが22年に比べて全体的に値上がり傾向にあり、シール1点当たりの価格効率もやや悪化していた。一方、菓子パンなどに関しては、全体傾向として価格効率がよくなっていることはぜひお伝えしておきたい。
この影響で、23年の春のパンまつりはおもしろい状況がひとつ生まれた。22年までは、価格効率の面で食パン・食卓ロールと菓子パンには大きな隔たりがあり、「価格効率を徹底するなら食パン・食卓ロールだけを買うべきだ」というのが攻略上の鉄則だった。
しかし、このように価格効率の差が詰まったことにより、「価格効率を重視する場合でも菓子パンを買う余地が大いにある」と変わったのだ。
結果、23年は過去からの定番攻略法とされてきた「ロイダブローテ」(食パンの定番商品であり価格効率もよいロイヤルブレッドとダブルソフトを交互に買うローテーション戦術)を使う人がいる一方で、スペシャルパリジャン、デニッシュブレッドマイルド、まるごとソーセージ、ミニスナックゴールドなど価格効率のよい菓子パンを主軸として積極的に買う人も出てきている。つまり、結果的にではあるが、価格効率の面における攻略の幅が格段に広がったと言える。
私は21年から、価格効率のみでなく、カロリー効率の調査もするようになった。「新型コロナウイルス禍で在宅機会が増えて運動不足気味なので、カロリーを控えながら春のパンまつりを楽しみたい」といった声をブログ読者からいただいたためだ。
カロリー効率には、2種類のニーズがある。前述の声のように少ないカロリーで点数を集めたい人は低いカロリー効率を求めるし、逆にカロリーを多く取りながら点数を集めたい人は高いカロリー効率を求める。例えば、前者はダイエット中の人、後者はアスリートや運動部所属者など日々のカロリー消費量が多い人が考えられる。
ダイエット中も効率よく集めるには?
まず、カロリー効率が低い(1点当たりのカロリーが低い商品)ベスト3は、1位「まるごとバナナ」(1点当たり261キロカロリー)、2位「レーズンゴールド(3枚入)」(同262キロカロリー)、3位「北海道産バター使用バターロール(6個入)」(同294キロカロリー)となる。今回の調査対象では、1点当たり300キロカロリーを切るのはちょうどこの3商品だけだ。それぞれ、洋菓子、食パン、食卓ロールと種類も異なるため、生活スタイルに合わせて適切なパンを選ぶとよいだろう。
逆に、カロリー効率が高い(1点当たりのカロリーが高い商品)ベスト3は、1位「コッペパン(ジャム&マーガリン)」(1点当たり942キロカロリー)、2位「モーニングスター」(同936キロカロリー)、3位「北海道チーズ蒸しケーキ」(同632キロカロリー)となる。いずれも100円台前半のパンであり、気軽に買いやすいことが共通の特徴として挙げられる。特に、コッペパンや北海道チーズ蒸しケーキはおやつ感覚で食べられるので、運動後のエネルギー補給などにちょうどよいかもしれない。
スーパーやコンビニのパンコーナーには、いつもたくさんのパンが並んでいる。それらに対し興味を深め、より楽しく買い、よりおいしく食べるきっかけとして、ヤマザキ 春のパンまつりはとても有意義だ。価格効率やカロリー効率の観点を踏まえながら、ぜひ実際にお店で対象商品をチェックしてみてほしい。そうすることで、きっと日々の生活に彩りが増すはずだ。
(写真提供/山崎製パン)