
街中のサイネージ広告や新聞広告が瞬時にSNS上で話題になる時代。拡散性が加速する一方で、「企業は伝えたいメッセージをターゲットに届けることだけを考えていては、大きなリスクが伴う」と広告戦略やコミュニケーションプランニングを手掛ける電通PRコンサルティングの根本陽平氏は語る。
「『ターゲットに刺さる』ことだけを考えた広告は、あまりにリスクが大きい」と語る、電通PRコンサルティングの根本陽平氏。自身も数々の話題の広告を手掛けるなど、広告やコミュニケーションのプランニングを専門とする。
ここ5年で広告にまつわる環境は大きく変化した。新聞広告が新聞購読者だけにとどまらず、瞬時にSNSで拡散されていく。「広告プランナーは、出稿媒体の先のSNSなどで広がることを見据えた企画を出し始めている」(根本氏)。こうしていい意味で話題になる一方で、「そんなつもりじゃなかった」炎上も起きている。
品川駅コンコースの通路で掲出したビジネスパーソン向けのデジタルサイネージ広告が炎上した件は、まだ記憶に新しい。広告が掲出されたのは限られた時間だったが、画像がSNS上にアップされると大きな議論を呼び、停止に至った。
どんな規模であっても、広告を配信する際には「内輪の結婚式が世界配信されているくらいの意識を持たなければならない」と根本氏。特定のコミュ二ティー(ターゲット)に伝えようとする場が、見ず知らずの広範囲の人にもすべて筒抜けになってしまうような状態だ。考えなければならないのは「ターゲットには刺さり、ステークホルダーには一目置かれ、それ以外のすべての人を傷つけないこと」と説明する。
ビールの広告を例に挙げると、楽しみにしているファン(ターゲット)には「さすがだよね」と言われ、ビジネスパーソンや情報感度の高いステークホルダーには「あのビールメーカー面白いね」と思われ、かつそれ以外の人たちのことを傷つけないように、気をつけなければならないのだ。
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