2023年3月3日発売の「日経トレンディ2023年4月号」では、「資格・転職・副業の新しい地図」を特集。ここ数カ月は高騰した電気代が家計を直撃し、その請求書を見て、高額ぶりに戸惑いを隠せない消費者の嘆きがSNSで多く見られる。そこで、こうした悩ましい状況を打破する節電グッズを紹介する。
※日経トレンディ2023年4月号より。詳しくは本誌参照
節電対策は家計防衛の観点から急務で、朝晩を中心にまだ冷え込む現在、有効なのが体を温めてエアコンの利用を控えられるグッズの活用だ。全身を温めるなら「着られる毛布」が人気。サンコーの「こたんぽ」が火付け役といわれており、ヒーター付きの毛布を衣類のようにまとう。こたつを身に着けているかのような快適さが、Z世代を中心に受けている。
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もともと、こたんぽの前身に当たる商品の発売は17年で、少しずつ進化してきた。18年版から着たまま歩けるようになり、21年版では内蔵ヒーターも省エネタイプに変更。さらに最新の22年版はこれまでよりも10度高い55度まで設定できるようになったため、エアコンを使わなくても十分温かい(温度設定は38~55度までの6段階)。うたた寝しても安心な消し忘れ防止タイマーや、ヒーターを取り外して毛布を丸洗いできる使い勝手の良さも人気で、累計販売台数は3万個を超えた。
ペットの居住空間だけを温めることでエアコンの電気代を抑えるのが、「DeAt+(ディアットプラス) 温度調節機能付きペットハウス」だ。犬や猫を飼っている人は、家を空ける時に留守番を任せるペットのためにエアコンをつけたままにする場合が多い。中にはエアコンを24時間稼働させる人もいるほどだ。どちらも、かさむ電気代が悩みの種になっている。ディアットプラスの中は15~35度の5段階で設定でき、使用電力はわずか20W。最低でも数百ワットを食うエアコンを使うよりも、電気代を格段に削れる。
ツボを利用して全身を温める
体を部位別に温める「一点集中温感」グッズも、節電には有効だ。日曜発明ギャラリーの「カイロ in ネックウォーマー 暖か朗(あったかろう)2」は首回りや背中を温める。ユニークなのは背中側のポケットにカイロを入れて、その熱が全身に伝わるようにしている点。「背中の温感ツボである大椎(だいつい)と風門(ふうもん)を刺激することで、全身をぽかぽかと温められる。カイロの大きさにもよるが、効果は約6時間持続する」(日曜発明ギャラリー代表の小林豊博氏)という。ちなみに、身に着けた後に上着を羽織れば、このポケットはほとんど目立たないことから、外出時に愛用するビジネスパーソンも多い。
最新版腹巻きの実力は?
一方、ロア・インターナショナルの「INKO(インコ) ホットHaramaki ポケット」は腹に巻いて暖を取る。スイッチを入れると、最大50度まで温度が素早く上がり、温まりにムラがない。電熱線を使う従来タイプの欠点を解消した。インコは最先端の印刷電子技術である銀ナノインクを応用してフィルムヒーターにすることで、これを実現させているという。
体を直接温め、エアコンの利用頻度を抑える
日々の生活で電力消費量を減らすためには、意識の転換や、節電の習慣化・仕組み化が重要。中でも効果的なのは電気の使用状況をこまめに把握することだ。毎月の電気料金を見るだけでは長続きしない節電も、毎日の利用状況を見える化するといや応なしに積極的になる。
電力モニタリングシステム「Nature Remo E lite(ネイチャー リモ イー ライト)」は、電力消費量や電気料金をリアルタイムでチェックしたり、それらを日・週・月・年ごとに比較できる。本体をコンセントに差すだけで、関連データをスマホに表示するので確認が簡単だ。別売りのスマートリモコン「ネイチャー リモ(実勢価格は税込み7980円から)」と組み合わせれば家電を遠隔操作でき、出先で消し忘れに気付いても電源をオフにできる。
このネイチャー リモ イー ライトは、電力会社がアナログメーターからの切り替えを進めるスマートメーターと連係させて使う。全世帯へのスマートメーター設置は24年度までに完了する見込みなので、利用できる対象者は今後ますます増える。
電気代を都度、“見える”化
窓際を“攻略”せよ
節電するなら家の中を“改造”する手もある。外気との接点である窓際が鍵を握る。室温が外気温の影響を受けにくくすることで、夏や冬を中心に稼働するエアコンの冷暖房効率が上がる。「SwitchBot(スイッチボット) カーテン」はカーテンレールに取り付けて、カーテンの開閉を自動化させる。タイマー機能を利用すれば、夏は日差しが強くなる日中、冬は冷気が入り込む日没時にカーテンが閉まるように設定できる。室内の急激な温度変化によってエアコンに負荷がかかるのを防ぐ。夕方以降に帰宅したときの室内温度をエアコンのタイマー機能で設定する場合も、スイッチボット カーテンでドレープカーテン(厚地カーテン)を帰宅前に閉めておけば、同じく節電効果を期待できる。こうした利便性が利用者に受けていて、販売台数はシリーズ累計で300万台を突破している。
冷気・熱気を遮断し、室温安定
日常シーンにおいてピンポイントで活躍するグッズも取り入れれば、節電はさらに徹底できる。衣類乾燥機は消費電力が大きく、乾かしたい衣類が数枚の場合、効率が悪い。スリーアールの「Qurra(クルラ) 折り畳み衣類乾燥機 ぽけどらい」は、少量の衣類を素早く乾かすことに特化。一般的な衣類乾燥機に比べて、電気代も大幅に抑えられる。「当社社員の『子供の服を数枚だけ早く乾かしたい』という声がきっかけで開発が始まり、商品化に至った」(スリーアール)といい、インナーシャツ1枚なら乾燥にかかる時間は5分で済むので便利だ。使わないときはコンパクトな大きさにできるので、保管スペースに困らない点も人気を後押ししている。