
「すでに発見された方も多いですが、こちら『チベットスナギツネ』といいまして、遭遇率は6%となっております」――。日清食品が「カップヌードル」の公式Twitterアカウントから2021年8月5日に発信したこのメッセージは、約9万件のリツイートと約25万件のいいねを記録。反響の決め手は、発信するタイミングだった。
同社はプラスチック原料の使用量削減のために2021年6月から「フタ止めシール」を廃止し、シールがなくてもしっかり留められるように開け口を2つにした新形状のフタ「Wタブ」を採用。このWタブを耳に見立て、フタの裏にはかわいらしい猫の顔のイラストが描かれていた。しかし、その中にわずか6%の確率でなんともいえない独特な顔をしたチベットスナギツネが交じっていたのだ。
この投稿を皮切りに、多くのユーザーが実物のチベットスナギツネの写真と並べたり、チベットスナギツネに似ている有名人を挙げたりするなど盛り上がり、その盛り上がりをメディアが記事にしてさらに露出が高まるという現象が生まれた。
これほどの反響を呼んだことについて、日清食品ホールディングスの米山慎一郎宣伝部長は「期待通りの反応に手応えを感じた」と言う。
ユーザーにあえて発見させる
実はTwitterへの投稿を担当している宣伝部がこの施策を知ったのは世に出るわずか数週間前。しかもメディア向けのプレスリリースではフタ止めシールの廃止によって年間33トンのプラスチック原料を削減できることなど環境問題への取り組みとして紹介されており、フタ裏のイラストには一切触れられていない。つまり、この仕掛けが消費者の間で話題化するかどうかは宣伝部に委ねられたというわけだ。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー