
2019年にリブランディングという大改革に踏み出した東京ヴェルディ。創設から50年続く歴史あるクラブチームだが、実はファンの高齢化や今後の運営などに大きな課題を抱えていた。リブランディングではビジョンの共有のほか、ロゴやエンブレムの見直しを敢行。それにマッチするブランドイメージを発信できるよう、運用を続けている。その結果、物販収入が倍増するなどの成果が見えてきた。
1969年のクラブ創立から約50年。2019年、東京ヴェルディは新たな事業方針を発表した。サッカーに加えて、野球やバスケットボールなど複数の競技チームを持つ総合クラブ化。そして、アパレル販売などを行うブランドビジネスにも注力していくことを打ち出した。それに伴い、新たなユニホームとエンブレムも発表。こうして、東京ヴェルディのリブランディングは幕を開けた。
取り組みを主導したのは、アマダナスポーツエンタテインメント(東京・渋谷)。デザイン家電ブランド「amadana」を展開するアマダナの熊本浩志社長が率いる、スポーツビジネスに特化したデザインファームだ。同社取締役総合ディレクターで、東京ヴェルディクリエイティブセンターブランドマネージャーも務める伏見大祐氏は、「クラブ創立50周年を機に、サッカーだけの東京ヴェルディでなく、総合クラブ化しブランドとしてビジネスを拡大していけるようにしていく必要があった」と語る。
スポーツビジネスを展開し、利益を上げていく。さらに、Jリーグはファンが高齢化している傾向もあるという。そうした中で、新たなファンを獲得し続けクラブを運営していくには、サッカー以外の競技や海外展開、アパレル販売などによる収益が鍵を握るわけだ。
そこで必要としたのが、総合クラブ化やアパレル販売を見据えたデザインへの刷新だ。「競技を中心としたビジネス領域から、日常のライフスタイル、多様な競技までブランドビジネスが展開できるように、ロゴ、エンブレムをメンテナンスしていく必要があった」(伏見氏)
例えば、以前の東京ヴェルディのエンブレムは、モデルとなった始祖鳥の羽根などを詳細に表現したもの。だが、多くの人にとって身近なツールとなったスマートフォンの小さな画面に表示すると模様や文字が見づらくなってしまうといった事情があった。それを解消すべく、リブランディングの一環として新たなデザインを模索した。
とはいえ、東京ヴェルディは長く続くクラブチーム。リブランディングをめぐって、根強いファンからの反感はなかったのか。「ファン・サポーターに前の方が良かったといわれることを覚悟していたが、実際そのようなことはほとんどなく支持していただけた」と伏見氏は振り返る。
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