
タレントの草彅剛が「オムツじゃなくてパンツと呼ぼう」と呼びかけたテレビCMが反響を呼んだ、大人用紙おむつブランド「アテント」の広告。社会課題である「介護の社会化」を掲げ、広告にとどまらずに具体的な行動を起こしているところもポイントだ。
以前はあまり見なかった大人用紙おむつのテレビCMを、よく目にするようになった。それもそのはず、超高齢化により、大人用紙おむつの生産量は増加の一途。日本衛生材料工業連合会の調査によると、2011年には約58億枚だったが、20年には約86億5900万枚に達し、今後も大きな伸びが期待されている。市場の拡大につれ、これまでと広告のアプローチも変わりつつある。
そんななか、本特集の第1回で、長年広告業界を取材している編集者の河尻亨一氏がブランドのパーパス(存在意義)を明確にした広告として挙げたのが、「介護の社会化」をテーマに掲げた、大人用紙おむつブランド「アテント」の広告キャンペーンだ。エリエールブランドを展開する大王製紙は20年8月、アテントの発売40周年を記念し、「アテント『#常識をはきかえよう』キャンペーン」をスタートした。
20年8月4日の朝日新聞に「かくさないパンツになろう。」という全面広告を出し、Twitterに「アテント@もっといいパンツになる」というアカウントを立ち上げた。さらに8月22日に草彅剛を起用した新聞広告を掲載し、同月22~23日に放映された「24時間テレビ 愛は地球を救う」(日本テレビ系列)では同じく草彅剛を起用したCMを放映。「オムツじゃなくてパンツと呼ぼう」と呼びかけたCMは、大きな反響を呼んだ。
21年末には「おむつをかたくなに拒否してきた家族が、草彅くんのアテントのCMを見てから身につけるようになった」という趣旨のツイートが投稿され、1.3万件の「いいね」がついた。
40周年を機にブランドを再規定した
アテントは1980年に発売された大人用紙おむつブランド。昔からあるだけに認知度は非常に高く、大人用紙おむつの代名詞ともなっているが、それゆえに(介護の段階が)重度の方用の商品というイメージが強かった。
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